株式会社ヨロズは、「サスペンション部品の専業メーカー」として約80年間一筋に事業を展開してきた自動車部品会社です。サスペンションメンバー(サブフレーム)とサスペンションリンクという足回り二大コンポーネントに集中特化することで技術の深みを磨き、日産・ホンダ・GM・トヨタ・マツダ・スズキ・いすゞ・ダイハツ・三菱・フォルクスワーゲンなど、ほぼすべての主要完成車メーカーを顧客に持つまでに成長しました。

転職市場においては「知名度はBクラスだが技術力・待遇はAクラス」という評価を受けることが多く、自動車部品業界のキャリアアップを考える製造・技術系エンジニアから一定の支持を集めています。国内外14拠点という規模はグローバルキャリアの選択肢も広げており、海外工場での立ち上げや量産安定化プロジェクトに携わりたい技術者にとっても魅力的な職場です。

企業概要

項目内容
正式社名株式会社ヨロズ
設立1940年(昭和15年)4月
代表取締役平中勉
本社所在地神奈川県横浜市港北区樽町3-7-60
資本金約62億円
従業員数(連結)約5,848名(2026年4月時点推計)
上場区分プライム市場(証券コード7294)
売上高(連結)約1,784億円(2025年3月期)
平均年収約570〜600万円程度(各種データの推計値)
平均年齢約38〜39歳
平均勤続年数約11〜12年程度(推計)
主な事業内容サスペンション部品(メンバー・リンク)・車体部品の設計・製造・販売

1940年、横浜市鶴見区で仕戸製作所として創業したヨロズは、日産自動車との取引を起点に足回り部品の専業化路線を選択し、プレス・溶接・検査の技術水準を高め続けてきました。現在は国内横浜・栃木・宮城・岐阜の4工場に加え、米国・メキシコ・カナダ・中国・タイ・インド・東南アジアなどに海外10工場を展開するグローバル企業へと発展しています。

主な事業内容

ヨロズの事業はサスペンション部品を核として、金型・設備の内製と国内外量産を支える体制で構成されています。

サスペンションメンバー(サブフレーム)

車体フロア下部に配置され、エンジン・ミッション・ドライブシャフトを支えながら前後サスペンションを取り付ける骨格部品です。走行中の振動を吸収・分散させ、ステアリングフィールや衝突安全性に直結する重要保安部品であるため、高い寸法精度・強度・疲労耐久性が要求されます。ヨロズは高張力鋼板(ハイテン)のプレス成形と複合溶接工法に強みを持ち、軽量化ニーズに対応したホットスタンプ工法や接合技術の開発も継続しています。

サスペンションリンク

フロント・リアのサスペンションを構成するアーム類(ロアアーム・アッパーアーム・コントロールアーム等)です。タイヤの動きを精密に制御するこれらの部品は、走行安定性と快適性を決定する重要機能部品であり、軽量化と強度剛性のバランスが設計の核心課題となります。

車体部品

ピラー・メンバー・クロスメンバーなどボデー構造部品も手掛けており、サスペンション部品で培った高張力鋼板加工技術との相乗効果を発揮しています。

金型・設備内製

プレス金型・溶接治具・検査設備を自社で設計・製作する内製化体制を維持しています。金型内製は製造コストとリードタイムの短縮につながるだけでなく、現場のノウハウが金型設計に直結するため、品質改善サイクルが速い点が強みです。

グローバル量産体制

海外10工場での現地生産は、完成車メーカーのグローバルモデルに対応するために不可欠です。現地採用スタッフのトレーニングから立ち上げ、安定化まで日本から技術者を派遣する体制を取っており、海外経験を積みたいエンジニアにとっては機会が豊富な環境です。

ヨロズの強み

強み1. サスペンション部品への深い特化と技術蓄積

事業を一点集中してきた80年以上の歴史により、サスペンションメンバー・リンクの設計・解析・金型・プレス・溶接・検査という全工程のノウハウが社内に深く蓄積されています。競合他社が広く自動車部品を手掛けるのに対し、ヨロズは「足回りならヨロズ」という差別化ポジションを確立しており、開発初期段階からの共同設計に参画する機会も多くなっています。

強み2. マルチカスタマー体制による需要分散

日産・ホンダ・GM・トヨタ・マツダ・スズキ・いすゞ・ダイハツ・三菱・フォルクスワーゲンという多様な完成車メーカーへの供給体制は、特定顧客への依存リスクを大幅に低減しています。一顧客の生産変動が全体に与える影響が限られる体質は、経営安定性と雇用安定性の面でポジティブな要因です。

