株式会社三十三フィナンシャルグループ(以下、三十三FG)は、2018年4月に三重銀行と第三銀行の経営統合持株会社として設立された東証プライム上場の地域金融グループだ。東証・名証の両市場に上場し、三重県を中心に愛知県・大阪府・奈良県・和歌山県等に営業網を持つ。

転職エージェントとして本記事で最も強調したいのは、2026年5月に発表されたあいちフィナンシャルグループ(愛知銀行、中京銀行等を傘下に持つ)との経営統合合意だ。2027年4月1日の合併効力発生を目指しており、合計総資産は11兆円超となる見込みの大型再編だ。現時点では採用活動も継続されているが、統合後の組織体制・ブランド・採用ポリシーは未確定の要素が多い。転職を真剣に検討する方は、この経営統合という文脈を前提に情報を読んでほしい。

企業概要

項目内容
正式社名株式会社三十三フィナンシャルグループ
設立2018年4月2日
代表取締役道廣剛太郎(代表取締役社長)
本社所在地三重県四日市市
資本金100億円(持株会社単体)
従業員数61名(単体)/2,233名(連結・三十三銀行ベース、2025年3月末現在)
上場区分プライム市場(証券コード7322)
総資産4兆5,108億円(2025年3月末 連結)
平均年収952万円(持株会社単体・2024年3月期)/586万円程度(三十三銀行ベース)
平均年齢52.9歳(持株会社単体)/39.3歳(三十三銀行ベース)
平均勤続年数28.7年(持株会社単体)
事業内容銀行業務・リース業務・クレジットカード業務・信用保証業務等の金融サービス

三十三FGは持株会社として傘下の連結子会社9社(2025年3月時点)を統括する。中核の三十三銀行は2021年5月1日に第三銀行が三重銀行を吸収合併する形で誕生した。その後も「三重・第三」両行の統合効果の刈り取りを進めながら、地域金融機能の強化に取り組んできた。

2025年3月期の連結経常利益は157億円程度、総資産は前年度末比758億円増加の4.5兆円超と財務は安定成長軌道にある。2026年5月に発表されたあいちFGとの経営統合が実現すれば、総資産11兆円超の東海圏最大級の地銀グループが誕生する。

主な事業内容

三十三FGの事業は、三十三銀行を中心とした銀行業務と、関連グループ会社による金融周辺サービスから構成される。

銀行業務(三十三銀行)

中核子会社の三十三銀行は、三重県・愛知県を主要拠点に、大阪・奈良・和歌山・東京にも拠点を持つ広域地方銀行だ。預金残高3.9兆円超(2025年3月末)の資金量を背景に、個人向け預金・融資・資産運用サービスと、法人向け融資・ビジネスマッチング・財務コンサルティングを主軸とする。地元の中小企業への事業承継支援・事業再生支援も重要な機能だ。

リース業務

グループのリース子会社を通じて、設備投資・不動産リース・ファイナンスリース等の法人向けリース金融を提供している。三十三銀行の法人取引先とのクロスセルが主なビジネスモデルだ。

クレジットカード・信用保証業務

個人向けクレジットカード事業、および住宅ローン等の信用保証業務を担うグループ会社を傘下に持つ。銀行業務と一体的に提供することで顧客の金融ニーズを面で捉えるグループ戦略の柱となっている。

証券・資産運用周辺サービス

投資信託の窓口販売、国債・社債等の有価証券仲介など、個人資産運用に関連する金融サービスも拡充している。「金利のある世界」への回帰を受けて、資産運用サービスの強化は業界全体のトレンドだが、三十三銀行もこの分野を重点領域に位置づけている。

三十三フィナンシャルグループの強み

強み1. 三重県・東海圏でのネットワークと顧客基盤

三重県における地銀シェアは最大級で、地域の中小企業・個人に対する長年の関係性が最も重要な競争優位だ。三重銀行と第三銀行という旧来の2行ネットワークを統合したことで、顧客基盤と店舗カバレッジは大幅に拡大した。転職者にとっては「地域に根差した金融機関で、長期的な取引先との関係構築ができる」という環境が魅力だ。

強み2. 2021年合併による経営効率化の進展

三重銀行・第三銀行の合併から4年が経過し、システム統合・人員の最適配置・重複コスト削減という合併効果が着実に出ている。財務データ上も経常利益が改善傾向にあり、ポスト合併フェーズとして安定経営に移行しつつある。転職者から見ると、合併直後の混乱期を過ぎた比較的落ち着いた職場環境に入れる時期といえる(ただし、次の統合(2027年)が控えている点は留意)。

強み3. 「金利のある世界」への構造的追い風

日本銀行の金融政策正常化によって、銀行業は長年の超低金利環境から脱しつつある。金利上昇は貸出利鞘の改善に直結するため、三十三銀行を含む地銀全体に構造的な収益追い風が吹いている。2025年3月期の経常利益増加もこの流れと無縁ではない。転職者にとっては「業界として収益が改善するタイミングで入行する」という側面もある。

