株式会社ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、知的障害のある作家のアート作品をライセンス管理するアートライフスタイルブランドである。2018年7月24日に岩手県盛岡市で設立され、以降わずか数年で国内外の注目企業へと躍り出た。スタートアップデータベースによると2026年時点で従業員数は約300名規模にまで成長しており、岩手・東京・パリの3拠点で事業を展開している。
創業者の松田崇弥・文登は双子の兄弟で、自閉症の兄・翔太が幼少期に自由帳に書き留めた造語「ヘラルボニー」を社名にした。この原体験が企業の根幹にある。「障害のある作家の才能と個性を、社会の中心に届ける」という信念のもと、単なる福祉支援ではなく、商業的に成立するアートビジネスを構築してきた。
J-Startup認定企業として政府からも認知されており、2024年にはLVMH Innovation Awardで日本企業初のカテゴリ賞(Employee Experience, Diversity & Inclusion部門)を受賞した。現在はIPO準備を進めており、コーポレート機能の強化と組織体制の整備が続いている段階だ。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ヘラルボニー(HERALBONY Co., Ltd.) |
| 設立 | 2018年7月24日 |
| 共同代表 | 松田崇弥(Co-CEO)、松田文登(Co-CEO) |
| 本社所在地 | 〒020-0026 岩手県盛岡市開運橋通2-38 @HOMEDELUXビル4F |
| 東京拠点 | 東京都中央区銀座2丁目5-16 銀冨ビル3F |
| 欧州拠点 | HERALBONY EUROPE S.A.S.(パリ) |
| 資本金 | 非公開(調達ラウンドにより変動。累計調達額9億円超との情報あり) |
| 従業員数 | 約300名(2026年7月時点、スタートアップDBより) |
| 上場区分 | 非上場(未上場)・IPO準備中 |
| 売上高 | 非公開 |
| 平均年収 | 非公開(年俸制・個別オファー、口コミ上は「業界水準より低め」との声あり) |
| 平均年齢 | 非公開 |
| 平均勤続年数 | 非公開(設立2018年・若い組織) |
| 主な認定 | J-Startup認定、B Corp認証、LVMH Innovation Award 2024受賞 |
| 事業内容 | アートIPライセンス管理、アートライフスタイルブランド運営、企業向けDE&I支援、ギャラリー・店舗運営、海外事業 |
ヘラルボニーは非上場のスタートアップ企業であり、財務情報(売上高・資本金・平均年収など)は現時点で公開されていない。過去の報道では資本金3,000万円という時点の情報もあるが、複数回の資金調達を経て変動している可能性がある。確認できた資金調達情報として、2025年1月にWiL(World Innovation Lab)をリード投資家とし、M Power Partnersおよび電通ベンチャーズSGPファンドから調達実施済みである。IPO準備の本格化に伴い、今後の情報開示が拡充されることが見込まれる。
主な事業内容
ヘラルボニーの事業は大きく「アートIPライセンス」「リテール・ブランド」「法人向けサービス」「海外事業」の4領域に分けられる。ビジネスモデルの核心は「障害のある作家の才能をタレントエージェント的に管理し、そのIPを多様なビジネスへライセンスアウトする」という独自設計にある。
過去2年間で法人向けIP取引企業数が3倍以上に拡大し、作家に支払うロイヤリティは数年間で約20倍に増加したという実績がある。確定申告を行うアーティストが複数誕生しているなど、単なる社会貢献ではなく「稼げるアーティストを生み出す経済システム」として機能し始めている点が特徴的だ。
アートIPライセンス事業
国内外の主に知的障害のある作家と契約を結び、2,000点以上のアートデータをIPとして管理する。企業・ブランドがヘラルボニーのアートIPをライセンス使用する形での商品開発・コミュニケーション施策・空間デザインなどを手がける。ライセンスフィーの一部が作家に還元される仕組みで、福祉施設に所属するアーティストの経済的自立を支える。
