人間ドック・健診のオンライン予約は、今や医療DXの最前線ともいえる領域だ。マーソ株式会社はこの分野で国内最大級のプラットフォームを築き、東証グロース市場に上場した数少ないヘルステックベンチャーのひとつである。

本記事では、転職エージェントとして多くの候補者をヘルステック・SaaS企業に送り出してきた経験をもとに、マーソの実態を多角的に解説する。事業の強みや課題だけでなく、「どんな人がフィットするか」「選考でどんな経験が評価されるか」まで踏み込んで伝えていく。

少人数の上場企業ならではのスピード感と裁量の大きさに魅力を感じる方、あるいは予防医療・ヘルスケア領域でキャリアを築きたい方は、ぜひ最後まで読んでほしい。

企業概要

項目内容
会社名マーソ株式会社
英語名MRSO, Inc.
設立2015年2月
代表取締役西野 恒五郎(代表取締役社長 CEO)
本社所在地東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー33階
資本金約1億2,200万円
従業員数25名程度(2025年時点)
上場区分東証グロース市場(証券コード:5619)
売上高約11億円(FY2025実績)
平均年収非公開(推計450〜600万円程度)
平均年齢37.5歳程度
平均勤続年数非公開
事業内容ヘルスケアプラットフォームの運営、行政・医療機関・法人向けバーティカルSaaSの提供

マーソは六本木ヒルズ森タワーを拠点に、「予防医療をアップデートする」ミッションを掲げる東証グロース上場企業だ。社名の「MRSO」は「Medical Revolution SOlutions」の頭文字に由来し、医療業界のデジタル変革を推進するスタートアップとして2015年に創業された。

従業員25名という規模は上場企業としては極めてコンパクトであり、これは事業のアセットモデル(SaaSとプラットフォーム)と少数精鋭主義を体現している。一方でFY2025は自然検索流入の減少を受け、売上高が前年比約19%減の11億円となり、経営上の正念場を迎えているフェーズでもある。

主な事業内容

マーソの収益は大きく「予約(プラットフォーム)」「広告」「DX(SaaS)」「ワクチン」の4区分で構成されている。それぞれが個人・法人・行政・医療機関という異なる顧客層に向けて機能し、事業間の相互補完性が高いのが特徴だ。

表面上は「人間ドックの予約サイト」に見えるが、実態は医療機関・行政・法人を束ねるプラットフォームエコシステムであり、そのインフラ価値がMRSOの競争優位の根幹を成している。

個人向けヘルスケアプラットフォーム(MRSO.jp)

「人間ドックのマーソ」として知られるMRSO.jpは、全国の医療機関が掲載する人間ドック・健診プランを地域・価格・検査内容・日程で比較・予約できる国内最大級のプラットフォームだ。利用者は自身の性別・年齢・健康リスクに応じたプランをパーソナライズされた形で提案してもらえる。

ポイント還元(Vポイントやdポイント)との連携や、コンシェルジュによる電話相談サポートも提供し、単なる比較サイトを超えたサービス体験を実現している。また「マーソギフト券」という人間ドック共通ギフト券も展開しており、健診の贈り物文化の普及にも取り組む。

行政向けDXサービス(健診予約・ワクチン接種管理)

全国600自治体以上に導入されているのが、行政向けのヘルスケアDXサービスだ。自治体が実施する特定健診やがん検診、ワクチン接種の予約管理システムをSaaSとして提供し、住民・行政職員双方の業務効率化を支援している。

コロナ禍のワクチン接種業務で急速に自治体DXが進んだことも追い風となり、行政との取引実績を積み上げてきた。この領域は一度導入されると継続率が高く、安定した収益基盤になっている。

法人向けSaaS(MRSOビジネス)

企業の健康経営を支援する「MRSOビジネス」は、従業員の健診予約・結果管理・ストレスチェックをワンストップで管理できるプラットフォームだ。600社以上に導入されており、健康経営優良法人認定を目指す企業のニーズを取り込んでいる。

健康経営への関心が高まるなか、人事・労務部門に対するSaaS提案として機能しており、将来的には健康データを活用したより付加価値の高いサービスへの発展が期待されている。

医療機関向けSaaS(MRS・MRSO-Plus)

医療機関向けには、WEB予約管理システム「MRS」と業務管理システム「MRSO-Plus」を提供している。800施設以上に導入されており、医療機関のデジタル化・予約業務効率化を支援する。

また医療機関向けのホームページ制作や医療システム開発も手がけており、医療機関のデジタルトランスフォーメーションをワンストップで支援するパートナーとしての立場を確立している。

