エアトリは「総合旅行プラットフォーム」として航空券・ホテル・ツアーのオンライン予約サービスを提供しているが、その本質はITを活用した多事業グループだ。旅行事業で培ったデータ活用力・マーケティングノウハウを横展開し、ITオフショア・投資・DX支援など12以上の事業ドメインに進出している。
2007年の設立以降、国内OTA(オンライン旅行代理店)市場での地位を確立しつつ、ベトナム・ミャンマー等にオフショア開発拠点を設けて開発コスト最適化と国際展開を同時に進めてきた。2025年9月期の連結売上高は280億円・連結取扱高は1,203億円に達し、過去最高の減損前営業利益を達成している。
転職先として見た場合、「旅行×ITという珍しい事業領域」「上場ベンチャーならではのスピード感」「若くしてマネジメントに挑戦できる環境」が魅力だ。一方、勤続年数は4.0年と業界平均よりやや短く、変化の多い職場環境への耐性が問われる。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | 株式会社エアトリ |
| 設立 | 2007年5月11日 |
| 代表取締役 | 代表取締役社長兼CFO 柴田裕亮 |
| 本社 | 東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズ MORIタワー19F |
| 資本金 | 約18億円(2025年9月期末時点) |
| 従業員数(単体) | 172名(2025年9月末時点) |
| 従業員数(連結) | 約1,249名(グループ全体) |
| 上場区分 | プライム市場(証券コード:6191) |
| 連結売上高 | 280億円(2025年9月期) |
| 連結取扱高 | 1,203億円(2025年9月期) |
| 平均年収 | 約610万円(2025年9月期有報) |
| 平均年齢 | 36.9歳(単体) |
| 勤続年数 | 4.0年(単体) |
| 事業内容 | 旅行事業・ITオフショア開発・投資(CVC)・DX支援等 |
グループの売上はオンライン旅行事業が中心だが、投資事業(エアトリCVC)が近年利益の底上げに貢献している。単体従業員172名に対してグループ全体では1,249名規模となっており、ベトナムを中心とした海外拠点が人員の大半を占める構造だ。
主な事業内容
エアトリグループは旅行テックを軸に12以上の事業ドメインを持つ。各事業はITプラットフォームを通じて相互にシナジーを生む「エアトリ経済圏」の構築を目指している。
エアトリ旅行事業
国内最大級のオンライン総合旅行プラットフォームの運営が主力事業だ。航空券・ホテル・ツアー・ダイナミックパッケージをWeb直販し、旅行コンテンツのOEM提供や卸売事業も手がける。2025年9月期の旅行事業売上は前年比12.7%増と堅調だが、旅行需要の成長鈍化も一部見受けられ、次フェーズへの戦略転換が課題となっている。
訪日旅行(インバウンド)分野でも事業を展開しており、外国人観光客向けWi-Fiレンタル・旅行手配サービスを提供。コロナ禍の影響を受けたものの、インバウンド需要回復を追い風に改善傾向にある。
ITオフショア開発事業
ベトナムの主要3都市(ハノイ・ホーチミン・ダナン)に開発拠点を設け、約700名のITエンジニアを擁するラボ型オフショア開発が特徴的な事業だ。Webサービス開発・ゲーム開発・Webサイト制作などを手がけ、国内IT企業への開発リソース提供を行う。旅行事業と並走して成長してきた事業だが、直近は収益規模が縮小傾向にある。
投資事業(エアトリCVC)
コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)機能を持ち、スタートアップへの出資・育成を通じて事業ポートフォリオを拡充する。2025年9月期は投資事業が利益を底上げし、グループ全体での過去最高の減損前営業利益達成に貢献した。
DX・新規事業群
クラウド事業・クリエイティブソリューション&DX事業・マッチングプラットフォーム事業・人材ソリューション事業・AIロボット事業・ゴルフライフサポート事業・外貨自動両替機事業・町家宿泊・日本文化体験事業など、旅行で培ったデジタルマーケティング力を各産業に横展開している。これらの新規事業が将来の成長エンジンとして位置づけられている。
エアトリの強み
強み1. 国内OTA市場での確固たるブランドポジション
「エアトリ」ブランドは国内の格安航空券予約サービスとして広く認知されており、高いリピート率と豊富な顧客基盤を持つ。大手OTA(楽天トラベル・じゃらん等)と差別化された価格競争力と、メルマガ・SEOを軸としたデジタルマーケティングで集客効率を高めている。この基盤が他事業への顧客誘導チャネルとして機能する「経済圏」形成に寄与している。転職者にとっては、知名度のある企業ブランドを背景にキャリアを築ける点が魅力だ。
