第一屋製パン株式会社(第一パン)は、ポケモンパンシリーズをはじめ、アップルリングなどのロングセラー商品で知られる製パン業界の中堅老舗企業です。1948年創業という長い歴史と豊田通商グループの後ろ盾を持ち、食品メーカーとしての安定した経営基盤を築いています。

スタンダード市場上場(証券コード:2215)の上場企業として財務情報が公開されており、転職先としての信頼性が高い点も評価されています。平均勤続年数は15.3年と業界内でも高水準で、一度入社すれば長く働き続けられる職場環境が整っています。

転職先として第一屋製パンを検討する際には、製造業特有の特徴(シフト勤務・製造現場の環境・季節繁忙期など)を理解しつつ、食品メーカーとしての安定性・ブランド力・成長性を総合的に判断することが重要です。

企業概要

項目内容
正式社名第一屋製パン株式会社(FIRST BAKING CO., LTD.)
設立1948年8月(法人設立:1955年)
代表取締役細貝 正統
本社所在地東京都小平市小川東町3-6-1
資本金約33億556万円
従業員数約1,419名(連結、2024年12月末時点)
上場区分スタンダード市場(証券コード2215)
売上高約289億円(2025年12月期・連結)
平均年収約469万円(有価証券報告書ベース・2024年実績)
平均年齢約39.1歳
勤続年数約15.3年
事業内容パン・和洋菓子・不動産

第一屋製パンは、豊田通商株式会社が筆頭株主(約33.4%)を務める豊田通商グループの一員です。豊田通商グループとの関係により、資材調達・物流・グローバル展開などでシナジーが生まれており、独立系メーカーとは異なる経営環境にあります。

連結従業員数は約1,419名で、食品メーカーとしては中堅規模。パートタイム・アルバイトも含めた総従業員数はさらに多い状況です。売上高構成はパン事業75%・和洋菓子事業16%・その他8%・不動産1%となっており、パン事業が主軸ですが菓子事業でも一定の収益を確保しています。

主な事業内容

第一屋製パンの事業は「パン製造・販売」「和洋菓子製造・販売」「不動産」の3事業で構成されています。パン事業が売上の約4分の3を占める主力事業ですが、和洋菓子事業も確立したブランドを持ち、安定した収益源となっています。

製品はスーパーマーケット・コンビニエンスストア・学校給食・飲食店など多様なチャネルを通じて消費者に届けられています。全国規模の流通網を持ち、関東を中心に全国各地への供給を行っています。

パン事業(売上の約75%)

菓子パン・食パン・惣菜パン・学校給食用パンなど、幅広いカテゴリーのパンを製造・販売しています。「ポケモンパン」シリーズは2024年現在も継続的に人気を誇る看板商品で、キャラクター×食品という戦略が子ども向け市場で強いブランド認知を実現しています。

「アップルリング」などのロングセラー商品も根強いファンを持ち、定番商品と新商品の両輪でパン事業の成長を支えています。製造拠点は関東を中心に複数工場があり、新鮮なパンの安定供給体制を整えています。

和洋菓子事業(売上の約16%)

和菓子・洋菓子の製造・販売も第一屋製パンの重要な事業領域です。製パン技術と共通する小麦・卵・砂糖などの原材料を活用することで、製造効率のシナジーを生み出しています。

和菓子ではどら焼き・まんじゅうなどの伝統的な商品から、洋菓子ではスイーツ系のパンとの中間商品まで、幅広いラインナップを展開しています。コンビニやスーパーのスイーツコーナーへの供給も行っており、PB(プライベートブランド)商品の受託製造も手掛けています。

キャラクター・コラボレーション商品

ポケモンパンに代表されるキャラクターコラボ商品は、第一屋製パンの独自の強みです。子どもを中心とした消費者の購買動機を高め、定期的なシリーズ展開による繰り返し購買を促しています。

ポケモン以外にも様々なキャラクターや人気コンテンツとのコラボレーション商品を展開しており、話題性の創出とブランド露出増加に貢献しています。

不動産事業(売上の約1%)

本社周辺などの自社保有不動産の賃貸・管理を中心とした小規模な不動産事業も展開しています。本業との相乗効果は限定的ですが、安定した賃貸収入が収益の一部を支えています。

第一屋製パン株式会社の強み

強み1. ポケモンパンという唯一無二のキラーコンテンツ

1996年の初発売以来、ポケモンパンは日本の食品業界において特別な存在感を持ち続けています。「シール目当て」の子どもの購買行動を継続的に喚起する商品設計は、単純な食品の魅力を超えたコレクター需要を生み出しています。

ポケモン人気の世界的な広がりにより、インバウンド消費での注目度も高まっています。既存コンテンツとしての安定性と、新作ゲーム・映画のリリースに連動した販売促進効果が、長期的なブランド価値を維持しています。

