東和銀行は関東北部・群馬県を地盤とする第二地方銀行として、地域に根ざした金融サービスを100年以上にわたって提供してきた。「地域とともに」という姿勢を経営の軸に置き、群馬県の中小企業・個人顧客との長年の信頼関係が事業の根幹を支えている。
転職市場における地方銀行の立ち位置は「安定しているが変化が遅い」というイメージを持たれることが多い。しかし東和銀行は女性役員・女性支店長の輩出、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みなど、変革への姿勢を示している。「安定した環境で長くキャリアを積みたい」「地域金融機関ならではの顧客との深いリレーションを築きたい」という志向の人に向いている銀行だ。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | 株式会社東和銀行 |
| 設立 | 1942年9月(創立1917年) |
| 代表 | 北爪 功(代表取締役頭取) |
| 本社 | 群馬県前橋市本町2-12-6 |
| 資本金 | 386億5,300万円 |
| 従業員数 | 連結1,232名・単体1,203名(2025年3月期) |
| 上場区分 | プライム市場(証券コード8558) |
| 経常収益 | 約339億円(2025年3月期) |
| 総資産 | 約2兆4,162億円(2026年5月時点) |
| 平均年収 | 596万円程度(日経新聞調査) |
| 平均年齢 | 41.0歳(2025年3月期) |
| 勤続年数 | 17.5年程度(単体) |
| 事業内容 | 預金・融資・為替・資産運用・保険など銀行業全般 |
東和銀行は第二地方銀行(旧相互銀行転換組の地銀)に分類され、群馬県内では老舗の金融機関として確固たるブランドを持つ。1917年(大正6年)の創立という歴史の長さは、地域顧客との長年の信頼関係として現在も事業の強みとなっている。
総資産2兆4千億円超という規模は、第二地銀としては中堅クラスに位置する。自己資本比率・不良債権比率などの財務指標についても上場企業として有価証券報告書で定期的に開示されており、財務の透明性は確保されている。
主な事業内容
東和銀行の事業は銀行業の本業である「預金・融資・為替」を中心に、個人向け資産運用・保険・相続支援など多彩なソリューションを提供している。
リテールバンキング(個人向け金融)
個人顧客向けの預金・住宅ローン・マイカーローン・カードローン・資産運用(投資信託・保険)などを提供する。テラーが窓口対応を担い、「アセットサポーター」と呼ばれる専門スタッフが資産運用・相続コンサルティングに注力している。
高齢化社会の進展とともに相続・資産承継に関するニーズは高まっており、東和銀行でもファイナンシャルプランナー(FP)資格保有者を活用したコンサルティング強化が進んでいる。転職者にとってはFP資格・証券外務員資格の有無が重要な評価要素になる。
法人向けビジネス(中小企業金融)
群馬・埼玉エリアの中小企業に対する融資・運転資金・設備資金・ビジネスマッチングを担う主力ビジネスだ。法人渉外担当者(外回り営業)が顧客企業を定期訪問し、経営課題のヒアリングから金融ソリューションの提案までを一貫して担う。
中小企業の経営者との長期的な信頼関係構築が求められる業務であり、「銀行マン」としての本来の姿に最も近いポジションといえる。転職後のキャリアアップとしてリレーションシップマネージャーへの道が開けている。
資産運用・保険・相続
投資信託・変額保険・外貨建て保険など、「銀行窓口での販売チャネル」(銀窓)を活用した金融商品の提案を行う。近年は低金利環境下でのクロスセル収益の重要性が増しており、この分野の人材育成に力を入れている。FP資格・証券外務員一種・二種資格保有者の需要が高い。
デジタル・IT戦略
インターネットバンキング・スマートフォンアプリの整備、店舗のデジタル化(タブレット受付・ATM高度化)など、DX推進にも取り組んでいる。地方銀行のDXは大手メガバンクに比べてスピードは遅いが、逆に言えば「DXを推進する側」として貢献できる余地が大きく、ITバックグラウンドを持つ転職者には活躍機会がある。
地域貢献・SDGs
群馬県の地域産業支援・創業支援・サステナビリティ関連ファイナンス(環境配慮型融資等)にも取り組んでいる。地方銀行としての社会的使命を重視しており、社会貢献への関心が高い転職者の志望動機にもフィットしやすい。
東和銀行の強み
強み1. 群馬県を中心とした強固な地盤と顧客基盤
