タスキホールディングスは、不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を牽引する東証プライム上場企業です。2024年4月に株式会社タスキと株式会社新日本建物が経営統合して誕生し、わずか2年強でプライム市場への区分変更を達成した急成長企業として注目されています。
投資用IoTレジデンスの開発・販売を核に、不動産クラウドファンディング・不動産担保ローン・バーティカルSaaS「TASUKI TECH」など多彩な収益ラインを構築しています。転職先として見ると、都心不動産のリアルビジネスとIT/DXのスキルが交差する職場環境が最大の特徴です。
成長企業ゆえのスピード感と、プライム上場後の規律強化という両面を理解した上で検討することが、ミスマッチを防ぐ上で重要です。以下で詳しく解説していきます。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社タスキホールディングス |
| 設立 | 2024年4月1日(共同株式移転による) |
| 代表取締役社長 | 柏村 雄 |
| 本社 | 東京都港区 |
| 資本金 | 約30億2,500万円 |
| 従業員数 | 連結約150名程度(持株会社単体は約30名規模) |
| 上場区分 | プライム市場(証券コード166A)※2026年6月15日に区分変更 |
| 売上高 | 連結700億円超(FY2025.9目標水準) |
| 平均年収 | 約699万円(日経データ) |
| 平均年齢 | 30歳代後半(連結ベース推計) |
| 勤続年数 | 2〜4年程度(2024年設立のため実績年数は限定的) |
| 事業内容 | 投資用IoTレジデンス開発・販売、不動産クラウドファンディング、SaaS提供、不動産ファイナンスコンサルティング |
タスキホールディングスは「不動産×デジタル」のハイブリッドモデルを掲げており、傘下に株式会社タスキ(IoTレジデンス開発)と株式会社新日本建物(都心レジデンス開発)という独立した事業会社を持ちます。SaaS事業では不動産開発フローをデジタルで繋ぐ「TASUKI TECH LAND」を提供しており、マンション・戸建開発企業への導入が進んでいます。
2026年2月に東証プライム市場への市場区分変更を申請し、同年6月15日付で移行が完了しました。設立からわずか2年強での昇格は、不動産上場企業の中でも異例の速さです。
主な事業内容
タスキホールディングスは、3つの事業セグメントで収益を構成しています。それぞれが相互に連携しながら不動産バリューチェーン全体をカバーする構造になっています。
Life Platform事業
グループの主力事業です。株式会社タスキが担当する「TASUKI Smart」(3億〜5億円規模の新築投資用IoTレジデンス)と、株式会社新日本建物が担当する「ルネサンスコート」(6億〜15億円)・「ルネサンスプレミアムコート」(10億〜20億円)の3ブランドを中心に展開しています。
全物件にIoT設備を標準装備し、スマートホーム機能・セキュリティシステムの高度化によって入居率と資産価値の維持を両立させています。東京23区を主戦場に、投資用不動産のニーズを掘り起こすビジネスモデルです。
また、中古物件を取得してバリューアップした後に売却する「リファイニング事業」も展開しており、新築開発一辺倒ではなく既存ストック活用という観点からも収益を得ています。
Finance Consulting事業
不動産クラウドファンディング「TASUKI FUNDS」を通じて個人投資家からの資金調達を行い、不動産開発プロジェクトへのファイナンスを供与するビジネスです。不動産担保ローンや私募ファンドの組成・運用なども含まれ、グループの開発事業を資金調達面から支える機能を果たしています。
フィンテック的な色彩を持つセグメントであり、金融規制への対応や投資家向けコミュニケーションなど、専門性の高い業務が集まっています。
SaaS事業
「TASUKI TECH」ブランドで不動産開発会社向けのバーティカルSaaSを提供しています。主力サービス「TASUKI TECH LAND」は土地仕入れ・事業計画・工程管理などの業務フローをデジタル化するプロダクトです。
不動産業界のDX需要を背景に外部顧客への提供を拡大しており、同業他社がクライアントになるという独自のポジションを持ちます。SaaS事業の成長は、グループ全体の収益構造をストック型へ転換させる上でも重要な役割を担っています。
タスキホールディングスの強み
強み1. 不動産とテクノロジーの実装力
単に「DX推進」を掲げるだけでなく、実際に自社の不動産開発フローにIoT・SaaSを実装してきた点が最大の差別化要因です。「TASUKI Smart」シリーズは開発段階からIoT設備を組み込んでおり、居住者のデジタル体験を設計できる実績が外部SaaS販売の説得力につながっています。
