株式会社ダブルエーは、婦人靴という比較的ニッチな市場でSPAモデルを確立し、東証プライムに上場した成長企業だ。「ORiental TRaffic」ブランドの認知度は若い女性層を中心に高く、価格帯(5,000〜8,000円台)と品質のバランスから、リピーターが付きやすいビジネス構造を持つ。

転職市場では、アパレル・小売業界出身者が「販売職からのキャリアチェンジ」を求めて応募するケースが多い。「現場を知っている人が本社を担う」という同社のカルチャーが刺さる人材層には、特有の魅力がある職場だ。

以下、転職検討者が押さえるべきポイントを網羅的に解説する。

企業概要

項目内容
正式社名株式会社ダブルエー
設立2002年2月(2004年1月に法人化、2007年7月に現社名へ)
代表者代表取締役社長 肖俊偉
本社所在地東京都渋谷区
資本金16億5,300万円
従業員数512名(2025年時点推計)
上場区分プライム市場(証券コード7683)
売上高約233億2,700万円(2025年1月期実績)
平均年収約361万円(口コミデータ等による推計)
平均年齢29.8歳
決算月1月31日
事業内容婦人靴の企画・製造・販売(SPA型ビジネス)

ダブルエーは「自社で企画した商品を、パートナー工場で生産し、直営店・ECで販売する」というSPAモデルを徹底している。中間業者を排除することでコストを抑え、顧客にとって「手が届くおしゃれな靴」を届けることを事業の核に置く。

日本国内に加え、香港・台湾・上海・マカオにも直営展開しており、アジアの女性顧客からも支持を得ている。香港については、日本から進出した小売業態として最多水準の店舗数を誇った時期もある。

主な事業内容

ダブルエーのビジネスは婦人靴に特化したSPAが根幹にあり、複数ブランドの同時展開によってターゲット層を広げている。

ブランド運営(ORiental TRaffic・WAブランド群)

主力の「ORiental TRaffic」は、20代を中心とした女性に向けた価格帯5,000〜8,000円台のトレンド靴ブランドだ。シーズンごとに多彩な新商品を投入し、店頭回転率の高さと粗利の厚さが収益の柱になっている。

「WA ORiental TRaffic」は30代以上の大人の女性をターゲットにした上位ライン。「ORTR」「WA!KARU」「NICAL」はそれぞれ異なる価格帯・テイストのブランドで、より幅広い顧客層の取り込みを狙っている。

国内直営店舗運営

国内主要商業施設・百貨店・ファッションビルへの出店を核に、全国規模の店舗ネットワークを構築している。上場時には国内100店舗を突破し、その後も拡大を続けた。

店舗での販売実績データを商品企画・仕入れに直接フィードバックする仕組みが、トレンドへの素早い対応力を支えている。

ECサイト・オンライン販売

自社ECとモール出店の双方を活用し、実店舗との相乗効果を生む戦略をとっている。アジア市場では中国のアリババ「Tmall」への出店も行っており、越境ECの活用も進めている。

海外直営店舗・アジア展開

香港・台湾・上海・マカオの直営店は、日本と異なる消費文化に対応したブランド展開を行っている。海外売上は為替・現地経済環境の影響を受けやすく、2025年の業績修正においても香港子会社の変則決算が要因のひとつとなった。

子会社ブランド(卑弥呼・HIMIKOグループ)

子会社を通じて「卑弥呼」「HIMIKO」「water massage」といった別路線のブランドも展開している。メインターゲット・価格帯が異なり、グループ全体での商品ポートフォリオ拡充を図っている。

ダブルエーの強み

強み1. 「婦人靴のユニクロ」と称されるコスパ型SPAモデル

5,000〜8,000円台という手の届きやすい価格で、トレンドを取り入れたデザインの靴を提供するポジショニングは、市場内での独自性が高い。中間業者を介さないSPAだから実現できる粗利構造と商品回転率の高さが、業績安定の根幹をなしている。転職者にとっては「売れる仕組みが明確な職場」で働くという意味での安心感がある。

強み2. 現場主義による強固な商品開発力

ダブルエーの商品企画は、店頭での売れ筋データと販売スタッフの生の声を最重視する。社内では「全社員が常に現場に向き合う」文化が強調されており、本社職の社員も定期的に店頭に立つ機会がある。このサイクルが「外れにくい商品」を生み出す源泉になっている。