強み2. 豊田通商グループとしての経営安定性

豊田通商(トヨタグループの総合商社)が筆頭株主であることで、資材調達・物流・金融面での支援を受けながら安定した経営を維持できます。グループの信用力は取引先との交渉力や金融機関からの信頼にもつながっており、独立系メーカーとの差別化要因です。

転職者の視点では、「大手グループ傘下の安定企業」という側面は、長期的な雇用安定性の観点から大きな安心材料となります。

強み3. 1948年創業の老舗ブランドと長期取引基盤

70年以上の歴史を持つ第一パンブランドは、スーパーマーケット・コンビニ・学校給食など主要流通チャネルとの長期的な取引関係を持っています。食品業界において新規参入が難しい棚確保や学校給食の入札採用実績は、競合との高い参入障壁を形成しています。

強み4. 多様なチャネルによる安定した販売基盤

スーパー・コンビニ・百貨店・学校給食・業務用など多様な販売チャネルを持つことで、特定チャネルへの依存リスクを分散しています。コンビニ依存度が高い競合企業が、コンビニ側の方針変更で影響を受けるリスクとは対照的に、チャネル分散が安定収益の源泉となっています。

強み5. 平均勤続年数15.3年の高い組織定着率

食料品業界の平均勤続年数(14.7年程度)を上回る15.3年という定着率は、従業員が長期間にわたって働き続けられる職場環境が整っていることを示しています。教育・研修制度が充実しており、入社後の育成環境への投資が定着率の高さにつながっているとみられます。

強み6. 老舗ロングセラー商品の継続的な存在感

アップルリングをはじめとするロングセラー商品は、世代を超えた消費者の支持を得ています。新商品投入コストの高い食品業界において、定番商品からの安定収益は経営の重要な安定装置です。定番商品がある企業は、景気変動への耐性が比較的高い傾向があります。

第一屋製パン株式会社の年収事情

第一屋製パンの平均年収は、有価証券報告書ベースで約469万円(2024年実績)とされています。食品メーカー全体の平均年収(450〜500万円程度)と同水準にあり、製パン業界としては標準的な水準です。

職種・部門・勤続年数によって年収差がある点は食品メーカー共通の特徴です。製造部門は交替勤務手当等が加算されることで年収が上がる場合があります。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
営業職(量販・コンビニ担当)400〜600万円程度
商品開発・マーケティング420〜620万円程度
製造管理・品質管理360〜520万円程度
工場管理職500〜750万円程度
製造現場スタッフ280〜420万円程度
経営企画・管理部門450〜700万円程度
経理・財務事務320〜480万円程度

※上記は複数の情報源をもとにした推計であり、実際の年収は個人の経験・評価により異なります。

給与制度の特徴

月給制を基本とし、賞与は年2回(夏季・冬季)支給が標準的です。製造現場では交替勤務手当・深夜手当が別途支給されるため、製造職は基本給以上の年収になるケースがあります。

豊田通商グループ傘下であることから、グループ標準的な人事制度を適用している可能性があり、大企業並みの制度整備が期待できます。

年収を見る際の注意点

  • 職種によって収入差が大きく、製造現場と管理部門・営業部門の年収レンジは異なる
  • 残業代込みの想定年収と固定給を分けて確認することが重要
  • 2025年12月期は増収減益(原材料価格高騰の影響)であり、賞与水準は業績連動部分に注意
  • 勤続年数が長いほど評価される傾向があり、転職初年度の年収は前職比でやや下がるケースも

第一屋製パン株式会社の働き方・福利厚生

勤務時間・休日

製造ラインは24時間稼働の工場もあるため、製造部門はシフト勤務が基本です。営業・管理部門は標準的な日勤(9時〜18時程度)での勤務となります。休日は週休2日制(製造部門はシフトに応じた休日)が基本で、年間休日は105〜115日程度と推測されます。

リモートワーク

食品製造業の特性上、製造・品質管理部門はリモートワークが難しい環境です。本社管理部門や営業職の一部では、週1〜2日程度のリモートワーク対応が可能とみられますが、詳細は採用時に確認が必要です。

福利厚生

  • 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
  • 社員食堂・食費補助(自社製品の割引購入等)
  • 退職金制度
  • 住宅補助・社宅制度(条件によりあり)
  • 慶弔見舞金制度
  • 育児・介護休暇制度
  • 定期健康診断・人間ドック
  • 通勤手当(実費支給)
  • 社員研修制度・キャリアアップ支援
  • 財形貯蓄制度
  • グループ企業の各種優待・割引