1917年以来、群馬県を主要事業エリアとして100年超の営業実績を持つ。地元の中小企業・個人顧客との長年にわたる取引関係は、大手銀行が模倣困難な「地域密着の資産」だ。特に群馬県内では老舗地銀として知名度と信頼性が高く、新規開拓よりも既存顧客とのリレーション深耕で収益を安定させやすい。
転職後の観点からは、「営業未経験でも顧客基盤があるため、一定の関係構築がしやすい」という面がある。ゼロから飛び込みで顧客を開拓するのではなく、既存の顧客リレーションを引き継いで深化させる営業スタイルが多い。
強み2. 東証プライム上場による経営の透明性と安定性
プライム市場上場企業として、財務情報・ガバナンス・リスク管理体制について高いレベルの情報開示義務を持つ。転職者にとっては「倒産リスクが低い」「経営の健全性を自分で確認できる」という点で安心材料となる。
地方銀行は近年の金利上昇局面で運用収益が改善傾向にあり、経営環境としては2010年代の超低金利時代よりも改善している。
強み3. 女性活躍推進における先進的な取り組み
群馬県内の地銀として初めて女性支店長・女性執行役員・女性社外取締役を輩出しており、2006年には群馬労働局長優良賞を受賞している。育児休業・介護休業制度が充実しており、女性が長く活躍できる環境づくりを積極推進している。転職者、特に女性のキャリア志向者にとって評価できる環境だ。
強み4. 17年超の平均勤続年数が示す雇用の安定性
平均勤続年数が17.5年程度と、一般的な企業水準を大きく上回る。これは「安定志向の社員が長く在籍しやすい環境」を示す指標であり、雇用の安定性・働き続けやすさを重視する人にとって大きなプラス要素だ。
強み5. 地域の社会インフラとしての安定需要
銀行は地域の経済インフラであり、地域社会が存在する限り金融ニーズはなくならない。群馬県の産業構造(製造業・農業・観光)との深いつながりがあり、特定の産業に依存しない分散した事業基盤を持つ。
強み6. 広域展開(4都県91店舗)による多様なキャリアの場
群馬だけでなく埼玉・東京・栃木にも店舗網を持つため、転職後のキャリアとして都市部(さいたま・東京)での勤務機会もある。「地方銀行=地方勤務のみ」というイメージと異なり、関東圏内での異動・勤務が可能な点は転職検討者には知っておいてほしい情報だ。
東和銀行の年収事情
東和銀行の平均年収は596万円程度(日本経済新聞調査)とされており、他のデータでは564万円程度の数字も存在する。第二地方銀行の中では標準的な水準に位置する。
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| テラー(窓口担当) | 300〜400万円程度 |
| 後方事務 | 320〜420万円程度 |
| 法人渉外担当 | 450〜600万円程度 |
| 個人向け資産運用担当 | 400〜560万円程度 |
| 本部スタッフ(企画・人事等) | 500〜700万円程度 |
| 支店長代理・課長クラス | 600〜750万円程度 |
| 支店長・部長クラス | 700〜900万円程度 |
| 融資審査担当 | 450〜620万円程度 |
給与制度の特徴
地方銀行の給与制度は一般的に「年功序列ベース+成果連動」の混合型が多い。東和銀行も基本給の積み上げをベースに、業績・評価に応じた賞与が加算される。資格手当(FP・証券外務員・銀行業務検定等)が付与されるケースもあり、資格取得が実質的な収入増につながる仕組みがある。
年収を見る際の注意点
- 新卒入社と中途入社では給与テーブルが異なる場合があり、前職年収との比較は個別交渉の余地がある
- 「年収が低い」という口コミも一部存在するが、テラー・後方事務と渉外担当では大きく異なる
- 残業代は適切に支払われているかを口コミ・面接時に確認することが重要
- 役職手当・地域手当の有無と水準も確認しておくと良い
東和銀行の働き方・福利厚生
勤務時間・休日:
- 週休2日制(土日祝休み)
- 年間休日120日前後
- 年末年始・GW・夏季休暇あり
リモートワーク:
- 窓口・渉外担当はリモート不可が基本
- 本部スタッフの一部はDX推進に伴い在宅対応が進みつつある
福利厚生(主要項目):
- 社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災)
- 退職金制度(確定給付企業年金等)
- 育児休業制度(産休・育休)
- 介護休業制度
- 各種休暇制度(有給休暇・慶弔休暇・特別休暇)
- 住宅ローン優遇制度(行員向け融資優遇)
- 財形貯蓄制度
- 社員持株会
- 各種資格取得支援(検定費用補助等)
