株式会社博報堂は、創業1895年(明治28年)という130年超の歴史を持つ日本を代表する総合広告代理店です。電通に次ぐ国内広告業界2位として、国内外の名立たる企業のマーケティング活動を支えてきました。

博報堂の最大の特徴は「生活者発想」という独自の哲学です。人を単なる「消費者」ではなく、多面的な生活を送る「生活者」として深く洞察し、そこから生まれるインサイトをマーケティング戦略・クリエイティブ制作・メディアプランニングに落とし込む。この視点は、国内外の競合他社との明確な差別化軸となっています。

平均年収1,092万円(2025年3月期)、採用倍率20.8倍、中途採用比率47.7%(2023年度)。これらの数字が示すのは「高い競争率を突破した先に、業界最高水準の環境がある」という現実です。しかし、転職を成功させるためには同社の実態を正確に理解することが不可欠です。本記事では人材エージェントの視点から、博報堂の強み・注意点・選考対策まで詳しく解説します。

企業概要

項目内容
会社名株式会社博報堂(Hakuhodo Inc.)
創業1895年(明治28年)10月6日
設立1924年2月11日
代表取締役社長名倉 健司
本社所在地東京都港区赤坂5丁目3番1号 赤坂Bizタワー
資本金358億48百万円
従業員数4,654名(2025年9月1日時点、単体)
上場区分非上場(親会社・博報堂DYホールディングスが東証プライム上場、証券コード:2433)
グループ売上高9,533億円(博報堂DYホールディングス連結・2025年3月期)
グループ営業利益375億円(博報堂DYホールディングス連結・2025年3月期)
平均年収1,092万円(2025年3月期・有価証券報告書ベース)
事業内容マーケティング戦略策定、クリエイティブ制作、メディアプランニング・バイイング、デジタルマーケティング、PR・プロモーション

博報堂は単体では非上場企業ですが、持株会社である博報堂DYホールディングス(2433)が東証プライムに上場しています。同グループには博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、大広、読売広告社など計384社の子会社・64社の関連会社が属します。

主な事業内容

博報堂の事業は大きく「マーケティング事業」と「メディア事業」に分かれ、それを支えるクリエイティブ力・データ活用・テクノロジー対応が融合した統合ソリューションを提供しています。

マーケティング・コンサルティング

クライアント企業の経営課題・事業課題を起点に、ブランド戦略から新規事業開発まで幅広い上流コンサルティングを担います。博報堂の独自強みである「生活者データバンク」(40年以上継続している大規模生活者調査)を活用し、市場環境の変化や生活者行動の深層を分析した戦略立案が特徴です。子会社の博報堂コンサルティングが戦略コンサルティング機能を担い、経営層と直接対話できる案件も多数あります。

クリエイティブ

テレビCM・デジタル動画・OOH(屋外広告)・WebコンテンツなどのクリエイティブをACD(アートクリエイティブ部)・CDD(クリエイティブ戦略部)などの専門部署が担当します。博報堂は国内外のカンヌライオンズ・One ShowなどでのCC受賞実績を誇り、クリエイティブの質の高さは業界内でも評価されています。近年はAIを活用したクリエイティブツール「CREATIVITY ENGINE BLOOM」を開発・展開し、テクノロジーとクリエイティビティの融合を加速させています。

メディアプランニング・バイイング

グループ会社の博報堂DYメディアパートナーズがメディア事業を担い、テレビ・新聞・雑誌・ラジオなどの従来型メディアから、デジタル広告・OTT(動画配信)・CTV(コネクテッドTV)まで幅広いメディアバイイングと効果最大化を行います。国内最大規模のメディアバイイング実績により、媒体社との交渉力・枠確保力は業界随一です。

デジタルマーケティング・データ活用

「オールデジタル化」を戦略の柱に掲げ、デジタル広告運用・データ分析・CRM・プログラマティック広告・コンテンツマーケティングを包括的に提供。独自のデータプラットフォームとAI技術を組み合わせ、生活者の行動データをリアルタイムで活用した精度の高いターゲティングと効果計測を実現しています。

PRサービス

ステークホルダーコミュニケーションから企業ブランディング、危機管理広報まで幅広いPRサービスを提供。メディアリレーションズ、インフルエンサーマーケティング、コーポレートコミュニケーション支援などを行い、「広告」では届かない文脈でブランドを育てる取り組みを担います。

