株式会社新日本科学は「日本初の医薬品開発受託研究機関」という唯一無二のポジションを持つCRO企業です。創業の地・鹿児島に広大な非臨床試験施設を構え、国内外の製薬企業が開発する薬候補物質の安全性・薬効を評価しています。製薬企業は自社内に巨大な非臨床試験施設を持つよりもCROに外注するケースが多く、新日本科学のような専業CROの需要は安定的に高い状態が続いています。

業種はサービス業に分類されますが、実態は理系・研究色が強い専門企業です。採用においても獣医師・薬学・生物学・化学などのバックグラウンドを持つ人材を多く求めており、専門性を活かしたキャリアを志向する転職者に向いた会社といえます。一方で、本社・研究施設の主拠点が鹿児島であることから、関東・関西からの転職では居住地変更が必要になる点も念頭に置く必要があります。

企業概要

項目内容
正式社名株式会社新日本科学
英語名SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES, LTD.
設立1957年(創業)、1970年代に法人化
代表代表取締役会長兼社長(永田良一)
本社鹿児島県鹿児島市宮之浦町2438番地
資本金96億円程度(推計)
従業員数1,341名(グループ全体)
上場区分プライム市場(証券コード(2395))
売上高324億円程度(2025年3月期推計)
平均年収500〜530万円程度(推計)
平均年齢39.3歳
事業内容非臨床試験受託・TR事業・メディポリス事業

株式会社新日本科学は鹿児島市宮之浦町に本社・主要施設を置き、国内最大規模の非臨床CRO施設を運営しています。グループ全体で見ると、非臨床事業を担う本体のほか、CRA(臨床開発モニター)業務を担うグループ会社の新日本科学PPDも存在し、一貫した医薬品開発支援サービスを提供しています。

プライム市場上場企業として財務の透明性も高く、業績は安定成長基調にあります。近年は経鼻投与技術(TDT技術)など独自の技術開発にも力を入れており、単なる試験受託に留まらないバリューチェーンへの参入を進めています。

主な事業内容

新日本科学の事業は「非臨床事業」「トランスレーショナルリサーチ事業」「メディポリス事業」の3本柱で構成されています。それぞれが医薬品開発の異なるフェーズを担う構造になっており、川上から川下まで幅広い受託サービスを提供できる点が強みです。

非臨床事業(CRO事業)

新薬候補物質を人に投与する前に、動物(サル・ラット・マウス等)を使って安全性や薬効を評価する「前臨床試験」の受託が主力業務です。国内ではトップシェアを誇り、厚生労働省や国際規制基準(GLP)に準拠した高精度な試験を提供しています。

国内製薬大手だけでなく、米国FDA向け申請を想定した外資系製薬企業・バイオテックからの受注も多く、英語対応が標準化されています。試験の種類は毒性試験・薬理試験・薬物動態試験など多岐にわたります。

トランスレーショナルリサーチ(TR)事業

動物から人への橋渡し研究を支援するTR事業では、経鼻投与技術(TDT)を中核に置いた独自サービスを展開しています。脳への薬物送達(DDS)技術の研究受託は希少疾患・神経系疾患の新薬開発において注目度が高く、国際的な論文・学会発表も進めています。

TR事業は非臨床事業と比べると規模は小さいものの、高付加価値領域として会社が注力している分野です。転職者にとっては専門性を発揮できるニッチキャリアパスとして魅力的な側面があります。

メディポリス事業

鹿児島・指宿市の広大な自然環境を活かした「メディポリス医学研究財団」関連の事業です。がん陽子線治療センター、医療・健康リゾートの運営など、医療×観光の融合モデルを追求しています。

メディポリス事業はCRO本業とは異なるビジネスモデルですが、地域貢献・鹿児島ブランドとの結びつきが強く、採用面では「鹿児島に根ざしたキャリア」として地方移住希望者からも関心を集めています。

新日本科学の強み

強み1. 日本初・国内最大の非臨床CROとしての圧倒的ブランド

1957年創業という歴史の長さと、国内トップシェアという実績は、新薬開発に関わる製薬企業から絶大な信頼を獲得しています。「CROを選ぶなら新日本科学」という知名度は業界内で確固たるものがあり、受注の安定性につながっています。

転職者にとっては「CROのトップ企業に在籍した」というキャリア上の価値が、将来の転職・独立時にも効いてきます。業界内での人脈形成という観点でも、日本中の製薬企業の研究者と接点を持てる環境は貴重です。

強み2. 独自の技術資産(TDT・経鼻投与技術)