強み2. ベトナム発のITオフショア開発力
国内IT企業の深刻な人材不足を背景に、ベトナム拠点の約700名体制で開発コストを圧縮しながら高品質なシステム開発を実現する体制を構築している。グループ内外への開発リソース提供ができる点は、エアトリ独自の競争優位だ。海外勤務・グローバル業務に興味を持つ転職者にとっては、アジアでのキャリア形成機会として注目できる。
強み3. 多角的な事業ポートフォリオとアレンジ力
旅行という単一事業に依存せず、ITオフショア・投資・DX・人材・ゴルフなど異種の事業を次々と立ち上げてきた実績がある。コアコンピタンス(デジタルマーケティング・IT活用)を別ドメインに展開するこの「横展開モデル」は、特定業界の景気サイクルに左右されにくいポートフォリオ分散効果をもたらしている。新規事業開発・事業企画を志す転職者には挑戦的な環境が提供される。
強み4. スピードとフラットな組織文化
ベンチャー気質が残る組織文化の下、意思決定が速く若手でも裁量権を得やすい。年功序列的な昇格ルートではなく、成果に応じた評価・昇進が実現しやすいとされる。既存大手企業で閉塞感を抱えている人材が、成長環境を求めて転職するケースが多い。
強み5. プライム市場上場企業としての信頼性
東証プライム市場上場によって、コーポレートガバナンス・開示体制が整備されている。ベンチャー企業特有の不透明さが薄れ、IR情報・財務データが公開されているため、入社前に会社の実態を調べやすい環境が整っている。転職リスクを最小化したい候補者にとって、情報の透明性は重要な判断材料となる。
エアトリの年収事情
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 旅行事業・予約サイト運営 | 400〜600万円程度 |
| マーケティング・広告運用 | 450〜700万円程度 |
| ITエンジニア(国内) | 500〜800万円程度 |
| プロダクトマネージャー | 600〜900万円程度 |
| 事業企画・新規事業開発 | 500〜800万円程度 |
| 経理・財務 | 600〜1,000万円程度 |
| 管理職・チームリーダー | 700〜1,000万円程度 |
給与制度の特徴
エアトリは成果主義的な評価制度を標榜しており、実績に応じた昇給・昇格が行われるとされている。ただし有価証券報告書上の平均年収は610万円(2025年9月期)であり、これは単体172名の平均値のため、職種・等級による幅は相当大きいと見られる。経理・財務職での求人では年俸600〜1,000万円のレンジが提示されており、専門職では市場相場並みの水準が期待できる。
年収を見る際の注意点
- 平均年収610万円はあくまで単体従業員の平均であり、グループ全体の水準とは異なる可能性がある
- 勤続年数4.0年と短く、入社後数年以内の早期離職率も一定程度ある点を踏まえ、長期的なキャリア形成の見通しを面接で確認することを推奨
- 旅行系職種と技術・専門職では年収レンジが大きく異なる
- インセンティブや賞与の基準は部門・職種によって異なるため、オファー面談で詳細を確認する
エアトリの働き方・福利厚生
勤務時間・休日 フレックスタイム制(コアタイムあり)を導入しており、業務に応じた柔軟な働き方が可能とされている。完全週休2日制(土日祝)で、年間休日は120日程度。
リモートワーク コロナ禍にはフルリモート対応の実績があり、在宅勤務制度が整備されている。ただし職種・プロジェクトによって出社頻度は異なり、恒常的フルリモートは一部職種に限られる。海外拠点との協業業務では時差対応も必要となる場合がある。
主な福利厚生
- 社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 産前産後休暇・育児休業(職場復帰率100%)
- 時短勤務制度
- 社員旅行・旅行補助(旅行事業に関連した特典がある場合あり)
- 各種休暇制度(慶弔・特別休暇等)
- フレックスタイム制
- 育児などとの両立支援制度
- 確定拠出年金等(詳細は採用時に要確認)
- 自己啓発支援制度(語学研修等)
- エアトリサービス社員割引(旅行予約での優待等)
注意点 ベンチャー系企業の性質上、制度の整備状況は部門や役職によって差があるケースも報告されている。働き方の詳細は採用面接でのヒアリングおよびオファー面談で確認することが重要だ。
エアトリの社風・カルチャー
一言で表すなら「スピード重視のテックベンチャー」