法人向けの取引は「年間取引企業数が過去2年間で3倍以上に拡大」とのことで、大手企業とのコラボレーション事例も増えている。アートIPという切り口でのDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)推進支援が法人需要を取り込んでいる。
アートライフスタイルブランド事業(リテール)
ブランド「HERALBONY」のもとで展開するアパレル・雑貨・アクセサリー・ホームグッズなどのプロダクト販売。作家のアートを素材・デザインとして落とし込んだ商品は、単なるエシカルファッションを超えた審美性を持ち、ファッションメディアや国際的なラグジュアリー業界からも評価を受けている。
オンラインストアに加え、2025年3月に岩手・盛岡市に「ISAI PARK」、東京・銀座に「HERALBONY LABORATORY GINZA」をオープン。リアル店舗でのブランド体験の強化を進めている。
企業向けDE&I推進支援
障害・多様性に関する研修プログラムの提供や、企業のDE&I推進施策へのコンサルティングを行う。アートを起点にした感性的なアプローチで「障害への理解を促進する体験型プログラム」を企業に提供しており、コーポレートブランディングや社員エンゲージメント施策として採用されるケースが増えている。
海外事業
2024年に欧州子会社「HERALBONY EUROPE S.A.S.」をパリに設立。欧州では既に4か所の福祉施設とパートナーシップ契約を結んでおり、現地作家との連携を進めている。LVMH Innovation Awardの受賞がブランド認知の起点となり、ラグジュアリー産業との接点も生まれている。国際展開はまだ初期フェーズだが、調達資金の一部を海外強化に充当する計画を明示している。
株式会社ヘラルボニーの強み
強み1. 競合がほぼ存在しないビジネスモデル
「知的障害のある作家のアートをIPとしてライセンス管理し、商業的に展開する」という事業設計は、日本国内でほぼ類似企業が存在しない。タレントエージェンシー×知的財産ビジネスという独自の組み合わせは、後発企業が短期間で模倣できる性質ではなく、先行者優位を構造的に確保している。
転職者にとっての意味としては、「前例のない仕事を作り上げる経験」が積める職場だということだ。既存の業界慣行ではなく、自分たちでルールを設計する仕事の比率が高く、主体性の高い人材には強い成長機会になる。
強み2. ミッションと事業の一体性による強いブランド
「異彩を、放て。」というミッションは、社内の行動指針としてだけでなく、対外的なブランドコンセプトとしても機能している。事業を通じてミッションを実現するという構造が明確であるため、社員・顧客・投資家・メディアが全員「同じ物語」を語れる。
この一体性は、採用・PR・販売すべてのコストを下げる効果がある。創業者の兄という具体的なストーリーと、LVMH受賞という権威付けが組み合わさり、国内外でのブランド力が急速に高まっている。
強み3. グローバル認証・受賞による国際的信頼性
J-Startup認定(経産省)、B Corp認証(国際的なソーシャルビジネス認証)、LVMH Innovation Award 2024受賞(世界1,545社からファイナリスト18社、日本初のカテゴリ賞)という3つの外部評価は、いずれも容易には取得・受賞できないものだ。
転職者にとっては「在籍期間中に国際的に認証された環境での就業経験」がレジュメに記載できる。特に外資系・グローバルなソーシャルビジネス領域でのキャリアを志向する人には強力な経歴になりうる。
強み4. IPO準備フェーズという成長段階
現在、ヘラルボニーは本格的なIPO準備を進めている段階にある。コーポレート機能(財務・経理・人事・法務・システム)の構築、ガバナリス強化、開示体制の整備が急速に進んでおり、各専門人材の採用を強化している。
スタートアップのIPO前後というフェーズは、成長曲線が急上昇する時期と重なることが多く、適切な実力のある人材には急速なキャリアアップの機会が生まれやすい。「上場準備を内側から経験した」という実績は、その後のキャリアにおいて希少価値を持つ。