グループ内のTR事業部が保有する経鼻投与DDS技術は、神経系疾患治療薬の開発において世界的にも注目されている技術分野です。血液脳関門を迂回して脳に直接薬を送達できる可能性を持ち、アルツハイマー病・パーキンソン病など未充足ニーズの大きい領域での応用研究が進んでいます。

独自技術の開発・ライセンスアウトという方向性は、受託一辺倒のCRO企業と差別化できる戦略です。研究者志向の転職者には、受託だけでなく自社技術開発にも携われる環境として訴求力があります。

強み3. 規制対応力の高さ(GLP・FDA・PMDA準拠)

非臨床試験は厚生労働省の優良試験所基準(GLP:Good Laboratory Practice)に準拠して実施する必要があります。新日本科学は国内外の規制当局(FDA・PMDA)が求める基準に長年対応してきており、この規制対応ノウハウの蓄積は新規参入企業には模倣困難な参入障壁になっています。

製薬企業は規制当局への申請が通らないリスクを避けるため、信頼できる受託先を選びます。新日本科学の規制対応実績は、受注獲得における決定的な強みです。

強み4. 大型・長期案件による収益安定性

非臨床試験は1つのプロジェクトで数ヶ月〜2年以上かかるケースも多く、受注を獲得すると中長期の売上が確保されます。製薬企業のR&D投資は景気循環よりも薬事規制・特許切れスケジュールに依存する部分が大きいため、一般製造業や消費財に比べて景気後退の影響を受けにくい点も安定性の源泉です。

転職者にとっては「景気に左右されにくい安定した職場環境」として評価されます。CRO業界全体が構造的な成長期にあることもプラスに働いています。

強み5. グローバル展開による成長余地

米国にも子会社・協力ネットワークを持ち、外資系製薬会社のグローバル試験を受託できる体制を整えています。英語対応が標準的な職場環境であり、グローバルキャリアを希望する理系人材にも選ばれやすい環境です。

海外展開の加速により売上高の成長余地が大きく、会社の規模拡大とともに給与水準や職域が広がる可能性も期待できます。

新日本科学の年収事情

新日本科学の年収は、転職サイト・口コミサイトの情報を総合すると、平均500〜530万円程度と推計されます。製薬・CRO業界の中では中程度水準で、大手製薬企業と比べると低めですが、専門職として着実にキャリアを積める環境が整っています。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
非臨床試験研究員(初期)350〜450万円
非臨床試験研究員(中堅)450〜600万円
非臨床試験研究員(シニア)600〜800万円
GLP品質管理担当450〜650万円
TR研究員500〜700万円
管理職(課長相当)700〜900万円
医薬品法規制担当500〜680万円
営業・プロジェクトマネジメント450〜700万円

給与制度の特徴

年功序列一辺倒ではなく、個人の実績・評価と連動して職位・給与が決まる制度を採用しています。若手でも実力次第で早期昇給・昇進が可能とされており、モチベーション高く働ける環境が整えられています。ボーナスは年2回支給が基本で、業績連動の要素も含まれています。

年収を見る際の注意点

  • 本社・主要施設が鹿児島という地域特性から、東京・大阪の同業他社と比較すると地域差がある場合がある
  • 子会社の新日本科学PPDは別法人のため、同社への転職時は給与体系が異なる点に注意
  • 転職サイトに掲載される年収は記載時期や職種偏りがあるため、選考過程での確認が重要
  • 残業時間は部署・プロジェクト繁忙期によって差があり、みなし残業の有無も要確認

新日本科学の働き方・福利厚生

新日本科学は試験施設を有する研究企業であるため、一部の業務はラボ・施設への出勤が必須ですが、管理系や一部の業務ではフレックスタイム制やリモートワークが導入されています。

勤務時間・休日

  • 標準的な所定労働時間(8時間程度)
  • フレックスタイム制度あり(コアタイム設定)
  • 年間休日:120日(土日祝+夏季・年末年始)
  • 有給休暇:入社6ヶ月後に10日付与

リモートワーク

  • 試験実施職種はラボ出勤が基本
  • 管理・営業・プロジェクト管理系は一部リモート対応可能とされる

福利厚生

  • 社会保険完備(健保・厚生年金・雇用・労災)
  • 社員食堂(鹿児島本社敷地内)
  • 住宅補助制度(転勤・移住者向け)
  • 退職金制度
  • 育児・介護休暇制度
  • えるぼし認定(女性活躍推進に関する鹿児島県初取得)
  • 英語研修・語学サポート
  • 社内サークル・スポーツイベント
  • リフレッシュスペース完備
  • 社員持株会制度

注意点 鹿児島勤務が基本のため、首都圏からの転職では生活環境の変化を伴う。ただし、鹿児島は生活コストが低く、住居費・物価面でのメリットもあります。施設系の試験研究員は動物実験施設での業務となるため、アレルギー等の健康面を事前確認することが推奨されます。