エアトリのカルチャーを一言で表すなら、「スピードと行動力を重視するテックベンチャー」だ。意思決定が速く、新規事業や施策を次々に打ち出していく組織文化が根底にある。社員口コミでは「体育会系」という表現が複数見られ、元気・積極性・結果へのコミットを重視する傾向が窺われる。
評価される人物像
- 旅行・IT・エンタメに対して自発的な関心を持てる人
- 変化の激しい環境を前向きにとらえ、柔軟に対応できる人
- 指示待ちではなく自ら課題設定・行動できる人
- グローバル視点(アジア展開への関心)を持つ人
- 数字に基づいたPDCAサイクルを回せる人
表面的なイメージと実態の差
「旅行会社」というイメージとは異なり、業務の中心は旅行サービスの運営・マーケティング・IT開発であり、旅行業の実務(添乗・店頭接客等)とは大きく異なる。また、上場ベンチャーとして急成長した反面、組織体制や制度の整備が業務拡大のスピードに追いつかない局面があるという口コミも存在する。「旅行が好きだから」という動機だけでは定着しにくい環境とも言えるため、事業成長・組織への貢献という軸でキャリアを考えることが重要だ。
エアトリの転職難易度
難易度:C〜D級(中程度)
エアトリはプライム市場上場企業ながら、大手SIer・コンサルファーム・メガベンチャーと比較すると採用ハードルは相対的に低め。ただし即戦力性と企業文化へのフィット感が強く問われる。
1次面接はWeb形式(AI面接含む)が活用されており、20〜30分程度で基本的な資質・志望動機を確認する傾向がある。面接の雰囲気は比較的和やかとされるが、カルチャーマッチは重視される。
理由1. 多角的事業への理解度がカギ
旅行以外の12事業を展開しているため、「なぜエアトリか」の志望動機として特定事業への深い理解が求められる。旅行事業のみに目を向けた志望動機では「旅行会社なら他社でも良い」と判断される可能性が高い。
理由2. ベンチャー文化への適性が見られる
意思決定スピードの速さ・新規事業への柔軟な対応力・変化への耐性が重視される。大企業出身者の場合、制度整備が進んだ環境との文化差への適応力が評価される。
理由3. AI面接の対策が必要
1次選考でAI面接を活用しており、その評価が2次面接以降に引き継がれる。AI面接では自己PR・志望動機・キャリアビジョンの論理的な語り方が重要で、事前に構造化した回答を準備することを推奨する。
エアトリの主な募集職種
エアトリでは旅行事業・IT・コーポレート・新規事業など幅広い職種で採用を行っている。
- マーケティング戦略
- 広告運用
- プロダクトマネージャー(PM)
- バックエンドエンジニア
- フロントエンドエンジニア
- データアナリスト
- 事業企画
- 新規事業企画・開発
- 経営企画
- 経理・財務事務
- 採用担当
- 旅行事業・予約サービス運営担当
- ITオフショアプロジェクトマネージャー
エアトリに向いている人
タイプ1. 変化を楽しめる行動派
「とりあえずやってみよう」という行動原理を持ち、失敗から素早く学んで軌道修正できる人がエアトリでは活躍しやすい。スタートアップ経験者や、大企業での閉塞感を感じている人が自分の裁量を広げるフィールドとして選ぶケースが多い。
タイプ2. 旅行とITの掛け合わせに興味がある人
旅行業界の知見とIT・デジタルマーケティングのスキルを組み合わせたいと考える人には、他社にはなかなかない独特のフィールドが用意されている。OTA業界でキャリアを積みたい人にとっての選択肢としても有力だ。
タイプ3. グローバル・アジアビジネスに関心がある人
ベトナムを中心とした海外拠点との業務連携があり、英語・ベトナム語のコミュニケーション機会が生まれる職種もある。アジアに根ざしたビジネス展開への関心が強い人は文化的にフィットしやすい。
タイプ4. 新規事業フェーズを経験したい人
12以上の事業をグループ内に持つため、主力の旅行事業以外でも立ち上げフェーズに関わるチャンスがある。スタートアップのような不確実性を受け入れながら、上場企業の信用力を背景に活動したい人に向く。
エアトリに向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のために、以下のタイプには注意が必要だ。
- タイプ:整備された大企業的環境を求める人 ── 制度・業務フロー・マニュアルが完全に整備された環境を前提とする人は、ベンチャー気質の組織文化との摩擦が生じやすい
- タイプ:変化のない安定業務を好む人 ── 新事業立ち上げや事業ピボットが頻繁に起きるため、定型業務の継続を重視する人には向かない
- タイプ:旅行を「旅」としてのみ捉えている人 ── 旅行プラットフォームの運営は高度なデジタルマーケティング・データ分析の仕事であり、旅行そのものの好みがキャリアに直結するわけではない