強み5. 多様なバックグラウンドを持つ組織文化
採用ページで紹介される社員は「親として」「法律家として」「障害当事者として」など多様な人生経験と動機を持つ人材で構成されている。福祉・アート・ビジネスという異なる文脈を持つ人材が集まり、組織内での議論や視点が多様化している。
転職者としては、異業種・異文化の人材から学べる環境という点が強みとなる。「業界の常識」を持ち込まない人材を歓迎する文化は、他業種からのキャリアチェンジ者にとって障壁が低い。
強み6. 欧州拠点を持つ国際展開の実績
2024年のパリ法人設立は、単なる海外進出の意思表明ではなく、LVMH受賞を機にしたラグジュアリー産業との実質的な接点形成を意味する。アートと福祉の文脈はヨーロッパでも強い共感を得やすく、特にフランス・パリというラグジュアリーの中心地への進出は戦略的に意義が大きい。
国際展開を視野に入れた転職を考えているキャリア層にとって、将来的に海外業務に携われる可能性を秘めた環境という点は魅力的だ。
株式会社ヘラルボニーの年収事情
ヘラルボニーは「年俸制(45時間の固定残業代含む)・年俸の12分の1を毎月支給・毎年1回見直し」という給与体系を採用している。給与額はスキルや経験に基づく個別オファー制で、公式な給与レンジの開示はない。社員口コミでは「会社の利益率が低いため給料も上がりにくい」「少し少なめな印象」という声が一部で見られており、報酬水準は大手企業と比べて高いとは言い難い。
ただし、スタートアップとしてのミッション共感・株式上場前後の成長余地を総合的に見た場合、「金銭以外の価値」も含めた判断が必要な企業だ。
職種別の想定年収レンジ
公式な情報開示がないため、スタートアップの市場相場および求人情報を参考にした推計値(参考値)である。
| 職種 | 想定年収レンジ(推計) |
|---|---|
| アートディレクター | 350〜550万円程度 |
| ブランドマネージャー | 400〜600万円程度 |
| IPライセンス担当 | 350〜500万円程度 |
| 法人営業・アカウントプランナー | 350〜550万円程度 |
| マーケティング担当 | 350〜500万円程度 |
| コーポレート(経理・財務・法務) | 400〜600万円程度 |
| エンジニア・情報システム | 400〜600万円程度 |
| 店舗スタッフ・ストアキャスト | 280〜380万円程度 |
※上記はあくまで推計であり、実際のオファーは個人の経験・スキルによって大きく異なる。
給与制度の特徴
年俸制・固定残業45時間込みという構造は、スタートアップとして一般的な制度だ。「スキルやバリューによって個別のオファーが提示される」とされており、同じ職種でも経験・実績次第で差が生まれやすい。年1回の見直しがあるため、成果次第での昇給機会はある。
IPO準備中の段階であり、将来的にストックオプション等の付与がある可能性は否定できないが、現時点での公式な情報はない。転職検討時には選考過程で確認することを強く推奨する。
年収を見る際の注意点
- 公式な平均年収・給与レンジの開示はなく、本記事の数値はあくまで推計値
- 固定残業45時間分が年俸に含まれる点は実質時給換算時に注意が必要
- ミッション・社会的意義・IPOへの関与を総合的に考慮したうえで判断すること
- 選考時に給与水準・オファー根拠・見直し基準を必ず確認すること
- 大企業・メガベンチャーと単純比較すると低く見える可能性があることを前提に検討する
株式会社ヘラルボニーの働き方・福利厚生
勤務時間・休日 フルフレックス制度(コアタイムなし)を導入しており、約40%のメンバーが仕事と子育てを両立しているとされる。所定労働時間・休日日数は公式には非公表だが、一般的なスタートアップ同様の制度が想定される。
リモートワーク ハイブリッド勤務を採用しており、オフィス出社とリモートワークを状況に応じて選択できる。岩手・東京・パリと複数拠点があるため、配属先によって働き方が異なる可能性がある。
主な福利厚生
- コアタイムなしのフルフレックス制度
- ハイブリッド勤務(リモートワーク可)
- 書籍購入補助:月額5,000円まで