- 従業員健康診断・メンタルヘルスサポート
- 行員向け各種ローン優遇
注意点:
- 渉外担当は外回り業務が多いため、体力・行動力が求められる
- 支店配属は基本的に会社都合での異動があり、エリアを完全に選べない場合がある
東和銀行の社風・カルチャー
一言で表すなら「真摯な地域密着型の堅実集団」
東和銀行の社風は「真面目・堅実・地域貢献」というキーワードで表すのが適切だ。銀行業の特性上、コンプライアンス意識が非常に高く、ルール遵守・正確さ・誠実さが職場の基本的な価値観となっている。「派手な成果主義」よりも「着実な積み上げ」を評価する文化が色濃い。
女性の管理職登用に積極的であることや、制度の整備状況からは「多様性を受け入れる姿勢」も徐々に育まれていることが見て取れる。
評価される人物像
- チャレンジ精神・主体性・行動力を持つ人(採用サイトより)
- 洞察力・企画力・創造性がある人
- コミュニケーション能力が高く、顧客の話を丁寧に聞ける人
- コンプライアンス意識が高く、誠実に業務に取り組める人
- 粘り強く目標に向かって取り組める人
- 地域への貢献に意義を感じる人
表面的なイメージと実態の差
「地方銀行=保守的・変化が遅い」というイメージはある程度当たっているが、東和銀行は女性活躍・DX推進・サステナビリティファイナンスなど変革への意欲は持っている。一方で意思決定プロセスには複数の承認階層が存在し、大企業・スタートアップと比較するとスピード感が異なる点は認識しておく必要がある。「ゆっくりでも確実に変えていく」という姿勢が合う人向けの環境だ。
東和銀行の転職難易度
難易度:B級(業界平均よりやや低め)
東和銀行の選考難易度は5段階評価で3.1点程度とされており、金融業界全体の平均(3.7点程度)を下回る。採用倍率も6.0倍程度と、金融業界平均の7.9倍より低い。「人物本位の選考」を標榜しており、学歴フィルターよりも意欲・価値観・コミュニケーション能力を重視する傾向がある。
理由1. 人物本位の選考スタンス
「チャレンジ精神」「主体性」「コミュニケーション能力」「コンプライアンス意識」など人物面での評価が重視され、出身大学・職歴の肩書きよりも「人となり」を見る選考だ。そのため、地方出身の転職者・異業種からの転向者でも誠実に取り組む姿勢を示せれば評価につながりやすい。
理由2. 地域バンクとしての採用継続性
地方銀行は大手金融機関と比べて採用規模は小さいが、毎年一定数の中途採用を継続している。特に渉外担当・テラー・IT関連ポジションは定期的に求人が出る傾向があり、タイミングを合わせれば応募機会を得やすい。
理由3. 金融資格・専門スキルの有無で評価が変わる
銀行業務検定・証券外務員・FP資格などの保有者は書類選考で有利になる。逆に言えば、資格未保有の場合は「資格取得への意欲」を面接でしっかり示すことが重要だ。
東和銀行の主な募集職種
東和銀行では窓口・渉外・審査・本部のポジションで採用が行われている。
- 銀行法人営業(法人渉外・中小企業融資担当)
- 銀行個人営業(テラー・個人ローン・資産運用提案)
- 経理・財務事務(本部経理担当)
- リスク管理(信用リスク・市場リスク管理)
- 内部監査(コンプライアンス・監査部門)
- 採用担当(人事部門)
- 情報システム担当(IT・DX推進)
- IR担当(IR・投資家対応)
- 後方事務担当(入出金・為替・書類管理)
- 融資審査担当(法人・個人の融資審査)
東和銀行に向いている人
タイプ1. 安定した環境でじっくりキャリアを積みたい人
17.5年という長い平均勤続年数が示すように、長期的に安定して働ける環境が整っている。「腰を据えてキャリアを築きたい」という志向の人に向いている。
タイプ2. 地域社会への貢献に意義を感じる人
地方銀行の本質は地域の中小企業・個人を金融面からサポートすることだ。「お金の仕事を通じて地域を元気にしたい」という志向がある人は、東和銀行の仕事に強い使命感を持って取り組める。
タイプ3. 顧客との深いリレーション構築を大切にしたい人
メガバンクは広域・短期サイクルの異動が多いのに対し、地方銀行は同一エリアに長く勤務するケースが多く、顧客との長期的な信頼関係を築きやすい。「人として信頼される銀行マン」になりたい人には向いている環境だ。
タイプ4. 金融の幅広い業務を一通り経験したい人
テラー・渉外・審査・本部という複数の部署をローテーションできる地方銀行は、金融業務の幅を広げたい人に適している。1つの専門領域に特化するよりも、「銀行業全体を知るゼネラリスト」として成長できる環境だ。
タイプ5. 土日祝を完全に確保したい人