強み4. 事業承継・M&A支援など高付加価値サービスへの転換

単純な預金・融資のスプレッドビジネスから、事業承継コンサルティング・M&Aマッチング・財務アドバイザリーなどの手数料ビジネスへのシフトを進めている。法人担当者として入行すれば、融資だけでなく企業の経営課題全般に関わる幅広い業務経験が得られる環境になっている。

強み5. あいちFGとの統合による規模拡大(2027年予定)

2027年4月の経営統合が実現すれば、総資産11兆円超・東海圏最大規模の地銀グループが誕生する。規模の拡大は商品ラインナップ・エリア戦略・採用規模の拡張につながる可能性があり、グループの成長余地という観点では一定の期待ができる。一方で、大規模再編に伴う組織変化・配置転換・文化の融合というリスクも同時に存在する。

三十三フィナンシャルグループの年収事情

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
新卒入行(総合職1〜3年目)300万〜380万円程度
一般行員(20代後半〜30代前半)380万〜520万円程度
係長・主任クラス500万〜650万円程度
支店長代理・副支店長650万〜800万円程度
支店長800万〜1,000万円程度
持株会社スタッフ(管理職)900万〜1,200万円程度

給与制度の特徴

三十三銀行の給与水準は、地方銀行の中では標準〜やや高め程度のポジションと見られている。口コミによると「若手のうちは給料が安く、昇格試験の合格で水準が上がる」「合併後に給与見直しがあり、改善傾向」という声がある。昇格試験制度が存在し、試験合格が昇給・昇進に直結する年功・実力混合型の体系だ。

持株会社(三十三FG本体)の平均年収952万円は、持株会社スタッフが少数(61名)の管理職中心構成を反映した数字であり、三十三銀行行員ベースの平均年収586万円程度とは母集団が異なる点に注意が必要だ。

年収を見る際の注意点

  • 持株会社単体の952万円は管理職60名程度の少数精鋭の数字。入行後すぐに届く数字ではない
  • 三十三銀行ベースの平均年収586万円は行員全体の平均。若手(20代)は300万円台からスタートが一般的
  • 昇格試験の合否が年収に大きく影響。試験対策の負荷も転職前に把握しておくこと
  • 2027年の統合後は給与体系・等級制度が再設計される可能性が高い
  • 残業・出張の実態は支店・担当業務によって大きく異なる

三十三フィナンシャルグループの働き方・福利厚生

銀行業として窓口・渉外・融資審査・本部機能といった業務区分があり、職種によって働き方が大きく異なる。窓口業務は店舗営業時間に縛られるが、法人営業・審査部門は取引先のニーズに合わせた柔軟な対応も求められる。

主な福利厚生・制度

  • 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
  • 企業年金・退職金制度
  • 持株会制度(自社株購入)
  • 住宅ローン優遇金利
  • 財形貯蓄制度
  • 資格取得支援(銀行業務検定・FP・証券外務員等)
  • 研修制度(新人研修・階層別研修・外部派遣研修)
  • フレックスタイム制(部署によって適用範囲が異なる)
  • 育児・介護休業制度
  • 三重・愛知・近畿圏の広域転勤制度

リモートワーク 窓口・渉外職では基本的にリモートワークは難しい。本部スタッフ・審査部門ではある程度のリモート対応が進んでいるが、詳細は採用段階で確認が必要だ。

注意点 銀行業として各種資格取得(証券外務員・FP・銀行業務検定等)が実質的に必須であり、入行後に資格勉強の負荷が継続する。また、総合職は広域転勤の可能性がある点も転職前に確認すること。

三十三フィナンシャルグループの社風・カルチャー

一言で表すなら「誠実・堅実な地銀カルチャー」

三重県・愛知県の地域産業を長年支えてきた地域金融機関としての「誠実さ・堅実さ」が社風の根底にある。行員のクチコミでは「真面目な人が多い」「お客様第一の意識が浸透している」という評価が目立つ。大手都市銀行のような野心的・競争的な社風より、地域社会への貢献を軸に長期的な信頼関係を築くことを重視する文化だ。

三重銀行・第三銀行の合併から4年が経過し、文化統合は進みつつあるが、旧行意識の残存を指摘する声も一部に見られる。

評価される人物像

  • 顧客(地域企業・個人)の課題に真摯に向き合える誠実さ
  • コンプライアンス意識が高く、ルールを守れる律儀さ
  • 長期的な取引関係の構築を重視する粘り強さ
  • 数字(融資額・預金残高・手数料等)に責任を持つ営業姿勢
  • 地域に根ざして働くことへの価値観

表面的なイメージと実態の差

「銀行員=安定・残業少ない」というイメージを持って入行すると、法人担当営業の業務量の多さに驚くケースがある。また、合併後の組織変化の中で、従来の慣行が変わりつつある部分もある。さらに、2027年4月の統合を控えた現在は、将来の組織体制への不確実性が社員の間にも意識されている。

三十三フィナンシャルグループの転職難易度

難易度:B〜A級(地銀としては標準的。総合職は大卒ベースが前提)