- 芸術文化活動補助:建築・彫刻・絵画・音楽・文学・演劇・映画・メディア芸術等の費用を月額5,000円まで補助
- AI活用補助:業務効率化目的のAIサービス費用を補助
- ユニバーサルマナー検定取得補助
- エフ休暇:女性特有の理由から働くことが困難な場合の有給特別休暇
- 各種社会保険完備
- 岩手・東京・パリの3拠点での就業環境
- ブランドプロダクトの社員割引(詳細は要確認)
注意点 スタートアップとして組織が成長中のため、福利厚生制度は今後も変化する可能性がある。転職時は最新情報を採用担当者から直接確認すること。規模が急拡大している段階では、制度の整備と実際の運用の間に乖離が生じることもある点を念頭に置きたい。
株式会社ヘラルボニーの社風・カルチャー
一言で表すなら「ミッションドリブンな実験者集団」
ヘラルボニーの組織文化を一言で言えば「ミッションドリブンな実験者集団」だ。「異彩を、放て。」というミッションを共有する仲間が、前例のない事業を手探りで作り上げていく環境である。「誠実謙虚」を最重要価値とし、作家・福祉施設・社員・顧客のすべてとの信頼関係を基盤に運営されている。
コアバリューとして「挑戦する姿勢(向上心を持ち改善を重ねる)」「未来志向(理想から逆算し戦略的に行動する)」「共感と協働(多様な仲間と想いを共にする)」の3つが掲げられており、これらは採用における評価軸にも直結している。
採用面接では「価値観について深掘りするような質問が多い」という口コミがあり、スキルフィットよりも先にカルチャーフィットが重視される傾向がうかがえる。
評価される人物像
ヘラルボニーで評価される人物像は「ミッションへの深い共感と、それを事業として成立させるプロフェッショナリズムの両立」ができる人だ。「いい話」で終わらせず、実際のビジネス成果につなげる胆力と思考力が求められる。多様な作家・福祉施設・法人クライアントと向き合うため、高い共感力とコミュニケーション能力も必要だ。また、スタートアップとして組織全体が急成長中のため、自ら課題を発見し主体的に動ける自律性が前提となる。
表面的なイメージと実態の差
「福祉×アート=やさしい会社」という表面的なイメージで入社すると、実態とのギャップを感じる可能性がある。ヘラルボニーは社会課題を事業として解決しようとしているため、KPI達成・ビジネス交渉・資金調達などビジネスとしての厳しさは一般的な企業と変わらない。社員口コミでは「配属チームによって業務量に差がある」「給料は上がりにくい」といった現実的な声も見られており、「ミッションさえあれば生活水準は関係ない」という覚悟を持って臨む必要がある。
株式会社ヘラルボニーの転職難易度
難易度:A級(ミッション共感+実力の二重基準)
ヘラルボニーへの転職難易度は、大企業と比較した選考倍率の高さではなく「ミッション共感+ビジネスプロフェッショナリズムの両立」という二重基準の厳しさにある。採用面接では価値観・ミッション理解の深さを徹底的に問われるため、スキルだけでは通過しない。A級と評価するのは、その点での選考ハードルが相応に高いためだ。
一方で、IPO準備に向けたコーポレート人材・クリエイティブ人材の採用強化が続いており、適切なスキルと強いミッション共感を持つ人材には実質的な採用チャンスが存在する。
理由1. カルチャーフィットが最重要の採用基準
採用面接での口コミから「価値観についての深掘り質問が多い」ことが確認されており、ミッション理解と共感の真剣度が評価の核心にある。「なぜヘラルボニーでなければならないのか」という問いへの回答を深く準備することが必須だ。社会課題への関心と、それをビジネスとして解決することへの意欲を、具体的なエピソードで語れるかどうかが選考を左右する。
理由2. 「ソーシャルビジネス経験」は不問・「考え方」が問われる
障害・福祉・アート分野の経験がなくても選考は受けられる。採用ページでも「法律家として」「様々な業界出身」のメンバーが紹介されており、異業種からの転職は珍しくない。重要なのは「ミッションへの共感をもとに、プロとして成果を出す意志と能力があるか」だ。むしろ、純粋に福祉業界のみのキャリアよりも、ビジネス経験を持ち、そこにミッション共感が加わった人材を好む傾向がある。