働き方の注意点

製造工場勤務の場合は、早番・遅番・夜勤などのシフト制勤務が発生します。食品製造業の衛生管理上、勤務中の制約(化粧・アクセサリー・においの強い食事等)もあります。繁忙期(年末年始・春)は生産量が増加し、残業や休日出勤が発生する場合があります。

第一屋製パン株式会社の社風・カルチャー

一言で表すなら「まごころこめた、ものづくりへのこだわり」

第一屋製パンの企業理念「おいしさに まごころこめて」は、社内文化をよく表しています。製品の品質・安全性・お客様への誠実さを最優先する文化が根付いており、製造現場でもオフィスでも「丁寧に仕事をすること」が重視されます。

1948年創業の歴史から育まれた「老舗の誇りと責任感」が組織風土の底流にあります。急激な変革より漸進的な改善を好む傾向があり、長期定着者が多い組織文化と一致しています。豊田通商グループ傘下となったことで、グループ企業としてのコンプライアンス意識・業務標準化も進んでいます。

評価される人物像

  • 食品・製造への誠実なこだわりを持ち、品質を最重視できる人
  • チームでの継続的な改善活動(QC・5S等)に真摯に取り組める人
  • 長期的な視点でキャリアを考え、じっくりスキルを磨ける人
  • 顧客(量販店・コンビニバイヤー等)との粘り強い関係構築ができる人
  • 変化を前向きに受け入れ、新商品開発・マーケティング革新に積極的な人

表面的なイメージと実態の差

「ポケモンパンの会社」「パンを作る仕事」というイメージからは、地味でルーティン的な職場に見えるかもしれません。しかし実際には、キャラクターコラボの商品企画・デジタルマーケティング・量販店向けの戦略営業など、創造性と専門性を要する仕事も多く存在します。

また、豊田通商グループの一員として業務効率化・DX推進が進んでおり、「昔ながらの食品メーカー」ではなく、変化に対応しようとする組織の動きもあります。

第一屋製パン株式会社の転職難易度

難易度:3級(普通)

大手食品メーカーと比較すると採用のハードルは高くなく、食品業界・製造業の経験者であれば比較的応募しやすい環境です。ただし、製造現場は体力・シフト対応が求められるため、希望職種・部門によって難易度が異なります。人気の商品企画・マーケティング職は競争率が高くなる傾向があります。

理由1. 食品・製造業の実務経験が重視される

食品メーカーでの製造管理・品質管理・営業の経験者は採用されやすい傾向があります。特に量販店・コンビニとの取引経験を持つ営業職や、HACCP・食品衛生管理の知識を持つ品質管理職は市場価値が高くなります。

理由2. 商品企画・マーケティング職は競争率が高い

「食品メーカーで商品を作りたい」という志向者が集まるため、商品開発・マーケティング職の競争率は高めです。消費財メーカーでのマーケティング・商品企画経験、またはキャラクターIP活用の経験などがあると有利です。

理由3. 製造・品質管理職は慢性的に採用ニーズがある

食品工場は稼働率が高く、製造管理・品質管理・生産技術職は継続的な採用ニーズがあります。食品製造業の実務経験・食品衛生管理者資格などがあれば、比較的採用可能性が高い職種です。

第一屋製パン株式会社の主な募集職種

食品メーカーとして製造・品質・営業・商品開発など幅広い職種での採用を行っています。

第一屋製パン株式会社に向いている人

タイプ1. 食品ものづくりに誠実なこだわりを持つ人

「安全でおいしい食品を届けたい」という使命感を持ち、製造品質・食品安全に誠実に向き合える人に向いています。食品製造業は「形の見えない健康・安全への貢献」という仕事の意義が明確であり、やりがいを感じやすい職種です。

タイプ2. キャラクターIPと食品を組み合わせた仕事をしたい人

ポケモンパンに代表されるキャラクターコラボの商品企画・マーケティングは、クリエイティブな要素と食品製造の専門性を融合させる仕事です。IPビジネスと食品メーカーの交差点で働きたいという志向のある人には特にユニークなキャリア機会です。

タイプ3. 安定した長期キャリアを重視する人

平均勤続年数15.3年という高い定着率が示すように、長期的に安心して働ける環境を求める人に向いています。育児・介護休暇など制度が整備されており、ライフイベントを迎えながらでもキャリアを継続しやすい職場です。

タイプ4. 大企業グループの安定性を享受しながら食品の仕事をしたい人

豊田通商グループという大企業の傘下にある安定感を持ちながら、食品メーカーという明確なポジションで専門性を磨きたい人に向いています。純粋な大企業より規模は小さいですが、食品事業の中での裁量を大きく持てる環境です。