強み3. 販売スタッフから本社職への内部登用

「現場を知っている販売スタッフが本社職を担う」というフィロソフィーが公式に掲げられており、キャリアチェンジの機会は他のアパレル企業に比べてオープンだ。販売経験を持ちながら企画・マーケティング・バイイングにチャレンジしたい人材にとって、実績しだいで道が開ける環境がある。

強み4. アジア展開で積み上げたブランドノウハウ

2013年から着手した海外展開(香港・台湾・上海・マカオ)は、国内で培ったSPAモデルをアジア市場に横展開したものだ。異なる文化・消費者へのブランド適応力は、グローバルな視野を持って働きたい人材にとって貴重な経験環境となる。

強み5. 東証プライム上場の信頼性とガバナンス

マザーズ(現グロース)からプライム市場に昇格したことで、情報開示・コーポレートガバナンスの水準が引き上げられている。上場企業としての管理水準・福利厚生の整備度は、非上場のアパレル企業と比べて高い水準にある。

強み6. 若い組織ならではのスピードと機動性

平均年齢29.8歳という若さは、意思決定の速さと挑戦を歓迎する文化に直結している。30代で中堅〜管理職クラスになる機会も多く、若くしてリーダーシップを発揮できる土壌がある。転職後のキャリア上昇速度として、大企業よりも速いペースを期待できる。

ダブルエーの年収事情

ダブルエーの年収は、アパレル・小売業界の中では標準的〜やや低めの水準だ。販売スタッフが多数を占める業態の性質上、全体の平均年収は相対的に抑えられている。本社職・管理職になることで収入水準は上がる構造だ。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
販売スタッフ(入社1〜3年目)250〜320万円程度
販売スタッフ(中堅・チーフクラス)300〜380万円程度
店長・マネージャー職380〜500万円程度
商品企画・バイヤー350〜500万円程度
マーケティング・EC担当350〜500万円程度
本社管理職(部長クラス)500〜700万円程度

※口コミデータおよび公開情報をもとにした推計値。個人の評価・役職により差異がある。

給与制度の特徴

月次の基本給に加え、賞与は年2回支給されるが、賞与水準は「0.5ヶ月分程度」という口コミも見られるなど、大企業に比べると少なめの傾向がある。業績連動の要素があり、会社・店舗の業績が直接影響する。販売スタッフは歩合・インセンティブ要素がある場合も。

年収を見る際の注意点

  • 平均年収361万円程度(各種口コミ・推計データによる)は、販売職が多数を占める全体平均のため、本社職・管理職は実態がかなり高い可能性がある
  • アパレル業界特有の販売ノルマ・繁忙期の長時間労働は、実質的な時給換算に影響することがある
  • 住宅手当などの福利厚生は「ある」という口コミもあるが、詳細は選考時に確認が必要
  • 副業は不可とされているため、収入補完の手段が限られる点に留意

ダブルエーの働き方・福利厚生

勤務時間・休日

小売業の性質上、店舗スタッフはシフト制勤務が基本。土日祝は繁忙のため、休日取得は平日中心になるケースが多い。希望休は月2日程度取得できるとの口コミがある。

残業は比較的少ないとの声が多く、「残業や休日出勤はほとんどない」という口コミも見られるが、繁忙期(クリスマス・セール等)は例外になりやすい。

リモートワーク

小売・販売業の特性上、店舗スタッフはリモートワーク対象外だ。本社機能の一部では在宅勤務が一定程度導入されている可能性はあるが、公開情報は限られる。

福利厚生

  • 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
  • 退職金制度(詳細は要確認)
  • 住宅手当・家賃補助(制度あり・金額は要確認)
  • 社員割引制度(自社ブランド商品を割引購入可能)
  • 育児休暇・産前産後休暇制度
  • 健康診断の実施
  • 慶弔見舞金制度
  • 有給休暇
  • 服装・ファッションに関わるスタッフ向けの社内研修
  • 女性が多い職場のため、女性向け制度の整備が進んでいる

注意点

副業不可のポリシーは入社前に十分確認しておくべき点だ。シフト勤務の性質上、販売職は不規則な生活パターンになりやすい。本社職へのキャリアチェンジを狙う場合は、社内公募や上長への意向表明タイミングを把握しておくことが重要だ。