転職者にとっては、「不動産×テック」の両方を学べる環境が用意されている点が魅力です。不動産業界未経験でもIT/SaaS経験者として入社できるルートがある一方、不動産実務者がデジタルスキルを身につける機会も豊富です。
強み2. 東証プライム昇格という信用力の獲得
2026年6月のプライム市場移行により、機関投資家や大手取引先との取引ハードルが下がりました。不動産開発には地主・地権者・金融機関・ゼネコンなど多くのステークホルダーが関わりますが、「プライム上場企業」という肩書は交渉の場で実質的な武器になります。
採用面でも、「プライム上場スタートアップ」という希少な立ち位置が、優秀な人材を引きつける上で有利に働いています。
強み3. 多角的な収益源による事業リスク分散
開発・販売(Life Platform)、金融(Finance Consulting)、SaaS(リカーリング収益)の3軸を持つ構造は、不動産市況の変動に対する耐性を高めています。不動産開発は景気サイクルの影響を受けやすいビジネスですが、SaaSのサブスクリプション収益が安定したベースラインを提供する構造は評価できます。
転職者視点では、景気後退局面でも会社が存続しやすい事業構造を持っているという安心感につながります。
強み4. 統合シナジーによるスケールメリット
タスキと新日本建物の統合により、土地仕入れネットワーク・施工管理ノウハウ・顧客基盤が統合されました。それぞれが個別に動いていたリソースを一元化することで、物件調達コストの低減と開発スピードの向上を実現しています。
エンジニア・デザイナー・マーケターなどのコーポレート機能も統合されており、持株会社という組織形態のメリットが社内の効率化として現れています。
強み5. 個人投資家向けプラットフォーム「TASUKI FUNDS」の先行優位性
不動産クラウドファンディング市場は競合が増加していますが、自社開発物件に直接投資できる仕組みを持つプレイヤーは限られています。「TASUKI FUNDS」は調達コスト削減と投資家ベースの拡大を両立させる独自の資金調達チャネルとして機能しており、同業他社との差別化要因になっています。
タスキホールディングスの年収事情
タスキホールディングスの平均年収は約699万円(日経データ)とされており、不動産業界平均を上回る水準です。成長フェーズ企業らしく、実力主義の評価体系が採用されています。
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 不動産開発(仕入れ・企画) | 500万〜900万円程度 |
| SaaS営業 | 450万〜800万円程度 |
| SaaSプロダクトマネージャー | 500万〜900万円程度 |
| エンジニア(バックエンド・フロントエンド) | 500万〜850万円程度 |
| ファイナンスコンサルタント | 550万〜950万円程度 |
| 法務・コンプライアンス | 500万〜800万円程度 |
| 経営企画・IR | 550万〜900万円程度 |
給与制度の特徴
成果主義を軸にした評価体系が採用されており、職位・成果に応じて賞与が変動します。開発・SaaSといった事業側のポジションは、プロジェクト成果が直接報酬に反映されやすい傾向があります。持株会社設立から日が浅いため、グループ横断の等級・評価制度は整備途上ですが、プライム昇格後は制度の体系化が進む見込みです。
年収を見る際の注意点
- 平均699万円という数字は比較的少人数の集計値であり、個人差が大きい可能性がある
- ホールディングス本体(管理会社)と事業子会社(タスキ・新日本建物)では報酬体系が異なる場合がある
- 2024年設立のため、長期的なキャリアパスと年収推移の実績データが限られている
- インセンティブ・ストックオプションなど変動報酬の比重が大きい場合、基本給のみでの比較は注意が必要
タスキホールディングスの働き方・福利厚生
勤務時間・休日: 土日祝休み(一部職種はプロジェクト状況により対応あり)。完全週休2日制を基本としており、年間休日120日前後と推計されます。
リモートワーク: 持株会社・SaaS事業部門を中心にリモートワーク対応が進んでいます。不動産開発部門は現地確認や外部交渉が多く、現場出社が中心になります。
福利厚生(主な内容):
- 社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災)
- 交通費支給
- 各種手当(住宅補助・家族手当は制度整備状況を確認要)
- 産休・育休制度
- ストックオプション制度(役職・成果に応じて付与される場合あり)
- 資格取得支援・研修制度
- フレックス勤務制度(対象部門あり)
- 慶弔見舞金制度
- 定期健康診断
- メンター制度(設立間もないため整備状況は確認が必要)
注意点: 2024年設立のホールディングスとして福利厚生制度は整備途上の部分があります。面接では実際の制度内容と運用状況を必ず確認するようにしてください。
タスキホールディングスの社風・カルチャー