グローバル事業

世界50か国以上に拠点を持つグローバルネットワーク(Hakuhodo International)を活用し、日系企業の海外展開支援と外資系企業の国内マーケティング支援を双方向で行います。また、ADKグローバルネットワークとも連携し、アジア市場での展開に強みを持ちます。

株式会社博報堂の強み

強み1. 「生活者発想」という他社にない独自の視点

博報堂が40年以上継続している「生活者データバンク」は、日本・アジアを中心に数十万人規模の生活者調査を蓄積した独自資産です。商品やサービスを購入する「消費者」という枠を超え、人々が日々の生活の中でどのような価値観・感情・行動パターンを持つかを深く洞察する姿勢は、博報堂の全サービスの根幹をなしています。

転職者にとっての意味:「数字で見えない人間の心理を読む力」はデータ分析全盛の時代においても差別化要素です。この視点を体系的に学べる環境は博報堂特有のものであり、マーケターとしての地頭を鍛える価値があります。

強み2. クリエイティビティの高さと受賞実績

国内外のクリエイティブアワードにおける受賞実績は、博報堂が単なるメディアバイイング会社ではなく「アイデアの会社」であることを示しています。カンヌライオンズ・One Show・Spikes Asiaなどで継続的に受賞しており、「ものをつくる」「表現で人を動かす」という感性と技術が組織のDNAに染み込んでいます。

転職者にとっての意味:「クリエイティブを学んだ、もしくは掛け合わせたい」という人材にとって、これほど豊富なリファレンスと先輩クリエイターが身近にいる環境は稀です。広告会社の中でも特にクリエイティブ志向が強い人に向いた環境です。

強み3. 電通に次ぐ国内2位の圧倒的なクライアント基盤

トヨタ自動車・ソニー・花王・資生堂・NTTドコモなど、日本を代表する大手企業を長年のクライアントとして抱えており、案件の規模と質は業界最高水準です。単年の施策ではなく、ブランドの長期戦略・ビジネス変革に深く関与できるケースも多く、「広告を打つ」だけでなく「事業の成長パートナーとして機能する」経験を積める点が大きな魅力です。

転職者にとっての意味:博報堂在籍中に関わった案件の「ブランド名」は、転職市場でのシグナルになります。また、大手クライアントの経営幹部・マーケティング部長と直接対話できる機会は、次のキャリアへの人脈形成にもつながります。

強み4. グループ384社を活用した総合力

博報堂DYグループは、マーケティング・コンサルティング・テクノロジー・コンテンツ・インキュベーション・グローバルの6事業領域を持つ巨大グループです。AIコンサルティング、データプラットフォーム、コンテンツ制作、スポーツマーケティングなど、単体の「広告代理店」の枠を大きく超えた事業領域にアクセスできます。

転職者にとっての意味:グループ内でのジョブチェンジや出向の機会があり、「広告を超えたキャリア」を設計できる可能性があります。一つの会社の中に複数の業種・機能が凝縮されているのは大きなアドバンテージです。

強み5. AI・テクノロジーへの本格シフト

近年、博報堂はAI活用を全社戦略の中心に据えています。自社開発のAIソリューション「CREATIVITY ENGINE BLOOM」を中心に、生成AIを用いたクリエイティブ制作支援・マーケティング分析・プランニング効率化を推進しており、AIコンサルタント職やAIビジネス推進職の積極採用を行っています。テクノロジーと広告・マーケティングの接点に立ちたい人材にとって、変革の真っただ中に飛び込む機会があります。

転職者にとっての意味:「広告×AI」の知見を持つ人材は市場で稀少性が高く、博報堂での経験はその先のキャリア形成における強力な差別化要素となります。

強み6. 財務安定性と1,000億円超の平均年収水準

グループ売上9,533億円・営業利益375億円(2025年3月期)という盤石な財務基盤を背景に、業界トップ水準の報酬体系を維持しています。平均年収1,092万円(2025年3月期・有価証券報告書ベース)は41.4歳の平均年齢で達成される水準であり、役職が上がれば管理職1,300万〜2,000万円、部長クラスでは2,000万円超という口コミも確認されています。

転職者にとっての意味:金銭的なリターンだけでなく、「潰れない会社で腰を据えてキャリアを積める」安定感は、ベンチャー企業には代えられない価値です。ただし、その安定の代償として「入るまでの競争の激しさ」があることも理解しておく必要があります。