新日本科学の社風・カルチャー

一言で表すなら「専門職集団・地に足のついた研究者文化」

CROという業態の性質上、自社の製品を世に売り出すのではなく、顧客の研究成果を支えることに専念する「縁の下の力持ち」型の社風です。目立つことよりも正確さ・信頼性・専門性を優先する文化が根付いており、じっくり専門性を深めたい研究者気質の人材に向いています。

鹿児島本拠地という地方色もあり、組織はやや保守的・安定志向の傾向があります。一方で、グローバル展開の加速や若手登用の観点から、変化を楽しめる人材も歓迎されつつある雰囲気があります。

評価される人物像

  • 正確性・再現性を重視する研究者気質
  • GLPや規制文書の作成・管理に几帳面に取り組める人
  • 英語でのコミュニケーションに抵抗がない人(外資系製薬との窓口を担う場面が多い)
  • 鹿児島・地方勤務を前向きに捉えられる人
  • チームで案件を進める協調性がある人

表面的なイメージと実態の差

「鹿児島の研究所」というイメージから古風・閉鎖的と思われることもありますが、実態は米国・欧州の製薬企業と日常的にやりとりするグローバルな仕事環境です。国際学会への参加、英語論文の執筆なども機会として存在します。ただし、東京・大阪に比べたキャリアの流動性の低さは実感するケースもあり、転職市場での能動的なキャリア管理意識は持ち続けることが重要です。

新日本科学の転職難易度

難易度:3級(普通〜やや高い)

新日本科学の転職難易度は業界経験の有無によって大きく変わります。CRO・製薬・バイオテック経験者であれば書類通過率は比較的高め。一方、異業種からの転職は理系学歴・研究職経験がない場合に書類で苦戦する傾向があります。

非臨床試験を実際に行う研究員ポジションは専門性が高く、獣医師資格保有者・薬学・生物系修士以上の学歴が事実上の応募要件になることが多いです。管理部門・IR・営業系ポジションは文系・他業界出身でも通過できるケースがあります。

理由1. 専門性の壁が高い

毒性試験・病理・薬理・薬物動態などの専門領域は、研修で即習得できるものではなく、実務経験・学術的バックグラウンドが求められます。採用市場で競合する人材(製薬企業研究員・他CRO在籍者)も専門性が高く、採用基準が下がりにくい環境です。

理由2. 勤務地(鹿児島)がハードルになる

主要ポジションの多くは鹿児島勤務です。転職者の中には「仕事内容は魅力的だが鹿児島への移住をためらう」というケースが多く、応募母数が絞られます。実際に移住意志が固まっている転職者は採用側から好意的に評価される傾向があります。

理由3. 英語力の要求水準

外資系製薬との窓口業務が多い職種では、英語でのメール・資料作成・電話対応が必要です。TOEIC700〜800点程度を目安に、実務英語経験があると有利です。

新日本科学の主な募集職種

新日本科学では以下の職種を中心に採用活動を行っています。

新日本科学に向いている人

1. 専門性を深く追求したい理系研究者

「量より深さ」を好み、非臨床評価・毒性・薬理といった専門領域を徹底的に極めたい人に向いています。製薬企業の研究員が仮説検証・創薬を主業務とするのに対し、CROの研究員は評価・受託試験のプロフェッショナリズムを磨きます。

2. 安定したキャリアを地方で築きたい人

東京・大阪の競争的環境より、鹿児島でじっくり腰を落ち着けてキャリアを積みたい人に向いています。生活コストが低く、子育て環境が整った鹿児島での生活をポジティブに捉えられる人は、長期在籍しやすい環境といえます。

3. グローバルな仕事に関わりたいが海外赴任はしたくない人

外資系製薬企業との仕事が多く、日本にいながら英語を使い、グローバルな視野を持つ業務に携われます。海外赴任の可能性は必須ではないため、国内在住でグローバルな仕事をしたい人に合っています。

4. 製薬業界に転職したいが創薬よりも支援側を志向する人

新薬を自分で発明・開発するより、製薬企業の新薬開発を専門家として「支える」ことに意義を感じる人に向いています。CROのやりがいは製薬企業と伴走することで間接的に患者に貢献できる点にあります。