強み3. EV化でも需要が継続する部品特性

サスペンションメンバーとサスペンションリンクは、エンジンの有無に関わらず車両に必須の部品です。電動化によってパワートレイン周りの部品需要が大きく変化する自動車業界において、足回り部品は構造変化の影響を受けにくいポジションにあります。軽量化・高強度化というEV向けの追加要件はむしろ技術的付加価値の向上機会となります。

強み4. グローバル14拠点による国際的な量産対応力

国内4・海外10の計14拠点は、完成車メーカーのグローバルモデル展開に追随できる体制を示しています。北米・中国・東南アジア・インドなど主要生産地域をカバーしており、現地調達コストの削減と現地ニーズへの対応を両立しています。転職者にとっては海外での工場立ち上げや量産安定化プロジェクトに参画できる可能性があることを意味します。

強み5. 金型内製による高品質・短納期

プレス金型・溶接治具の自社設計・製造は、外注依存より品質管理の精度が高く、不具合発生時のPDCAサイクルも速いです。この内製力はOEM(完成車メーカー)からの要求品質に迅速に対応する競争力の源泉であり、技術者が設計から量産まで一貫してモノと向き合える環境でもあります。

強み6. 原価改善・軽量化技術の継続投資

高張力鋼板のホットスタンプ工法・異材接合・アルミプレス部品など、軽量化と高強度化を両立する製造技術への投資を継続しています。これらは完成車メーカーの燃費規制対応・CO2削減要求に直接応えるものであり、ヨロズの中長期的な技術的差別化につながっています。

ヨロズの年収事情

ヨロズの平均年収は各種データソースによって570〜600万円程度が一般的な水準とされています(複数の転職・年収情報サイトの推計値)。自動車部品業界の中では中位〜やや上位に位置するとみられます。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
製造技術・生産技術(若手)380〜520万円程度
製造技術・生産技術(中堅)520〜680万円程度
金型設計エンジニア480〜680万円程度
品質管理・品質保証450〜640万円程度
設計・CAEエンジニア500〜700万円程度
海外駐在員(現地手当含む)600〜900万円程度
管理職(課長クラス)700〜850万円程度
管理職(部長クラス)850〜1,050万円程度

※上記は各種転職情報サイトの公開データをもとにした推計値です。実際の提示額は経験・スキル・勤務地・海外駐在の有無により大きく異なります。

給与制度の特徴

ヨロズは年功序列的な傾向が残る伝統的メーカー文化であり、基本給は年次・等級に応じて段階的に上昇するとみられています。社員クチコミでは「残業が多い分、残業代込みで収入が増える」という声が複数確認できます。賞与は業績連動型で、完成車メーカーの生産台数動向に影響を受けやすい面があります。

年収を見る際の注意点

  • 残業代込みの年収が一般的に報告されており、基本給の水準は表示年収より低い場合がある
  • 海外駐在の場合は現地手当・住宅補助が加算されるため、実質的な収入は増える
  • 部門・職種・勤務地(国内4工場+本社)によって年収分布に差がある
  • 「残業が多い」という口コミが複数あるため、働き方のトレードオフは事前に確認が必要

ヨロズの働き方・福利厚生

勤務時間・休日

工場勤務はシフト制(日勤・夜勤等)が基本です。本社・技術部門では標準的な日勤シフトが多いとされています。製造業平均に準じた年間休日120日前後が見込まれますが、完成車メーカーの生産スケジュールに連動して繁忙期と閑散期がある点は意識が必要です。

リモートワーク

製造・品質・生産技術職は現場への出勤が前提であり、リモートワークは基本的に限定的です。本社の管理・企画系職種では一部フレキシブルな勤務が認められているケースがあります。

主な福利厚生

  • 各種社会保険完備(健康・厚生年金・雇用・労災)
  • 退職金制度
  • 企業年金制度
  • 社員寮・独身寮(工場周辺)
  • 社宅・住宅手当
  • 海外赴任手当・現地住宅補助
  • 育児休暇・介護休暇(法定準拠)
  • 資格取得支援・技術研修プログラム
  • 語学研修支援(海外駐在候補者向け)
  • 健康保険組合の各種給付(人間ドック費用補助等)
  • 持株会制度
  • 慶弔見舞金

働き方の注意点

国内4工場(横浜・栃木・宮城・岐阜)と海外10工場があるため、キャリアに応じた転勤・海外赴任の可能性があります。工場立ち上げプロジェクトへのアサインは技術的成長の大きな機会である一方、家族帯同の準備が必要な場合もあります。事前に転勤・赴任の方針を選考中に確認することを推奨します。

ヨロズの社風・カルチャー

一言で表すなら「現場主義の技術集団」

「良いクルマを走らせる足を作る」という使命感が組織の根底にあります。設計・金型・プレス・溶接・検査という現場の一線が高く評価される文化であり、現場技術者のステータスが比較的高い自動車部品メーカーです。海外工場の立ち上げを通じたグローバルな経験も組織内でのキャリア形成に評価されます。