一言で表すなら「不動産DXの先駆者意識を持つスピード重視の集団」
設立2年で東証プライムへ昇格したという実績が、社内の共通認識として「成長への自信」を形成しています。一般的な老舗不動産企業とは異なり、意思決定のスピードが速く、フラットなコミュニケーションが行われているという評価があります。経営陣が現場に近い距離感で動いており、トップダウンと現場裁量のバランスが独特です。
評価される人物像
- 不動産とデジタルの両方に関心を持ち、どちらか一方に閉じないキャリア志向を持つ人
- 数字・KPIへの感度が高く、自分の貢献を定量的に説明できる人
- 変化が多い環境を「課題」ではなく「機会」として捉えられる人
- スタートアップ的な機動力と上場企業としての規律感を両立できる人
- 東京都心の不動産市場に関心があり、マーケット変動に敏感な人
表面的なイメージと実態の差
「不動産テック」という言葉からIT企業的なイメージを持つ応募者も多いですが、実態はLife Platform(不動産開発・販売)が収益の大半を占めるため、不動産会社としての業務量は相当あります。SaaS・DXという部分はまだ成長途上であり、「フルリモートでプロダクト開発に専念できる」といったIT企業的な働き方を期待して入社するとギャップが生じる可能性があります。統合したばかりのグループ企業として、制度や文化の統一はまだ進行中です。
タスキホールディングスの転職難易度
難易度:B級(やや難)
東証プライム上場かつ急成長企業という位置づけから、即戦力・自走人材の採用を中心としており、未経験者の採用は限定的です。一般的な大手不動産企業ほどの採用ボリュームはなく、各職種のポジションは限られています。
理由1. ポジション数が少ない
持株会社本体の管理機能は比較的少人数で運営されており、コーポレート系ポジション(経営企画・法務・IR・経理)は1〜数名規模での採用です。競争倍率は一般的な大手企業の採用と比べて高くなる傾向があります。
理由2. 不動産×DXの両面スキルが求められる
事業子会社レベルでは、不動産開発経験者または不動産業界でのSaaS販売・導入経験者が高く評価されます。どちらか一方のスキルだけでは採用ハードルが上がります。ただし、エンジニア系ポジションは業界未経験でも応募しやすい場合があります。
理由3. 成長スピードに適応できるかが問われる
面接では「過去に変化の激しい環境でどう動いたか」を問う質問が多い傾向があります。スタートアップや創業期のベンチャー経験、または社内で大きな変革を担ったプロジェクト経験が評価されやすいです。
20〜30代のキャリア相談(無料)→タスキホールディングスの主な募集職種
グループ全体として、不動産開発から経営管理、テクノロジー領域まで幅広い職種での採用が行われています。
- 不動産開発・仕入れ担当(土地の仕入れ交渉・事業企画)
- プロジェクトマネージャー(開発工程管理)
- バックエンドエンジニア(TASUKI TECH プロダクト開発)
- フロントエンドエンジニア(SaaSプロダクトUI開発)
- プロダクトマネージャー(PM)(TASUKI TECH Land等)
- 営業企画(SaaS導入支援・拡販)
- 経営企画(グループ戦略立案・KPI管理)
- IR担当(投資家対応・開示書類作成)
- 法務(契約審査・コンプライアンス体制整備)
- 財務会計(グループ連結管理・ファイナンス)
タスキホールディングスに向いている人
タイプ1. 不動産業界でDXに携わりたい人
「不動産の仕事は好きだが、もっとテクノロジーを活用した働き方がしたい」と感じている不動産業界経験者にとって、理想的なポジションが見つかる会社です。SaaS事業部門では、不動産業務の知識をそのままプロダクト開発やセールスに活かせます。
タイプ2. スタートアップで不動産業界に挑戦したいITエンジニア
既存の大手SaaSやIT企業でのキャリアから、「社会インフラに近い業界で働きたい」と考えるエンジニアにとって、不動産という巨大市場でのデジタル変革に関われる点が魅力です。
タイプ3. 成長フェーズのプライム企業でキャリアを積みたい人
「大企業の安定性」と「ベンチャーの成長性」を両立した環境を求める人に向いています。プライム昇格直後の組織強化・制度整備フェーズに関わることで、IPO・昇格前後のキャリアを実地で学べます。
タイプ4. マルチスキル型のゼネラリスト志向者
少数精鋭の組織で複数の業務領域を担当できるため、特定機能に閉じずに幅広くキャリアを作りたいゼネラリスト志向の人が活躍しやすい環境です。
タスキホールディングスに向いていない人
批判ではなく、ミスマッチ防止のために正直に記載します。
- タイプ: 大企業の制度・ルールが整った環境を好む人。2024年設立であり、手続き・制度の整備が進行中のため、「ルールがあいまいな状態」に不安を感じる人にはストレスがかかる可能性があります。
- タイプ: 完全テック企業として働きたい人。SaaS事業は成長中ですが、収益の中心は不動産開発であり、エンジニアリングだけに専念できる環境とは異なります。