ダブルエーの社風・カルチャー

一言で表すなら「若くてフラット・現場が会社の軸」

ダブルエーの文化を一言で表すなら「現場主義の若い組織」だ。平均年齢29.8歳という数字が示す通り、経営陣から現場まで比較的若い世代が中心を担っている。階層は存在するものの、販売現場で積み上げた実績が本社でのキャリアに直結するフラット感は、ファッション・小売業界の中でも際立つ。

評価される人物像

  • 接客・販売に誇りを持ち、数字(売上・客数・客単価)に向き合える人
  • ファッション・靴に対する本物の興味と感度を持っている人
  • 現場経験を活かして会社全体に関わりたいというキャリア志向を持つ人
  • 変化を楽しめる・新しいことへの挑戦を厭わない人
  • 若い組織らしいスピード感・コミュニケーションの活発さを好む人

表面的なイメージと実態の差

「ファッション企業だからおしゃれで華やかな職場」というイメージは半分正しく、半分は違う。婦人靴の販売は体力を要する仕事でもあり、立ち仕事・クレーム対応・在庫管理など現場の地道な業務が中心だ。また、年収水準はアパレル大企業(ファストリ・アダストリア等)に比べると低く、給与への過度な期待は禁物。「ファッションが好き・靴が好き」というパッションとキャリアアップ志向の組み合わせが、長続きする鍵になる。

ダブルエーの転職難易度

難易度:B〜C級(比較的入りやすい〜中程度)

アパレル・小売業界の中では採用間口がある方で、特に販売職は業界経験者であれば比較的チャレンジしやすい環境だ。一方、本社職(商品企画・マーケティング・バイヤー等)はポジション数が限られており、競争率が上がる。

理由1. 販売スタッフは継続的に採用

店舗拡大・人員入れ替えに伴う採用需要は常に存在しており、アパレル・小売の販売経験者であれば書類選考を通過しやすい。公式採用サイトや求人サイトでの募集は通年行われている傾向がある。

理由2. 本社職は実績と内部昇格が主流

商品企画・マーケティング・店舗開発などの本社職は、内部からの登用が多い。外部からの中途採用で本社職を狙う場合は、同業他社での同職種経験・英語力(アジア展開に関わる場合)・具体的な実績が求められる。

理由3. 定着率・離職率の把握が重要

小売・アパレルは業界全体として離職率が高い傾向にある。入社後の定着には、給与水準・シフト体制・キャリアパスへの納得感が必要だ。面接では「なぜダブルエーか」だけでなく「ダブルエーで何年後にどうなりたいか」まで具体的に語れるかどうかが評価されやすい。

ダブルエーの主な募集職種

ダブルエーは販売職が採用の中心だが、組織の成長に伴い本社機能も拡充してきている。

ダブルエーに向いている人

タイプ1. 「靴」「ファッション」が純粋に好きな人

販売の現場では商品への愛着と知識がそのまま接客力に直結する。「自分も使っている・好きなブランドで働きたい」という動機は、採用面接でもポジティブに評価される。

タイプ2. 現場経験からキャリアアップしたい人

「販売しかしてこなかった」ではなく「販売経験を活かして幅を広げたい」というキャリア観を持つ人に、ダブルエーの登用制度は響く。実績を積めば商品企画・マーケティングへのジョブチェンジが現実的な選択肢になる。

タイプ3. 若いうちから裁量を持って動きたい人

平均年齢29.8歳の組織では、30代前半でリーダー・管理職ポジションに就くことも珍しくない。大企業で順番待ちをするよりも、実力次第で早く動ける環境を望む人に向いている。

タイプ4. アジアマーケットに携わりたい人

香港・台湾・上海・マカオの直営展開に関わりたい人や、将来的に海外勤務・海外ビジネスに携わりたい人にとって、アジア展開のある同社は希少なキャリア環境を提供している。

タイプ5. 数字に向き合いながらファッションの仕事がしたい人

SPA企業の特性上、商品の売れ行き・在庫回転・粗利管理といった数字管理が仕事の根幹にある。感性だけでなくデータを活用してファッションの仕事をしたい人には充実した環境だ。