評価される人物像

  • 現場課題を粘り強く改善し続けるカイゼン精神を持つ人
  • 量産品質の安定化に情熱を持って取り組める人
  • 海外工場のスタッフとコミュニケーションを取りながらチームをまとめられる人
  • 軽量化・高強度化など技術トレンドに自律的にキャッチアップする人
  • 完成車メーカーとの交渉・技術連携をリードできる折衝力のある人

表面的なイメージと実態の差

「ヨロズ=日産系列の下請け」というイメージを持たれることがありますが、現在はマルチカスタマー化が進んでおり、ホンダ・GM・トヨタなどへの依存度も高まっています。一方で「残業が多い」という口コミは複数あり、繁忙期の長時間勤務は否定しきれません。完成車メーカーの納期に直結する部品製造という性質上、スケジュールの柔軟性は限られる局面があることは認識しておく必要があります。

ヨロズの転職難易度

難易度:B級(中程度)

自動車部品業界の中では認知度がやや高めであるため競争率は一定ありますが、製造・生産技術系職種では同業他社からの即戦力転職であれば合格率はそれほど低くはありません。完成車メーカー(完成品側)からサプライヤー側への転職という路線も現実的です。

理由1. 製造技術・生産技術職が採用の主力であり経験者は評価されやすい

ヨロズの主な中途採用は製造技術・生産技術・金型設計・品質保証です。自動車部品のプレス・溶接・成形の実務経験者は選考でポジティブに評価されます。同業他社または完成車メーカーの生産技術出身者は書類通過率が高い傾向があります。

理由2. 海外工場要員の需要が比較的安定

14拠点体制の維持と新拠点の立ち上げにより、海外工場での製造技術・品質管理人材の需要は継続的に発生します。英語・中国語・タイ語等の語学力と製造スキルの掛け合わせで唯一性を出せる候補者には有利な環境です。

理由3. 管理系・企画系の中途採用は競争率が高め

経営企画・人事・財務などコーポレート系の中途採用は枠が限られます。製造職と比べて採用頻度が低く、応募が集中しやすいため競争倍率は高くなります。

ヨロズの主な募集職種

ヨロズの中途採用は主に技術・製造職が中心です。ライン管理から海外拠点立ち上げまで幅広いポジションが存在します。

  • 製造技術エンジニア(プレス・溶接・成形)
  • 生産技術エンジニア(工程設計・設備導入)
  • 金型設計エンジニア(プレス金型・溶接治具)
  • 品質管理・品質保証エンジニア
  • CAE・構造解析エンジニア
  • 海外工場立ち上げ・量産安定化エンジニア
  • 自動車・輸送機器法人営業
  • 経営企画
  • 経理・財務事務
  • 採用担当

ヨロズに向いている人

タイプ1. 現場のカイゼンに粘り強く取り組める人

プレス・溶接・検査工程における品質問題の原因究明と再発防止、タクトタイム短縮や歩留まり改善など、現場ベースの継続的改善が業務の根幹にあります。地道な問題解決が組織に評価される文化です。

タイプ2. グローバルな現場経験を積みたい人

海外10工場への異動・出張・駐在は技術者にとって大きなキャリア資産になります。海外で工場立ち上げに携わったり、現地スタッフを技術指導した経験は、自動車業界でのキャリアを加速させます。

タイプ3. 足回り技術の専門家として深掘りしたい人

サスペンション設計・解析・成形という狭い技術ドメインを深く掘り下げることで「サスペンションなら自分に聞いてくれ」という専門家ポジションを築きたい人には、専業メーカーとして最適な環境です。

タイプ4. EV時代でも製造ベースのキャリアを続けたい人

ヨロズの足回り部品はEV・HV・内燃機関を問わず必要とされるため、パワートレイン系サプライヤーのように電動化で事業転換を迫られるリスクが低い。製造業のキャリアを長期視点で考える人には安心感のある選択肢です。

ヨロズに向いていない人

批判ではなくミスマッチ防止のため、以下のタイプには注意が必要です。

  • タイプ:残業を極力減らしたい人 ─ 完成車メーカーの生産スケジュールに直結するため、繁忙期は残業が増えやすい。ワークライフバランスを最優先とする場合はギャップが生じる可能性がある
  • タイプ:幅広い事業・商品を経験したい人 ─ サスペンション部品への特化は深さを生むが、事業の幅は狭い。複数事業を横断したい総合職志向とはずれがある
  • タイプ:ITサービス・DX・ソフトウェア志向の人 ─ 製造業の現場主義が文化の中核であり、ソフトウェア・デジタル系のキャリアを軸にする場合は優先度が低い
  • タイプ:転勤・海外赴任を一切避けたい人 ─ 国内4工場+海外10工場の体制のため、キャリアステップに応じた異動の可能性がある。居住地の変更が難しい場合は事前確認が必要
  • タイプ:短期昇給・短期昇格を期待する人 ─ 年功的な文化が残っており、入社直後の急激な年収アップや昇格は起きにくい傾向がある