株式会社博報堂の年収事情

有価証券報告書(2025年3月期、博報堂DYホールディングス連結ベース)によると、博報堂の平均年収は1,092万円(平均年齢41.4歳、平均勤続年数13.7年)です。広告・マーケティング業界でも最上位クラスの報酬水準を誇ります。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
営業(ビジネスプロデューサー)700万〜1,200万円
クリエイティブ(ACD/CD)800万〜1,400万円以上
マーケティングプランナー700万〜1,100万円
ストラテジックプランナー800万〜1,300万円
デジタルマーケティング600万〜1,000万円
AIコンサルタント700万〜1,200万円
コーポレート(経理・人事など)600万〜1,000万円
中途入社(エントリー)700万円前後〜

※上記は公開求人・口コミ情報・採用媒体をもとにした目安です。実際の年収はグレード・評価・経験・職種によって大きく異なります。

給与制度の特徴

博報堂の給与体系は入社後3年目まで「年俸制+残業代+賞与(年1回、6月支給)」の形式です。4年目以降は裁量労働制に移行し、みなし労働が適用されるため残業代の別途支給がなくなります。新卒初任給は月額30万円(2024年度実績)です。

昇給・昇格は年次評価と実績の組み合わせで決まりますが、年功序列の要素も残っており、「若手のうちは成果を出しても報酬反映が遅い」という口コミも一部に存在します。一方で、管理職以降の昇格ペースは早い人では30代後半から実現する事例もあります。

年収を見る際の注意点

  • 新卒3年目までの裁量労働制への移行後は残業代がなくなる点を意識してください
  • OpenWorkの待遇・報酬の満足度スコアは業界大手比で中程度との評価もあり、「名声に比べて報酬は低い」という感想を持つ社員も一定数います
  • 職種により報酬の天井が大きく異なります。クリエイティブ職は外部との報酬格差が生じやすい一方、ビジネス職・管理職ラインは高水準です
  • 中途採用で入社する場合、前職の年収・経験・職種によって提示額は大きく変動します。エージェント経由での条件交渉を活用することを推奨します
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株式会社博報堂の働き方・福利厚生

勤務時間・休日

  • 所定労働時間: フレックスタイム制(コアタイムなし)を一部部署で導入。スタンダードは10:00〜19:00(実働8時間)
  • 裁量労働制: 入社4年目以降は裁量労働制が適用
  • 年間休日: 土日祝日・年末年始・夏季休暇など
  • フリーバカンス制度: 年2回、連続5日間の休暇取得が可能(土日祝と連結すれば最大9日以上の連続休暇に)
  • 有給休暇取得率: 1人あたり平均75%(全国平均を上回る水準)

リモートワーク・働き方

2024年度より完全在宅社員の雇用もスタートしており、テレワーク環境の整備が進んでいます。在宅勤務のためのリモート環境整備手当も支給されます。また、2019年から展開してきた「働き方改革」の一環として、「サイレント10(平日22時以降・土日の不要不急の連絡を控える)」「インターバル11(退勤から翌出勤まで11時間のインターバルを設ける)」「プラ休(プラスの連続休暇取得奨励)」などの独自ルールを策定し、長時間労働の抑制に取り組んでいます。

ただし、口コミには「クリエイティブ職・営業職では繁忙期に月80〜100時間超の残業が生じることがある」という声もあります。制度の整備と現場実態のギャップは職種・チーム・クライアントの性質によって異なります。

主な福利厚生

  • 各種社会保険完備
  • 博報堂健保組合(保養施設利用可)
  • 住宅補助:転勤を伴う場合など一定条件下で支給(自己都合による居住地の場合は原則なし)
  • フリーバカンス制度(年2回・5日連続休暇)
  • フレックスタイム制
  • 資格取得支援・研修制度
  • 育児・介護休業制度(法定以上の設定あり)
  • 社内保育施設・ベビーシッター補助
  • 退職金制度・企業年金

働き方を見る際の注意点

制度面は確実に改善されていますが、広告代理店業務の性質上、クライアントの要求スピードや突発的なトレンド対応が求められる場面は今後も継続します。「安定した9〜18時の生活」を最優先するなら、博報堂のペースとは合わない可能性があります。一方、離職率は6.4%(2022年3月期)と広告業界平均(10%)を大きく下回っており、「長く働ける環境である」という別の側面もあります。