マーソ株式会社の強み

強み1. 国内最大級の予防医療データとネットワーク

MRSO.jpには全国数千の医療施設が掲載されており、そのネットワーク規模は競合他社が短期間で追いつくのが難しいレベルにある。医療施設・ユーザー・予約データが集まることで、より精度の高いレコメンドや広告掲載が可能になる「プラットフォームの正のフィードバック」が働いている。

転職者にとっての意味として、このネットワーク資産は新興参入者がゼロから築くことが困難な堀であり、在籍しながらヘルスケア領域のデータ活用・マーケティングの最前線に関われることを意味する。

強み2. 個人・法人・行政・医療機関という多層的な顧客基盤

単一の顧客層に依存せず、個人ユーザー・法人・行政・医療機関という4つの顧客セグメントを持つことで、景気や政策の変動リスクを分散できている。特に行政向けサービスは継続率が高く、景気悪化局面でも安定した収益を生む性質がある。

強み3. 少数精鋭×上場企業という希少な環境

上場企業でありながら従業員25名というコンパクトな組織は、日本のビジネス界において極めて珍しい。ひとりひとりが複数の業務領域を横断し、経営層との距離が近い環境で意思決定に関われる。スタートアップの機動性と上場企業の信用力・ガバナンスを両立している。

強み4. ヘルスケア×テックの専門性蓄積

創業以来10年以上、ヘルスケアDXに特化してきた結果、医療機関・行政・法人それぞれの業務フロー・規制・商慣習に関する知見が組織に蓄積されている。医療という規制産業での実績は、参入障壁として機能すると同時に、社員のキャリア資産にもなる。

強み5. 予防医療の社会的追い風

日本の医療費増大・高齢化は、予防医療への公的・民間の投資を長期的に後押しする構造的要因だ。2024年に施行された健康保険法改正など、特定健診の受診促進に向けた政策環境も整いつつある。マーソはこの長期トレンドの恩恵を受けやすいポジションにある。

強み6. 六本木ヒルズ拠点というブランド効果

本社が六本木ヒルズ森タワーにあることは、医療機関・行政・法人との商談における信頼性・ブランドイメージに貢献している。採用においても一定の訴求力を持ち、優秀なIT人材を引きつける要素のひとつになっている。

マーソ株式会社の年収事情

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ(推計)
エンジニア(バックエンド)500〜750万円
エンジニア(フロントエンド)450〜700万円
プロダクトマネージャー550〜800万円
セールス(法人営業)400〜650万円
マーケター400〜600万円
CS・オペレーション350〜500万円

給与制度の特徴

マーソは公開されている平均年収データが限られており、個別の給与水準は交渉ベースで決定される部分が大きいと見られる。少数精鋭組織であるため、採用時の市場価値・スキルセットに応じた柔軟な評価が行われている可能性がある。スタートアップ的な評価体系を持ちながら、上場企業としての透明性も求められるフェーズにある。

年収を見る際の注意点

  • 従業員数が25名程度のため、平均年収の数字はサンプルの偏りが生じやすく、参考値として扱うべき
  • ストックオプション等の株式報酬が重要な処遇要素になっている可能性があるため、面接時に確認を
  • FY2025の業績が前年比マイナスとなっている局面での転職は、報酬の変動リスクを把握しておくことが重要
  • 少人数組織では役割の変化が年収に直結しやすく、裁量の広がりとセットで考えるべき
  • 成果連動型の賞与・インセンティブ制度の有無を確認しておくと良い

マーソ株式会社の働き方・福利厚生

マーソは東証グロース上場企業として法定の福利厚生を整備しつつ、スタートアップらしい柔軟な働き方も取り入れているとされる。六本木ヒルズというアクセス・環境面での優位性も特徴的だ。

勤務時間・休日 フレックスタイム制や裁量労働制の導入が見込まれ、コアタイムの設定のもと柔軟な時間管理が可能と推察される。年間休日は120日程度が一般的なIT系上場企業の水準。

リモートワーク IT企業としてリモートワーク・ハイブリッド勤務への対応が期待されるが、チームの実態については選考時に確認が必要だ。

主な福利厚生(確認推奨)

  • 社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
  • 交通費支給
  • 健康診断(MRSO.jp活用の可能性)
  • 確定拠出年金(DC)
  • 書籍購入・資格取得支援
  • 研修・外部勉強会参加支援
  • 育児休業・介護休業制度
  • 産前産後休暇
  • 慶弔休暇
  • 副業・兼業制度(規定の範囲内)

注意点 少人数組織のため、制度の充実度はメガベンチャーや大企業と比較すると見劣りするケースがある。一方で、制度の使いやすさや運用上の柔軟性は規模の小さい組織の強みでもある。特定の福利厚生の内容については、選考プロセス中に直接確認することを強く推奨する。