理由3. IPO準備フェーズでの採用加速
コーポレート領域(財務・経理・法務・情報システム)を中心に採用強化中であり、このフェーズ特有の「上場準備の実務経験者」は市場希少性が高いため評価されやすい。クリエイティブ職(アートディレクター・ブランドマネージャー等)は競争率が高い一方、コーポレート・法務・IR等の専門職種は積極的な採用マインドが見られる。
株式会社ヘラルボニーに向いている人
タイプ1. ミッションに本気で共感できる人
「異彩を、放て。」というミッションを、聞いた瞬間に自分ごとにできる人。知的障害のある作家の才能を社会に届けることに心から価値を感じ、それを生涯のキャリアの一部にしたいと思える人が最も向いている。「かっこいいから」「受賞企業だから」という動機だけでは選考を通過できず、真剣な動機が問われる。
タイプ2. 前例のない仕事を自分で作り上げることを楽しめる人
アートIPライセンス・福祉×ラグジュアリーという領域は、教科書も先輩例もほとんど存在しない。「マニュアルがない」「答えが分からない」という環境でも自律的に動き、試行錯誤を楽しめる人に向いている職場だ。
タイプ3. ビジネス成果とソーシャルインパクトを両立させたい人
「社会課題を解くことが、そのままビジネスの成長になる」という構造を信じ、その実現に向けてプロとして全力を出したい人。善意だけでは組織は動かない、という現実も理解したうえで事業成長にコミットできる人が活躍する。
タイプ4. 成長フェーズのスタートアップでスキルを試したい経験者
IPO準備・海外展開・組織拡大という3つの成長ベクトルが同時に走っており、既存スキルを最速で活かしつつ新たな経験を積みたい中堅層にとって、ヘラルボニーは今が最もダイナミックなフェーズかもしれない。
タイプ5. アート・クリエイティブとビジネスを架橋したい人
アート・デザイン・クリエイティブのバックグラウンドを持ちながら「ビジネスインパクトも出したい」と思っている人、あるいはビジネス経験者でアートやカルチャーへの深い関心を持っている人。ヘラルボニーはその二項対立を解消するビジネスモデルそのものである。
株式会社ヘラルボニーに向いていない人
批判ではなく、ミスマッチを防ぐための整理として記載する。ヘラルボニーの環境がすべての人に最適とは限らない。
タイプ: 以下のような志向・条件の人は、ミスマッチが生じやすいと考えられる。
- 高い給与水準を転職の最優先条件にしている人(非公開・スタートアップ水準のため大手との差が生じる可能性が高い)
- 「誰でも知っている大企業」ブランドを看板として使いたい人(ヘラルボニーは認知拡大中だが、まだ一般知名度は発展途上)
- 詳細な業務マニュアルと明確な職務定義のもとで力を発揮するタイプ(スタートアップとして流動的な環境が続く)
- 福祉・障害の文脈に対して表面的な関心しか持てない人(深い理解と共感なしに長期就業するのは難しい)
- 安定性・確実性を最重視する人(IPO準備中ではあるが、上場時期・事業展開には不確実性が伴う)
株式会社ヘラルボニーの選考対策
対策1. 「なぜヘラルボニーでなければならないのか」を徹底的に言語化する
選考の最大の山場は「ミッションへの共感の深さ」を証明することだ。「障害のある方を支援したい」という一般的な動機では不十分で、「ヘラルボニーというビジネスモデルのどこに共鳴するか」「自分はどのような形で価値を発揮したいか」を具体的に語れるよう準備する。公式サイト・プレスリリース・noteの社員インタビューを熟読し、自分の言葉に落とし込む。
採用面接での口コミに「価値観への深掘りが多い」とある通り、一問一答ではなく対話型の深掘りに対応できる準備が必要だ。
対策2. 「異彩を、放て。」の意味を自分の経験と接続する
ミッションの言葉を表面的に引用するだけでは評価されない。自分のキャリアや人生のなかで「世の中の普通に違和感を感じた経験」「多様性に触れた経験」「何かの固定概念を疑った経験」を具体的なエピソードとして準備することが効果的だ。それをヘラルボニーのミッションと接続することで、共感の真剣度が伝わる。
対策3. ビジネスへの貢献を数字・成果で示す