株式会社博報堂の社風・カルチャー

一言で表すなら「粒違いの個性が自由闊達に議論する知性派集団」

博報堂は「粒ぞろいより粒違い」という採用哲学を公式に掲げています。文系・理系、学部卒・院卒を問わず、「自分の個性と発想で新しい価値を生み出せる人材」を求めており、組織の雰囲気は電通と比較して「フラット・議論好き・個人の自律性が高い」と評されることが多いです。

OpenWorkが示す社員の評価

OpenWork上の口コミでは、博報堂は「社風が自由で柔軟性が高い」「上下関係によるいづらさが少ない」「知的好奇心の高い同僚が多い」という肯定的な声が多く見られます。一方で「ハングリー精神の強さでは電通に劣る」「変化への対応スピードが遅い部分がある」「4年目以降は成果が上がっても報酬反映が見えにくい」という批判的な声もあります。

評価される人物像

  • 自分の頭で考え、「なぜそうなのか」を深く問い続けられる人
  • クライアントとの長期的な信頼関係を構築できる人
  • 個の専門性を磨きながらも、チームの多様な視点を統合できる人
  • テクノロジーの変化に対応しながら、人間の本質的な欲求・感情への洞察を深め続けられる人

表面的なイメージと実態の差

「ブランド力のある広告代理店でスマートに働く」というイメージで入社すると、現実との乖離を感じる可能性があります。大きなクライアントほどステークホルダーが多く、社内外の調整・根回し・泥臭い実務が伴います。「アイデアを出せば終わり」ではなく、「アイデアを実現するために社内外を巻き込み、クライアントを動かし、PDCAを回し続ける」力が問われます。

また、博報堂は社内に多様な専門領域の部署が存在するため、縦割り・セクショナリズムの課題を感じる声もあります。「部署の壁を越えて横断的に動く力」がある人は特に評価されやすい環境です。

株式会社博報堂の転職難易度

難易度:S級(業界トップクラスの競争率)

博報堂の中途採用は、転職市場でも最高難易度クラスです。採用倍率20.8倍という数字が示すように、書類選考から最終面接まで各ステップで高い選抜が行われます。

理由1. ブランド力と競争率の高さ

「日本を代表する広告代理店」としての知名度・ブランド力は転職志望者の数を高水準に保ちます。特にビジネスプランナー・クリエイティブ・ストラテジックプランナーなどのコア職種では、経験者・実績者が多数応募するため競争は激化します。また、デジタル・AI人材の採用に積極的に動いている現在、ITコンサルティング・データアナリスト・エンジニアなど技術系人材も競争が高まっています。

理由2. 即戦力としての専門性・実績の要求水準が高い

博報堂の中途採用は「入社後すぐにクライアント対応できる即戦力」が前提です。営業・マーケティング職なら「無形商材の法人営業経験と、クライアントの課題を起点に提案を組み立てた具体的な実績」が求められます。デジタル・データ職なら「特定の専門領域での成果(ROI改善・データ活用事例・プロダクト開発実績)」が必要です。「広告・マーケティングに興味があります」という抽象的なアピールでは書類選考を通過しません。

理由3. カルチャーフィットと個性の明確さ

博報堂は「粒違い」の個性を求めており、選考では「あなたが博報堂でしかできないことは何か」「あなたの独自の視点・発想はどこから来るのか」という問いが繰り返されます。スキルと実績だけでなく、「どのような人間か」「何を大切にしているか」という人格・価値観の部分まで深く問われます。「周囲と協調するのが得意な無難な人材」よりも「際立った個性と思想を持つ人材」が評価されます。

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株式会社博報堂に向いている人

1. 人間・生活者への深い興味と洞察力を持つ人

「なぜ人はこの商品を買うのか」「このキャンペーンが刺さった理由は何か」という問いを止められない人は、博報堂の「生活者発想」と親和性が高いです。数字やデータの背後にある人間の感情・文化・価値観を読み解くことを楽しめる人は、この環境で力を発揮しやすいでしょう。

2. 大規模・長期的なブランド戦略に携わりたい人

日本を代表する企業のブランドを長期的に育てる仕事に関わりたい人には、博報堂の業務規模と深さは唯一無二の機会です。単発のプロモーションではなく、5年・10年のスパンでクライアントのブランド構築に携わりたいという志向の人に向いています。