マーソ株式会社の社風・カルチャー

一言で表すなら「少数精鋭のヘルスケア変革者集団」

マーソのカルチャーを一言で表すなら、「少数で大きなインフラを動かす、ミッション志向の集団」が近い。25名という少人数でプラットフォーム・SaaS・行政向けサービスを並走させるには、高い専門性と自律性が前提となる。

経営层との距離が極めて近く、意思決定のスピードが速い環境だ。「ヘルスケアDXで日本社会を変える」という使命感が共有されており、ビジネス的成果より先に社会的インパクトを語るメンバーが多い傾向がある。

評価される人物像

マーソで評価されるのは、与えられた役割の枠を超えて動ける人材だ。「これは私の仕事じゃない」という発想より、「必要なことをやりきる」マインドが求められる。医療・ヘルスケア領域への知的好奇心、データを根拠に仮説を立てて動ける論理思考、BtoBとBtoCの両方に対応できる柔軟性が高く評価される。

表面的なイメージと実態の差

「人間ドック予約サイト」という表面的な印象から、単純な予約メディア企業と思われることがあるが、実態はSaaS×プラットフォームの複合ビジネスだ。エンジニアリング・プロダクト・事業開発・マーケティング全てにわたる複雑な事業構造を持ち、業務の奥行きは深い。

一方で、上場後の業績が順調でない局面にあることも事実であり、「成長企業」という一般的なスタートアップ像とのギャップを感じる可能性がある点は留意が必要だ。

マーソ株式会社の転職難易度

難易度:3級(中程度)

マーソへの転職難易度は中程度と評価できる。上場企業としての採用基準は存在するが、25名という少数精鋭組織のため、年間採用人数は非常に限られている。求人が出た際の競争率は低くはなく、特に即戦力性が強く問われる傾向がある。

理由1. 少人数採用のため求人自体が稀少

年間採用人数が1〜3名程度に限られると推察されるため、求人のタイミング・ポジションとのマッチングが合否を大きく左右する。転職エージェントや自社採用ページを常に注視する姿勢が必要だ。

理由2. 即戦力性が求められる

少人数組織であるため、入社後の育成コストを最小化したい意向が強い。「OJTで時間をかけて育てる」よりも「入社後すぐに自走できる人材」が求められる傾向がある。特定領域での実績・専門性を明確に示せることが選考通過の条件になる。

理由3. ミッション共感度が重視される

予防医療・ヘルスケアDXというテーマへの知的関心・共感がなければ、採用の議論に乗りにくい。「なぜマーソか」の答えが単なるスペック条件ではなく、社会的文脈と接続できるかが問われる。

マーソ株式会社に向いている人

1. ヘルスケア・予防医療の社会インパクトに関心がある人

医療業界に関心があり、「テクノロジーで予防医療を変える」ことに使命感を感じられる人にとって、マーソは理想的なフィールドになりうる。事業の社会的意義が明確であるため、目的志向型の人材が特に馴染みやすい。

2. 少数精鋭・裁量大環境を好む人

「大企業で決まったことをこなす」より「小さな組織で自ら考えて動く」ことに充実感を見出す人向けだ。一人が複数の役割を担うことが多く、越境した仕事が楽しめる人に合っている。

3. SaaS・プラットフォームビジネスに精通したエンジニア・PM

複数のSaaSプロダクトを少人数で動かすため、プロダクト設計・開発・運用をフルサイクルで経験したい技術者には絶好の環境だ。

4. BtoB×BtoC両方の視野を持てるビジネス人材

法人・行政・個人という異なる顧客に同時に向き合う事業構造上、単一チャネルの専門家より複眼的な思考を持つ人材が活躍しやすい。

5. 成長局面の企業で経営貢献したい人

業績回復・成長再加速という課題に対して当事者として関与したい人には、この局面のマーソへの参画は大きな経験になりうる。

マーソ株式会社に向いていない人

批判ではなくミスマッチ防止のために記載する。マーソの環境・フェーズが合わない人物像を正直に示す。

  • タイプ:安定志向で大きな組織の充実した制度を重視する人 — 25名の上場企業であるため、大企業並みの福利厚生・研修・人事制度の充実は期待しにくい
  • タイプ:短期間で高い報酬成長を求める人 — 直近は業績が下降局面にあり、急速な年収アップには不確実性がある
  • タイプ:スペシャリストとして一つの専門に集中したい人 — 少人数のため、役割の境界線が曖昧になりやすく、越境業務を楽しめない人には負荷になりやすい
  • タイプ:医療・ヘルスケアに特段の関心がない人 — ミッション共感を重視する組織カルチャー上、業界への興味がない場合は動機付けが続きにくい
  • タイプ:明確なキャリアパスと昇格基準を求める人 — 少人数組織ではキャリアラダーが明確に定義されていないことが多く、その曖昧さに不満を感じる人には合わない