第一屋製パン株式会社に向いていない人

批判ではなくミスマッチを防ぐために、向いていないタイプを正直に記述します。

  • タイプ:高年収(700万円以上)を短期間で実現したい人 — 食品中堅メーカーとして急激な年収上昇は期待しにくい
  • タイプ:シフト勤務・夜間勤務が絶対に嫌な人 — 製造部門はシフト制が基本であり、希望職種によっては避けられない
  • タイプ:スタートアップ的なスピードと変化を求める人 — 老舗メーカーの漸進的文化は、急速な変化を好む人には物足りない場合がある
  • タイプ:食品・健康への関心がなく仕事を割り切りたい人 — 食品製造業は製品への関心・誇りがモチベーション維持に直結する
  • タイプ:フルリモートを希望する人 — 製造・品質管理職を中心にリモート勤務が難しい職種が多い

第一屋製パン株式会社の選考対策

1. 食品業界・製造業の知識と経験を整理する

食品衛生管理(HACCP・ISO22000等)の知識・経験、量販店やコンビニとの取引経験、製造ライン管理の実績など、食品業界に関連するスキル・経験を具体的に整理してください。業界未経験者は食品業界への関心・理解を丁寧に説明する必要があります。

2. ポケモンパンやブランドへの理解を深める

「なぜ第一屋製パンなのか」という志望動機には、具体的な製品・ブランドへの言及が効果的です。ポケモンパンのマーケティング戦略・ロングセラー商品の魅力・競合他社との差別化をある程度理解した上で面接に臨みましょう。

3. 豊田通商グループとしての成長戦略を理解する

豊田通商グループとのシナジー・グループの経営方針が第一屋製パンにどう影響するかを理解していると、志望動機の説得力が増します。「グループの強みを活かして第一屋製パンの成長に貢献したい」という視点は評価されます。

4. 品質・食品安全への姿勢を具体的に示す

食品メーカーにおいて品質管理・食品安全への姿勢は採用判断の重要な要素です。前職での品質意識・改善活動・不良対応の経験などを具体的なエピソードで語れるように準備しましょう。

5. 長期定着意向を明確に伝える

平均勤続年数15.3年という組織文化に合わせ、「長期的にこの会社でキャリアを積みたい」という意向を明確に伝えることが重要です。短期的な転職を繰り返してきた経歴がある場合は、定着意向を丁寧に説明する場面が出てくる可能性があります。

6. 具体的な志望部門・職種と活躍イメージを語る

「製造管理として〜に取り組みたい」「量販営業で〜を実現したい」という具体的なキャリアイメージを持って面接に臨むことが効果的です。食品メーカーでは部門ごとに求められるスキルが大きく異なるため、志望職種に応じた準備が必要です。

第一屋製パン株式会社への転職で評価されやすい経験

  • 食品製造メーカーでの製造管理・生産管理の実務経験
  • 食品品質管理・品質保証の実務経験(HACCP・ISO22000等の知識)
  • 量販店(スーパー・ドラッグストア)向けの食品営業経験
  • コンビニエンスストアチェーン向けの食品・菓子営業経験
  • キャラクターIPを活用した商品企画・マーケティング経験
  • 消費財メーカーでのブランドマーケティング経験
  • 食品工場での生産技術・設備管理の経験
  • 学校給食向け食品の営業・供給管理経験
  • 食品衛生管理者・食品表示検定等の資格保有
  • 原材料調達・サプライチェーン管理の経験
  • 消費財の商品開発・新製品導入プロジェクトの経験
  • データ分析・マーケティングリサーチの実務経験

特に評価されやすいのは、食品メーカーまたは流通業での実務経験があり、HACCP等の食品安全管理の知識を持つ人材です。 こうした人材は食品業界全体で需要が高く、第一屋製パンのような老舗メーカーでも即戦力として採用される可能性が高いです。

まとめ

第一屋製パン株式会社は、ポケモンパンという国民的なキャラクターコラボ商品を持ち、老舗の技術力と豊田通商グループの安定性を兼ね備えた食品メーカーです。平均勤続年数15.3年という高い定着率が示すように、長期的に安心して働ける職場環境が整っています。

年収水準は食品業界の標準的なレンジであり、高年収を最優先する転職者には物足りない面があります。しかし「おいしい食品を届ける仕事への誇り」「安定したグループ企業での長期キャリア」「食品の専門性を深めたい」という志向を持つ方には、非常に魅力的な選択肢です。

転職を検討する際は、公式サイトのIR情報で最新の業績・採用状況を確認しつつ、志望職種(製造・品質・営業・商品企画)に応じた選考対策を丁寧に進めることをお勧めします。

ポケモンパンのような日本中の子どもたちに愛される商品に関われること、そして老舗ブランドの次の100年を担う一員になれること——第一屋製パンへの転職は、食品業界でのキャリアに確かな意義と安定をもたらしてくれる選択肢です。