ヨロズの選考対策

選考1. プレス・溶接・成形の実務経験を具体化して伝える

製造技術・生産技術系の選考は実務経験の具体性が最重要評価基準です。「どの材料で、どのプレス工法で、どのような品質水準を達成したか」を数値と製品名・規格で表現できると評価が高まります。

選考2. 足回り部品への理解と関心を示す

「なぜヨロズか」の動機付けとして、サスペンションメンバー・リンクが車両の安全性と走行性能に与える役割への理解を示すと説得力が増します。乗り心地・ハンドリング・衝突安全性といったキーワードと自分の経験を結びつけることが有効です。

選考3. グローバル経験・語学力はプラスアルファとして強くアピールする

海外工場への展開が今後も続く見通しのため、英語や中国語・東南アジア言語の実用的なコミュニケーション能力と海外プロジェクト経験があれば積極的に記載します。語学力だけでなく、異文化チームでの技術指導・問題解決の経験がある場合は特に評価されます。

選考4. カイゼン・QC活動の実績を数値で語る

製造現場のカイゼン文化が強い企業のため、QCサークル・品質改善・コスト削減・不良率低減などの具体的な実績数値(〇〇%改善、〇〇円削減等)を用意しておきます。

選考5. 完成車メーカーの生産スケジュールに連動する環境への適応意欲を示す

顧客(完成車メーカー)の納期・品質要求が非常に厳格な環境であることを理解した上で、「その中でどう価値を出すか」という姿勢を面接で示すことが重要です。サプライヤーとしての責任感と顧客折衝経験があれば具体的に語ります。

選考6. 転職エージェントを通じた非公開求人の把握

自動車部品業界に強いエージェントを活用することで、公開されていない中途採用枠を把握できることがあります。ヨロズは大手求人サイト経由の採用と並行して、エージェント経由の採用も行っているとみられるため、複数のルートでアプローチすることを推奨します。

ヨロズへの転職で評価されやすい経験

  • 自動車部品(プレス・溶接・鋳造・鍛造)の製造技術・生産技術実務経験
  • サスペンション部品・シャシー部品の設計・解析(CAE)経験
  • 高張力鋼板(ハイテン)のプレス成形・ホットスタンプ工法の知識・経験
  • プレス金型・溶接治具の設計・製作経験
  • 品質保証・品質管理(IATF 16949準拠の経験があると特に有利)
  • 完成車メーカーまたはTier1部品メーカーでの生産技術実務経験
  • 海外工場(中国・東南アジア・北米)での立ち上げ・量産安定化経験
  • 英語・中国語・タイ語等での現地スタッフへの技術指導経験
  • 原価改善・VE(バリューエンジニアリング)活動のリード実績
  • QCDをマネジメントしたプロジェクトリード経験
  • 完成車メーカー(日産・ホンダ・トヨタ等)との技術折衝経験
  • カイゼン活動・TPS(トヨタ生産方式)の実践経験
  • FMEA・FTA・4Mなど品質管理手法の実務経験
  • 設備設計・自動化設備の導入・保全経験

特に評価されやすいのは、Tier1自動車部品メーカー出身でサスペンション・シャシー系部品の製造技術・生産技術を担った経験者です。高張力鋼板のプレス・溶接経験と海外工場経験の掛け合わせは、ヨロズの採用優先度が非常に高い人材プロファイルに合致します。

まとめ

株式会社ヨロズは、サスペンションメンバー・リンクという自動車の安全と走行性能を支える部品の専業大手として、約80年間一筋に技術を磨いてきた自動車部品メーカーです。日産・ホンダ・GM・トヨタをはじめとするマルチカスタマー体制と、国内外14拠点のグローバル量産能力が同社の競争優位の核心です。

転職者にとっての魅力は、サスペンション技術の深い専門性を積める環境と、グローバルな現場経験が豊富なことです。電動化によって自動車業界が大変革を迎える中、足回り部品は内燃機関・EV・HVを問わず必要とされるため、中長期のキャリア安定性という観点でも評価できます。

一方で完成車メーカーの生産スケジュールに直結する業種特性から、繁忙期の残業増加や転勤・海外赴任の可能性は事前に理解しておくことが重要です。自動車の走行安全性を根底で支える部品を作るという使命感に共鳴でき、現場での技術改善に継続的に取り組める人材が、ヨロズで長期にわたって活躍できる人物像です。

参考リンク