3. クリエイティブとビジネスを掛け合わせたい人

「広告のアイデアを世に出したい」「ビジネス課題をクリエイティブで解決したい」という人にとって、博報堂は国内で最も豊富なリソースと実績を持つ環境の一つです。クリエイティブ志望者にとっては、カンヌライオンズ受賞クラスの先輩と肩を並べて仕事をする機会があります。

4. テクノロジー×マーケティングの最前線で挑戦したい人

AI・データを活用した次世代マーケティングへのシフトが加速している今、「生成AI×クリエイティブ」「データ×生活者インサイト」「テクノロジー×ブランド体験」といった掛け合わせに興味のある人は、博報堂のデジタルトランスフォーメーションに直接貢献できるポジションに就ける可能性があります。

5. 自律的にキャリアをデザインし続けたい人

博報堂は「社員一人ひとりが自らのキャリアをデザインし、主体的にスキルを獲得していく」ことを方針として掲げています。「指示されたことだけこなす」スタンスではなく、「自分の専門性・志向に沿ってキャリアを切り拓く」意欲のある人ほど、この組織の多様なリソースを有効に活用できます。

株式会社博報堂に向いていない人

向いていない人を正直に書くのは「企業を悪く言うため」ではありません。ミスマッチを防ぐための情報として受け取ってください。

  • 広告・クリエイティブへの深い関心がない人: 業務の多くは最終的に「人を動かすコミュニケーション」に集約されます。この本質への興味が薄い場合、日常業務の意味を見出しにくくなります
  • 数字の成果だけで動きたい人: 成果報酬型ビジネスとは異なり、広告案件の効果は必ずしも短期間で数値化されません。「定性的な価値・長期的な信頼関係」を受け入れられる人でないとストレスを感じやすいです
  • 完全な定時退社・プライベート最優先の人: クライアントのスケジュール・突発案件・繁忙期の波は不可避です。「完全にコントロールされた生活リズム」は現時点では難しい職場です
  • 会社のブランドよりも自分の専門スキルで稼ぎたい人: 個人のスキルセットを市場で最大化したい場合、コンサルティングファームや事業会社の方が適している場合があります。博報堂の報酬は高水準ですが、「フリーランス・独立」を視野に入れた実力主義を求める人には物足りない部分もあります
  • 意思決定のスピードを最重視する人: 大型クライアントを持つ大企業ゆえに、社内承認プロセスや調整コストが一定程度発生します。「ベンチャーのような素早い意思決定」を期待すると違和感を覚える場面があります
  • 博報堂のブランドに乗りたいだけの人: 選考では「あなたの個性・独自性・思想」が徹底的に問われます。「有名企業に入りたい」という動機では選考を通過できず、入社後も「自分で価値を生み出す力」がなければ成果につながりません

株式会社博報堂の選考対策

1. 「なぜ博報堂なのか」を生活者発想の文脈で語る

電通・ADK・デジタルエージェンシーが無数にある中で、「なぜ博報堂か」という問いは必ず来ます。「生活者発想」「生活者データバンク」「クリエイティビティへの強いこだわり」という博報堂固有の哲学への共感を、自分の過去の経験・仕事観と紐付けて語れるようにしてください。公式サイトの「生活者発想」コンテンツ・採用ページ・IRの中期経営計画・プレスリリースを読み込むことが出発点です。

2. 専門スキルを「クライアントへの貢献」として再定義する

中途採用では「あなたのスキルが博報堂のクライアントにどう使えるか」が評価基準です。デジタルマーケティング経験者なら「どのクライアントセグメントの課題解決に使えるか」、コンサル経験者なら「博報堂の案件でどの領域のコンサルティングを担えるか」という形で語れるよう整理してください。スキルを「会社側の視点」に翻訳する準備が不可欠です。

3. 「粒違いの個性」を具体的なエピソードで示す

博報堂の採用において「個性・独自性」は最重要評価軸です。「他の人とは違う自分の視点はどこから来るか」「これまでのキャリアで自分が生み出してきた独自の価値は何か」を問う設問や面接質問に対し、具体的なエピソードと自分の内面的な論理で答えられるよう準備してください。「チームで成果を出した」というありきたりな話より、「自分だからできた」という個性の輪郭が見える話の方が評価されます。