5. 中小製薬・バイオベンチャーから安定大手へ移りたい人

スタートアップ・中小CROから、規模・ブランド・安定性を求めてステップアップしたい人の転職先としても機能します。

新日本科学に向いていない人

批判ではなくミスマッチ防止のため、以下のタイプは入社後に違和感を覚える可能性があります。

  • タイプ1: 「新薬を自分の手で創りたい」という創薬研究志向が強い人(CROは開発支援が主で自社創薬は行わない)
  • タイプ2: 都市部(東京・大阪)での勤務を重視する人(主要施設は鹿児島)
  • タイプ3: スピード感のある事業開発・新規事業に関わりたいビジネス志向の人(研究・試験ドリブンの文化)
  • タイプ4: 短いスパンでのキャリアチェンジ・ジョブホッピングを繰り返したい人(専門職として長期的に腰を据えることが求められる)
  • タイプ5: 英語での業務に強い抵抗感がある人(外資系製薬との英語対応が多い職種では必要スキル)

新日本科学の選考対策

1. 志望動機は「CROを選ぶ理由」を明確にする

製薬企業との違いを理解した上で「なぜ受託研究機関に転職するのか」を論理的に説明できるようにしましょう。「製薬企業で1つの領域しか経験できないが、CROでは様々な薬候補を評価できる」「評価の専門家として深く特化したい」などの視点が有効です。

2. 鹿児島勤務への覚悟を明示する

採用担当が最も気にするのは「本当に鹿児島に来るつもりがあるか」という点です。面接では住居探しを具体的に進めていること、家族の同意を得ていること、鹿児島の生活に具体的な期待を持っていることを積極的に伝えると好印象です。

3. 実験・試験の具体的な業務経験をアピールする

職務経歴書では「どの動物種を使った試験に携わったか」「GLP環境での業務経験の有無」「作成・レビューした標準操作手順書(SOP)の内容」など、非臨床試験の具体的な実務経験を丁寧に記載してください。抽象的な記述より、具体的な実験・評価の記録が採用担当に響きます。

4. 英語力を数値・実績で示す

TOEICスコアはもちろん、英語でのメール業務経験・外国人研究者とのやりとり経験・英語論文の共著経験などがあれば積極的に記載します。英語力は選考の際に明確に評価される項目です。

5. 規制対応・品質管理の知識は事前学習しておく

GLP・GCPなどの基本概念、ICH(国際医薬品規制調和会議)の主要ガイドライン(S1〜S9等)は最低限予習しておきましょう。面接で試験の品質管理についての質問が出る場合に、基礎的な理解を示せると評価が上がります。

6. 試験動物への倫理的配慮の姿勢を示す

非臨床試験は動物実験を伴うため、動物福祉(3Rの原則:Replacement・Reduction・Refinement)への理解と誠実な向き合い方を持っていることを面接で示すことが重要です。企業側も「動物実験を正しく理解し敬意を持って行える人材か」を評価しています。

新日本科学への転職で評価されやすい経験

  • 製薬企業・バイオベンチャーでの研究員・試験担当経験
  • 他CROでの非臨床試験実施経験(毒性・薬理・薬動態等)
  • GLP準拠施設での業務経験
  • 動物実験(ラット・マウス・サル等)の実施・管理経験
  • 毒性試験レポートの作成・レビュー経験
  • 規制文書(申請書・CTD等)の作成・確認業務
  • 病理組織所見の評価・記録経験
  • 英語でのレポート作成・外部機関とのやりとり
  • ICH・FDA・PMDA関連ガイドラインへの準拠業務
  • プロジェクトマネジメント(複数試験の工程管理)
  • SAP・ERP等の社内情報システム管理経験
  • 品質保証(QA)・品質管理(QC)業務
  • 社内SOP(標準操作手順書)の策定・管理経験
  • 学術論文の共著・学会発表経験(特に非臨床領域)

**特に評価されやすいのは、「GLP準拠非臨床試験の実施経験+英語での規制文書作成能力」を兼ね備えた人材です。**この組み合わせは採用市場でも希少であり、年収交渉においても優位な立場になれます。

まとめ

株式会社新日本科学は、日本初の非臨床CROとして70年近い実績を持つ、製薬業界の基盤を支える専門企業です。国内トップシェアの安定した受注環境と独自技術(経鼻投与DDS)の両立が、他のCROにはない競争優位になっています。

転職先として評価する場合、製薬大手と比較して年収水準はやや控えめですが、「専門性を深く磨ける環境」「グローバル案件への関与」「安定した経営基盤」の三拍子が揃っており、長期キャリアを見据えた転職先としての魅力は十分あります。鹿児島勤務というハードルを乗り越えられれば、製薬・CRO業界での確かなキャリアを築ける会社といえるでしょう。

一方、都市部勤務や創薬志向が強い転職者にとっては、立地と事業性格の面でミスマッチになる可能性があります。転職エージェントとして見た場合、理系専門職×地方移住の意志が揃った候補者に対しては、有力な転職先としてお勧めしやすい企業です。

参考リンク