- タイプ: 長期的な雇用安定性を最優先に考える人。成長フェーズの企業は事業変化が大きく、担当業務や組織が変わることがあります。
- タイプ: 地方勤務・転勤を避けたい人。都心不動産中心のビジネスのため首都圏での勤務が基本ですが、開発・施工プロジェクトに関わる場合は現地対応が求められることがあります。
- タイプ: 不動産業界の商慣習(営業・交渉・地主対応)に馴染めない人。Life Platform事業に携わる場合、不動産業界特有の対人コミュニケーションが必須となります。
タスキホールディングスの選考対策
1. 不動産×DXへの理解を深める
「なぜ不動産×テクノロジーなのか」という問いに対して、自分の言葉で答えられるよう準備してください。競合他社(他の不動産テック企業・大手DX推進中不動産会社)との違いを理解した上で、「なぜタスキHDなのか」を語れることが重要です。
タスキSmart・TASUKI TECH LAND・TASUKI FUNDSについて公式サイトで事前に調べ、プロダクトの特徴と事業における位置づけを押さえておきましょう。
2. 自分のスキルを「不動産DX文脈」で言語化する
IT・SaaS経験者の場合は「自分のスキルが不動産業界のどの課題を解決できるか」を具体的に示せるとよいです。不動産業界経験者の場合は「デジタルを活用してどんな改善をしてきたか」または「DXへの意欲をどう行動で示してきたか」を準備してください。
3. 数字・KPIで実績を語る
成果主義の企業文化に合わせ、職務経歴書・面接の両方で実績を数値化して提示することが求められます。「売上〇〇億円のプロジェクト担当」「SaaSの導入件数を〇倍に」「コスト〇%削減」など定量的な表現を意識してください。
4. 変化適応力のエピソードを準備する
「これまでのキャリアで最も大きな変化への対応を経験した場面」を問う質問が予想されます。統合・再編・制度変更・新規事業立ち上げなど、変化のある環境での実績エピソードを整理しておきましょう。
5. 志望度と入社後のビジョンを具体的に語る
少数精鋭の採用であるため、「本当に入社したいか」という志望度が強く見られます。「入社後1年・3年でどう貢献したいか」を具体的に描けていると、他の候補者との差別化につながります。
6. 業界のマクロ環境を押さえる
不動産市況(東京都心の地価動向・金利環境・投資用マンション需要)と、不動産DX市場のトレンドについて最低限の知識を身につけた上で面接に臨んでください。「業界トレンドについてどう見ていますか」という質問は高確率で出ます。
タスキホールディングスへの転職で評価されやすい経験
- 投資用不動産(マンション・レジデンス)の開発・仕入れ実務経験
- 不動産業界向けSaaSのセールス・導入支援経験
- 不動産ファンド・不動産クラウドファンディングのオペレーション経験
- バーティカルSaaSのプロダクト企画・開発経験(業界問わず)
- デジタルマーケティング・リードジェネレーション実務(SaaS・不動産いずれか)
- M&A・経営統合案件への関与経験(PMI・制度統合など)
- 上場会社のIR・開示対応の実務経験
- コンプライアンス・リスクマネジメント実務(金融または不動産)
- 不動産テック・PropTech分野でのエンジニアリング経験
- スタートアップ・ベンチャー企業での管理部門(法務・経理・総務)経験
- FinTech・クラウドファンディングプラットフォーム運営の経験
- プライム上場を経験した会社でのガバナンス・内部統制整備経験
- 不動産業界での施工・工事管理経験
特に評価されやすいのは「不動産の実務知識とデジタル推進の実行経験を両方持つ人材」です。 どちらか一方だけでも応募は可能ですが、両方を持つ人材は採用競争率が下がり、入社後のキャリアパスも広がります。
20〜30代のキャリア相談(無料)→まとめ
タスキホールディングスは「不動産×DX」というテーマで急成長を遂げ、2026年6月に東証プライム市場への昇格を果たした注目企業です。投資用IoTレジデンス・SaaS・クラウドファンディングという多角的な事業構造を持ち、転職者にとっては不動産業界とテック業界の両方を学べる希少な職場環境が最大の魅力です。
平均年収699万円水準は不動産業界の中でも上位に位置しており、成果に連動した報酬体系は高い成果を出せる人材にとって魅力的です。一方で、2024年設立のホールディングスとして社内制度の整備が進行中の側面もあり、「整った環境で働きたい」という人よりも「自分で環境を作る」タイプの人材が活躍しやすい企業文化です。
転職を検討する際は、Life Platform・Finance Consulting・SaaSのどのセグメントを志望するかを明確にした上で、自分のスキルセットとの接点を具体的に整理することをお勧めします。不動産とデジタルの掛け算で新しいキャリアを描きたい方には、現時点での日本市場でも最も挑戦しがいのある選択肢の一つです。