銀行は基本的に土日祝休みであり、カレンダー通りの休暇が確保しやすい。規則正しいライフスタイルを重視する人・家族との時間を大切にしたい人に向いている。
東和銀行に向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のため、以下のタイプは事前に確認してほしい。
- タイプ: 年収800万円以上を短期間で実現したい人(地方銀行の給与水準では達成が難しい期間がある)
- タイプ: フルリモート・在宅勤務を前提にしたい人(窓口・渉外業務はリモート不可)
- タイプ: 急成長・急変化のある仕事環境でスピード感を求める人(意思決定は組織階層を経由する)
- タイプ: 独立・起業を視野に入れたスキルをすぐに身につけたい人(地銀の業務は組織内専門性が中心)
- タイプ: 勤務エリアを完全に固定したい人(支店異動が発生する可能性がある)
東和銀行の選考対策
1. 地域貢献・地域金融への本質的な関心を示す
「なぜメガバンクではなく東和銀行か」という問いへの答えを準備することが最重要だ。「地元(群馬・埼玉等)で働きたい」「地域の中小企業を支えたい」という具体的な動機を、自分の経験・価値観と結びつけて語れると高評価につながる。
2. コンプライアンス意識の高さを行動で示す
銀行業では法令遵守・守秘義務・コンプライアンスが極めて重要だ。過去の職務でのコンプライアンス意識を示すエピソード(顧客情報の適切な管理、ルールに従った業務遂行など)を具体的に準備しておくこと。
3. 金融資格の保有状況を整理し、未保有なら意欲を示す
証券外務員・FP・銀行業務検定などの資格保有者は書類段階で有利になる。未保有の場合は「入行後に取得する意欲と計画」を具体的に面接で示すことが重要だ。
4. コミュニケーション能力・傾聴力を体現する
「顧客の話を丁寧に聞き、課題を引き出す力」は地方銀行の渉外担当に最も求められるスキルだ。過去の職務での顧客対応・ヒアリング・提案経験を具体的なエピソードで準備しておくこと。
5. 長期就労の意向を明確に伝える
平均勤続年数が17年超の職場であるだけに、「長く働きたい」という意向を明示することが大切だ。転職回数が多い場合は「なぜ今回は長く続けられると考えるか」を自分なりに言語化しておくと安心だ。
6. 異業種からの転職の場合は「橋渡しスキル」を言語化する
営業経験・事務処理経験・IT経験・財務経験など、前職で身につけたスキルが銀行業務にどう活かせるかを具体的に説明できるようにしておくこと。「前職がXだったから銀行には関係ない」ではなく、「前職でのXの経験が、銀行の◯◯業務に直結する」という橋渡しロジックを準備することが採用確率を高める。
東和銀行への転職で評価されやすい経験
- 銀行・信用金庫での窓口業務・渉外業務経験
- 証券会社・保険会社での金融商品販売経験
- 中小企業向けの法人営業経験(業界不問)
- 財務・経理の実務経験(決算補助・資金繰り管理等)
- ローンの審査・与信管理に関わった経験
- 顧客からの相談を受け、課題解決に導いたコンサルティング経験
- 証券外務員一種・二種の資格保有
- ファイナンシャルプランナー(FP)2級・1級・CFP資格
- 銀行業務検定(財務・法務・税務等)の資格保有
- 会計・税務の知識(簿記2級以上が有利)
- IT・システム開発の経験(DX推進ニーズに対応)
- 英語対応経験(インバウンド対応・外国人顧客への金融サービス)
- 地域の産業・企業との幅広い人脈・人間関係
- コンプライアンス教育・内部監査の経験
特に評価されやすいのは、金融系の業務経験と証券外務員・FPなどの資格保有、そして中小企業との法人営業経験だ。
まとめ
東和銀行は群馬県を地盤に100年以上の歴史を持つ東証プライム上場の第二地方銀行だ。平均年収596万円程度・勤続年数17.5年という数字が示すように、安定した雇用環境のもとで長期的なキャリアを積みたい人に向いている金融機関だ。
女性管理職の登用・育休・介護休業制度の充実など、多様な人材が働き続けやすい環境づくりも積極的に推進している点は、働き方を重視する転職者にとってプラスの評価ポイントとなる。
転職エージェントとして総合すると、「地域金融・地域貢献に本質的な関心がある」「安定した上場企業で長く腰を据えて働きたい」「金融の幅広い業務を通じてゼネラリストとして成長したい」という軸を持つ人にとって、東和銀行は堅実かつ信頼できる選択肢だ。転職を検討する際は公式採用情報と最新の求人票を必ず確認し、具体的な応募職種と自分のスキルの接点を明確にしてから臨むことをおすすめする。