4. 生活者への洞察力を示す準備をする

面接や課題選考では「この現象の背景にある生活者の心理は何か」「このブランドが今後取るべき戦略は何か」という問いが出ることがあります。日常から「なぜ人々はこう行動するのか」という問いを持ち、自分の言葉で語れるストックを作っておいてください。ニュース・社会現象・消費トレンドを観察する習慣が実戦で活きます。

5. デジタル・AI領域は具体的な実績で語る

近年の博報堂はAI・データ人材の採用に積極的です。この領域での応募者は「ツールを使ったことがある」レベルではなく、「具体的なプロジェクトで何をどう実装し、どんな成果を出したか」という実績が求められます。社内外でのAI活用事例、データ分析による意思決定改善の実績、プロダクト開発の成果などを数字と共に整理してください。

6. 「自分のキャリアデザイン」と博報堂での仕事を接続する

博報堂は「社員が自律的にキャリアをデザインする」文化を重視しています。「5年後・10年後にどのようなプロフェッショナルになりたいか」「そのために博報堂でどのような経験を積むか」という問いへの答えを準備してください。「とにかく有名企業に入りたい」という動機は見透かされます。自分のキャリアビジョンと博報堂での具体的なアクションプランが一致している状態で面接に臨むことが重要です。

株式会社博報堂への転職で評価されやすい経験

  • 大手企業・ブランドへの法人営業経験(特に無形商材・ソリューション提案型)
  • マーケティング戦略の立案〜実行経験(上流〜下流の一気通貫)
  • 事業会社でのブランドマネジメント・マーケティング企画職の経験
  • デジタル広告運用経験(リスティング・SNS広告・プログラマティックなど)
  • データ分析・BI活用によるマーケティングPDCA推進経験
  • コンテンツマーケティング・動画プロデュース・クリエイティブディレクションの実績
  • PR・広報・コーポレートコミュニケーション業務の経験
  • コンサルティングファームでの戦略策定・クライアントワーク経験
  • AIを活用したプロジェクト推進・プロダクト開発の実績
  • CRM・MA・CDP導入・運用経験(特にデータ統合と顧客体験設計)
  • グローバルプロジェクト管理・多国間ステークホルダー調整経験
  • スポーツ・エンターテインメント・文化事業でのマーケティング経験
  • 社内外のステークホルダーを巻き込んだ大規模プロジェクト推進経験
  • 新規事業開発・インキュベーション・スタートアップとの協業経験

特に評価されやすいのは、「大手クライアントの課題を深く理解し、複数の専門領域(クリエイティブ・データ・メディア・PR等)を統合した提案を組み立て、実際に成果を出した経験」です。

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まとめ

株式会社博報堂は、130年超の歴史と「生活者発想」という独自哲学を持つ、日本を代表する総合広告代理店です。平均年収1,092万円・採用倍率20.8倍・国内広告業界2位という数字は、この会社の競争力と希少性を如実に表しています。

一方で、転職を検討する際には正直な目で実態を見ることも重要です。4年目以降の裁量労働制への移行・繁忙期の長時間労働・大企業特有の調整コスト・「若手期の報酬反映の遅さ」といった側面も口コミに見受けられます。「有名企業に入れれば何でもいい」ではなく、「博報堂でしかできないことが明確にある」という確信を持って挑戦することが、選考突破と入社後の活躍につながります。

博報堂に転職するなら、「なぜ生活者発想か」「なぜクリエイティビティか」「なぜ博報堂のクライアントでないと実現できないのか」という問いに、自分だけの答えを持って臨んでください。それこそが、採用倍率20.8倍を突破するための最も本質的な準備です。

人間の心を動かすコミュニケーションを、世界規模のブランドと共に設計したい人にとって、博報堂は日本でも有数の舞台を提供してくれるでしょう。


参照した主な情報源

  • 株式会社博報堂 公式サイト(hakuhodo.co.jp)
  • 博報堂 採用情報・キャリア採用サイト(hakuhodo-career.jp)
  • 博報堂DYホールディングス IR情報・2025年3月期決算短信(hakuhodody-holdings.co.jp)
  • 博報堂DYホールディングス 有価証券報告書(irbank.net)
  • OpenWork(openwork.jp)社員クチコミ
  • エン カイシャの評判 社風・企業カルチャー情報
  • 日本経済新聞 企業情報・決算情報
  • talentsquare(talentsquare.co.jp)年収・転職情報
  • migi-nanameue.co.jp 年収・転職難易度情報