- タイプ:長期的な組織安定を最優先する人 ── 勤続年数4.0年という数値が示す通り、一定の離職率がある環境であり、長期雇用の保証を重視する場合はリスクを把握した上で検討する必要がある
- タイプ:縦割りの専門職キャリアを積みたい人 ── 部門を横断した業務推進が求められるケースが多く、深い専門特化よりもマルチタスク・総合力が評価される傾向がある
エアトリの選考対策
選考1. 複数事業の理解と「なぜエアトリか」の明確化
旅行事業以外のエアトリグループの事業(ITオフショア・CVC・DX等)について、公式サイト・決算説明資料を通じて事前に深く理解しておくことが必須だ。「旅行が好きだから」では不十分で、「エアトリが展開するXXX事業でYYYに貢献したい」という具体的な語りを準備する。
選考2. AI面接の質への丁寧な準備
エアトリはAI面接を1次選考に活用しており、その評価内容が後続選考に活かされる。STAR法(Situation・Task・Action・Result)に沿って、過去の経験を構造化して語れるように準備しておくことが重要だ。回答を事前に録画・確認して自己フィードバックを行うのが効果的だ。
選考3. スピード感・自律性のアピール
「言われなくても自分で動く」「スピードを意識してPDCAを回す」といったエピソードは評価されやすい。具体的な行動・成果の数値(KPI達成率、施策によるCV改善率等)を添えて語ることで説得力が増す。
選考4. デジタルマーケティング・データ活用の知識
主力事業がオンライン旅行プラットフォームであるため、SEO・SEM・CRM・広告配信などのデジタルマーケティングや、データ分析に関する基礎知識があると評価につながりやすい。技術職でない職種でも、データドリブンな思考が評価の基準となるケースがある。
選考5. 旅行業界への理解とトレンド把握
OTA市場・インバウンド旅行の動向・競合比較(楽天トラベル・じゃらん・Expedia等)について事前にリサーチしておくと、面接の質問に対して具体性のある回答ができる。2025年9月期の旅行需要鈍化と投資事業での過去最高益達成という最新の経営状況も押さえておくと印象が良い。
選考6. 志向とカルチャーフィットの確認
転職会議・OpenWorkなどの口コミサイトで社員の生の声を確認し、カルチャーフィットを事前に検証しておくことを強く推奨する。面接では逆質問の機会を活用して、実際の業務の進め方・マネジメントスタイル・組織変化の実態を具体的に確認することが入社後のミスマッチ防止に有効だ。
エアトリへの転職で評価されやすい経験
- オンラインサービス・ECプラットフォームのグロースハック経験
- デジタルマーケティング(SEO/SEM/SNS/アフィリエイト)の実務経験
- データ分析・Webアナリティクスツール(GA4・Tableau等)の活用経験
- CRM・MA(マーケティングオートメーション)の運用経験
- 旅行業・航空・ホテル業界でのOTA関連業務経験
- ITオフショア開発プロジェクトのマネジメント経験
- ベトナム・東南アジアでのビジネス経験・現地語スキル
- SaaSプロダクトのプロダクトマネジメント経験
- スタートアップ・ベンチャー企業での新規事業立ち上げ経験
- ベンチャー・メガベンチャーでの事業企画・経営企画経験
- フリーエージェント型の仕事の進め方(自己管理・自律的行動)の実績
- 投資・CVC・スタートアップエコシステムに関する知識・経験
- グローバル環境での業務経験(英語を用いたコミュニケーション等)
特に評価されやすいのは、デジタルマーケティングとデータ分析を組み合わせた実務経験を持ち、変化の激しいベンチャー環境でも自律的に成果を出した実績がある人材だ。
まとめ
株式会社エアトリは、「総合旅行プラットフォーム」というブランドイメージを超えて、ITを活用した多角的事業展開を行うテックカンパニーだ。連結取扱高1,203億円・プライム市場上場というスケール感を持ちながら、ベンチャー気質と裁量の大きさを維持している点が転職市場での差別化要素となっている。
年収面では平均610万円(有報値)と大手IT企業には劣るものの、職種・等級によって幅があり、経理・財務・プロダクトなどの専門職では800〜1,000万円台のポジションも存在する。旅行事業での安定した集客基盤に加え、オフショア開発・投資・DXなどの事業が利益の多様化に寄与しており、財務的な持続性は確保されている。
転職先として検討する際は、「旅行が好き」「旅行業界で働きたい」という動機だけでなく、ITを活用したデジタルビジネスへの興味・変化の多い環境への適性・「エアトリ経済圏」での自分のキャリアビジョンを明確にしたうえで応募することが成功のカギとなる。カルチャーフィットの確認と、AI面接を含む選考プロセスへの入念な準備が転職成功率を高める。