ミッション共感だけでは採用されない。自分がこれまでの職務でどのような成果を出したかを、具体的な数字・事例・プロセスとともに説明できるよう準備する。スタートアップの文脈では「曖昧な環境で自ら課題を設定し、推進した経験」が特に評価される。
対策4. アートと障害への理解を深める
選考前に、ヘラルボニーが契約するアーティストの作品・ストーリーを実際に見て感じる体験が有効だ。可能であれば実店舗(銀座ラボ)を訪問し、プロダクトに実際に触れることを推奨する。「知識として知っている」と「体験として知っている」では、面接での会話の深さが異なる。
対策5. コーポレート職種は上場準備経験をアピールする
財務・経理・法務・情報システム・内部統制など、IPO準備に直結するスキルを持つ人材は現在特に需要が高い。「J-SOX対応の経験」「開示書類の作成経験」「上場会社でのコーポレート経験」などは積極的にアピールすべき武器だ。
対策6. 多様性に対する自分のスタンスと行動実績を用意する
DE&I(多様性・公平性・包摂性)を事業の根幹とする組織への転職においては、自分自身の「多様性への向き合い方」も問われる。「過去に多様な人々と協働した経験」「マイノリティ当事者への理解を深めた行動」「固定概念を乗り越えた意思決定」などのエピソードを準備するとよい。
株式会社ヘラルボニーへの転職で評価されやすい経験
- 広告・PR・ブランディング分野でのクリエイティブディレクションまたはアカウント経験
- アートギャラリー・文化施設・美術館でのコレクション管理・プログラム企画経験
- ファッション・アパレル・ライフスタイルブランドでのブランドマネジメント経験
- IPライセンス・著作権管理・コンテンツビジネスに関わった法務・事業経験
- 法人営業(特に大手企業とのコラボレーション・コンサルティング型営業)
- 上場企業または上場準備会社でのコーポレート業務(経理・財務・法務・内部監査)
- 非営利・ソーシャルセクターでのプログラムマネジメントや資金調達経験
- 海外展開・グローバルチームとの協業経験(特に欧州・フランス語圏)
- DE&I推進・ダイバーシティマネジメントに関わった人事・組織開発経験
- デジタルマーケティング・EC運営(特にD2Cブランドの成長経験)
- スタートアップでの0→1フェーズまたはグロースフェーズの事業立ち上げ経験
- 福祉・医療・教育業界での現場経験(アーティストとの関係構築における深い理解として評価)
- フォトグラファー・ビジュアルコミュニケーター・グラフィックデザイナーなどのクリエイター経験
- メディア・ジャーナリズムでの取材・ストーリーテリング経験
特に評価されやすいのは、「ビジネスとして成果を出した経験」と「社会・文化への深いリスペクトと共感」の両方を持ち、それを自分の言葉で語れる人材だ。どちらか一方だけでは不十分で、二つが重なる交差点にいる人がヘラルボニーにとっての理想的な転職者となる。
まとめ
ヘラルボニーは、日本に数少ない「社会課題を本質的なビジネスとして解いている」企業の一つだ。知的障害のある作家のアートという「誰もが素通りしてきたもの」に価値を見出し、国際的なラグジュアリー業界からも評価されるブランドへと育て上げた。LVMH受賞・B Corp認証・J-Startup認定・欧州進出という軌跡は、ミッション×ビジネスの両立が「絵空事ではない」ことを証明している。
転職先として考えたとき、ヘラルボニーは「給与水準」「ネームバリュー」「安定性」という従来の転職軸では測りにくい企業だ。しかし「仕事の意味」「社会への貢献度」「経験の希少性」という軸で見ると、他の選択肢では得られない価値を持つ職場でもある。特にIPO準備フェーズという今のタイミングは、組織形成の当事者になれる最後の機会に近いかもしれない。
報酬・福利厚生は非公開部分も多く、スタートアップとしての不確実性も残る。入社前には給与水準・ストックオプションの有無・上場時期の見通しについて、選考過程でできる限り確認することを強く勧める。
「世界中の人が持つ異彩を、社会の中心に放ちたい」というビジョンに、自分のキャリアをかけてみたい人にとって、ヘラルボニーは今まさに動き出している舞台だ。その舞台に立つかどうかは、ミッションへの共感と自分の覚悟次第だと、エージェントとして正直に伝えたい。