マーソ株式会社の選考対策

1. 事業モデルの深い理解を示す

「人間ドック予約サイト」という表層的な理解にとどまらず、個人・法人・行政・医療機関という4層の顧客構造、および予約・広告・DX・ワクチンの収益区分まで理解していることを面接で示すと印象が大きく変わる。MRSO.jpを実際に使ってみることが最低限の準備として必要だ。

2. ヘルスケアDX・予防医療への知的関心を語れるようにする

「なぜヘルスケア領域か」「なぜ予防医療か」を自分の経験・価値観と接続して語れることが重要だ。単なる業界の成長性ではなく、自分ごととして語れる背景(家族の健診体験、医療業界の課題への問題意識など)があると説得力が増す。

3. 即戦力性を具体的な実績で証明する

少人数組織への入社では「自走できる人材か」が最重要の判断基準になる。過去の職務で「どんな課題を定義し、どう動き、何を変えたか」を数字・事実ベースで語れる準備をしておこう。曖昧な貢献説明より、成果の因果関係が明確な話が好まれる。

4. 「越境経験」をアピールする

自分の職種以外の業務にも関与した経験(エンジニアが事業戦略に参画、営業がプロダクト改善に関与、など)は少人数組織においてプラス評価につながりやすい。担当職種の枠を超えた活動の実績を整理しておこう。

5. 業績下降局面への向き合い方を準備する

「FY2025の売上が前年比マイナスになっているが、それでもなぜマーソを選ぶか」という問いに答えられる準備が必要だ。困難な局面をネガティブに見ず、「自分が貢献できる機会」と前向きに捉えている姿勢を示せると評価につながる。

6. 小さなチームでの協働経験を示す

少人数チームでの働き方は、大組織とは異なる協働スキルを要求する。ポジション境界が曖昧な環境での協力経験、リソースが限られた中での問題解決経験を具体的なエピソードで示せるとよい。

マーソ株式会社への転職で評価されやすい経験

  • ヘルスケア・医療系サービスの企画・開発・運営経験
  • SaaS企業でのプロダクトマネジメント・エンジニアリング経験
  • 医療機関・行政機関向けのBtoB営業・導入支援経験
  • マーケットプレイス・プラットフォーム型ビジネスの成長施策立案経験
  • SEO・コンテンツマーケティングによる自然流入獲得経験
  • 法人向け健康経営支援・EAP関連の業務経験
  • 自治体・公官庁への提案・受注・プロジェクト推進経験
  • 少数精鋭チームでのスタートアップ・アーリーグロース期の事業推進経験
  • データ分析を活用したユーザー行動改善・KPI設計経験
  • オンライン予約システム・医療ITシステムの開発経験
  • グロースハック・ユーザー獲得施策のPDCA経験
  • 上場準備・IPO後の内部統制・IR対応経験
  • 予防医療・健康保険組合・産業保健分野での業務経験

「特に評価されやすいのは、SaaS企業でのプロダクト開発またはBtoB営業において、少人数環境で複数の役割を兼務しながら成果を出した経験。ヘルスケア領域への理解と掛け合わせることで、即戦力としての評価が格段に高まる。」

まとめ

マーソ株式会社は、国内最大級の人間ドック・健診予約プラットフォームを運営しながら、行政・医療機関・法人向けのSaaSも展開する多面的なヘルステック企業だ。東証グロース市場に上場し、25名という少数精鋭で大きなインフラを支えている点は、他の上場企業と一線を画する特異な環境と言える。

転職先として検討する際の核心は「ミッション共感×即戦力性」の二軸だ。予防医療・ヘルスケアDXの社会的意義に共感でき、かつ少人数組織で自走できる専門性を持つ人材にとっては、非常に充実した環境になりうる。一方で、安定した報酬成長や充実した制度を優先する場合は、現局面では慎重な検討が必要だ。

FY2025の業績が逆風を受けた局面にある今は、次の成長ドライバーを一緒に作っていく人材が求められている局面でもある。事業再成長への貢献者として名を刻みたいという志向の方には、今が参画のタイミングとも言える。

ヘルスケアDXは、日本社会が避けて通れない構造的な課題と直結している。マーソという小さいが骨太のプラットフォームで、その変革の最前線に立つキャリアは、長期的なキャリア資産としての価値を持ちうる。しっかりと情報収集と自己分析を重ね、納得のいく判断をしてほしい。