ダブルエーに向いていない人

批判ではなくミスマッチ防止のため、以下に正直に挙げる。

  • タイプ:高い年収水準を優先する人 アパレル・小売の年収水準はメーカー・IT・金融と比較すると低い。「ファッションが好き」よりも「高収入」を優先する人には構造的に合いにくい。
  • タイプ:土日休み・規則的な勤務を重視する人 店舗スタッフはシフト制で週末の休日取得が難しい。生活リズムの規則性を最優先にするなら注意が必要だ。
  • タイプ:副業・複業でキャリアを補完したい人 副業不可のポリシーは副業・複業志向の人材には制約になる。
  • タイプ:婦人靴・アパレルへの興味が薄い人 職場の空気・商品への会話・トレンドの議論など、業種に対する親和性が薄いと長続きしにくい職場だ。
  • タイプ:大企業のブランドや安定感を重視する人 ダブルエーはプライム上場とはいえ、売上230億円規模の中堅企業だ。メガブランドの看板や大企業特有の手厚い研修体制を求める人には不向き。

ダブルエーの選考対策

選考対策1. 「なぜ靴か・なぜダブルエーか」を具体的に語る

ファッション企業の選考で最も問われるのは「本気度と具体性」だ。「ORiental TRafficをよく利用している」「アジア展開のフェーズに関わりたい」「SPA型ビジネスモデルを学びたい」など、ブランド・ビジネスモデルへの理解を示す志望動機が有効だ。

選考対策2. 販売実績を数字で語れるよう準備する

店舗販売職の選考では、前職での売上実績・担当SKU・客単価・接客件数などを具体的な数字で提示できると評価が高まる。「何となく接客していた」ではなく「数字をもって仕事していた」ことを証明する準備が必要だ。

選考対策3. 本社職志望なら同職種の実績を整理する

商品企画・マーケティング・EC担当などの本社職を狙う場合、過去のプロジェクト・担当業務の成果(新商品の企画実績・SNSフォロワー増加数・EC転換率改善数値等)を具体的に示す必要がある。ポートフォリオや実績サマリーを事前に整理しておきたい。

選考対策4. 現場主義カルチャーへの共感を示す

ダブルエーが大事にしている「全社員が現場に向き合う」という姿勢に対して、共感できるエピソードを準備する。本社職であっても「店頭に立つことを厭わない」という姿勢は好意的に受け取られる可能性が高い。

選考対策5. キャリアパスの意図を明確に伝える

「この会社で何年後にどうなりたいか」を具体的に語れると、定着意向と成長意欲の両方を証明できる。「販売を経験して2〜3年後に商品企画にチャレンジしたい」など、ダブルエーの登用制度を活かしたロードマップを描いておくとよい。

選考対策6. アジアへの関心・英語力は加点要素

海外事業への関与に意欲がある場合は、英語力(TOEIC等)・中国語(繁体字圏への知見)・アジアへの渡航経験などを積極的にアピールする。海外展開を担える人材は希少価値が高い。

ダブルエーへの転職で評価されやすい経験

  • アパレル・ファッション業界での販売経験(2年以上が目安)
  • 婦人靴・フットウェアに特化した販売・商品管理経験
  • 店長・SVなどのマネジメント経験(複数店舗の管理)
  • 商品企画・MDプランニング・バイイング経験
  • EC運営・デジタルマーケティング(SNSマーケ含む)の実務経験
  • 中国語・広東語など繁体字圏の語学力(アジア展開担当)
  • 英語ビジネスレベル(海外サプライヤーとのやり取り)
  • データ分析・POSデータを活用した売場運営の実績
  • 在庫管理・物流コーディネートの実務経験
  • ショッピングモール・百貨店テナントの店舗運営経験
  • ファッション系SNS(Instagram・TikTok)のコンテンツ制作・運用経験
  • ブランディング・PR・プレスリリース制作経験

特に評価されやすいのは、アパレル・靴の販売での具体的な実績と、「本社機能を担いたい」という明確な意欲を組み合わせたプロフィールだ。 現場経験×成長志向という組み合わせは、ダブルエーが求める人材像と最もマッチしやすい。

まとめ

株式会社ダブルエーは、婦人靴SPA企業としての独自ポジションを確立し、東証プライム市場に上場した成長企業だ。「ORiental TRaffic」をはじめとする5ブランドを軸に、国内外で直営店を展開し、平均年齢29.8歳という若い組織でスピード感を持って事業を推進している。

年収水準はアパレル・小売の相場に沿った水準で、特に販売職では決して高いとはいえない。しかし、現場からの内部登用が整っており、実績次第でキャリアの幅を大きく広げられる環境は他の小売企業にない強みだ。

転職に際しては、ファッション・靴への本気の興味、数字に向き合う販売マインド、そして「ダブルエーでこういうキャリアを作りたい」という具体的なビジョンの3点を事前に整理しておくことが合格への近道になる。

参考リンク