地方銀行への転職としては標準的な難易度だ。新卒採用は大卒以上がベースだが、中途採用では即戦力性(金融業務経験・資格)が重視される傾向にある。

理由1. 金融業界経験・資格保有者が有利

証券外務員・FP(ファイナンシャルプランナー)・銀行業務検定の保有者は選考で有利に働く。逆に金融未経験者でも「顧客折衝経験・法人営業経験」があれば入行できるケースがある。

理由2. 経営統合フェーズによる採用変数

2027年の経営統合を控えた現在、採用計画・採用規模が例年と異なる可能性がある。採用ポジションが限定されるケースも考えられるため、最新の採用情報を逐次確認することが重要だ。

理由3. 専門職・本部職は競争率が高い

審査部門・コーポレートファイナンス・DX・リスク管理といった本部系専門職は求人枠が限られており、競争率は相対的に高い。即戦力のスペシャリストへの需要が強い。

三十三フィナンシャルグループの主な募集職種

三十三銀行・グループ会社において、以下の職種で採用実績がある。

三十三フィナンシャルグループに向いている人

タイプ1. 地域金融に本気でコミットしたい人

「都市銀行ではなく、地元の企業・地域社会に密着して金融サービスを提供したい」という志向を持つ方には、三十三銀行の環境は非常にフィットしやすい。取引先との長期的な関係性の中で、金融を超えた経営課題の相談相手になれる仕事のやりがいがある。

タイプ2. 金融業界での転職でキャリアアップを目指す人

証券会社・保険会社・信金等での経験を持ち、地銀という異なる業態でのキャリア拡大を目指す方に向いている。銀行業務のフルラインナップを経験できる環境は、金融キャリアの幅を広げるうえで価値がある。

タイプ3. 安定した雇用環境で専門性を磨きたい人

コンプライアンス・リスク管理・審査・情報システム等の専門職として、安定した環境でスキルを深めたい方にも適している。

タイプ4. 2027年統合後の新体制で活躍したい人

あいちFGとの統合が完了すれば、より大きな規模・リソースのグループで仕事ができる可能性がある。統合前に入行し、統合後の新組織を内側から担いたいというキャリア観を持つ人にとっては、今がある意味で入り時ともいえる。

三十三フィナンシャルグループに向いていない人

批判ではなく、ミスマッチを防ぐ目的で記載する。

  • タイプ:2027年統合後の組織変化・不確実性を避けたい人 — 統合に伴う人員配置・等級制度・組織改編は転職後の環境を変える可能性がある。確実性を優先したい方には時期が難しい
  • タイプ:東京・大都市圏での勤務を希望する人 — 本拠地が三重県であり、主要拠点も東海・近畿圏。都市圏勤務を優先する方には不向きだ
  • タイプ:短期で結果を出してすぐ転職したい人 — 地銀は長期的な関係構築が基本。短サイクルでのジョブホッピングとは文化的に合いにくい
  • タイプ:コンプライアンス・規制への制約を窮屈に感じる人 — 銀行業は法規制・内部規程が厳格で、自由度を最優先にしたい方には合わない
  • タイプ:高年収をすぐに求める人 — 20代での年収は他業種の同年代と比べて高くないケースが多い。昇格に時間がかかる点は覚悟が必要

三十三フィナンシャルグループの選考対策

選考戦略1. 「なぜ地銀か、なぜ三十三か」を地域軸で語る

都市銀行ではなく三重・東海地域の地銀を選ぶ理由を、地域への思い・取引先との関係性へのこだわりとして具体的に語れることが必須だ。「地元で長期的に働きたい」「中小企業の経営者に寄り添いたい」など、地銀ならではのキャリアビジョンを言語化しておく。

選考戦略2. コンプライアンス意識をアピールする

銀行業での選考では、過去の業務経験の中でコンプライアンス・誠実さをどう体現したかが重視される。「ルールを守り、顧客利益を優先した判断をした経験」を具体的なエピソードで準備する。

選考戦略3. 金融資格・業務知識を先行取得する

証券外務員一種・二種、FP2〜3級などの資格を転職活動中から取得・勉強中である姿勢を見せると印象が良い。特に資産運用・保険窓販分野を希望するなら証券関連の資格は必須に近い。

選考戦略4. 2027年統合について自分なりの考えを持つ

面接では「あいちFGとの統合についてどう思うか」と聞かれる可能性が高い。「変化をポジティブに捉え、より大きな組織でさらに貢献したい」というスタンスを明確に持って臨むこと。マイナスの感情が見えると評価に影響する。

選考戦略5. 具体的な数字・実績を伝える

法人営業経験がある場合は「年間訪問先数・成約件数・融資獲得額」等の数字を準備する。個人営業経験は「顧客単価・継続率・クロスセル実績」で語る。数値化できる成果を伝えることが地銀選考でも重視される。

選考戦略6. 長期就業の意思を明確に示す

地銀は人材の長期定着を前提とした採用をするため、「短期で転職するつもりはない」「地域に腰を据えて働く意思がある」という姿勢を明示することが採用担当への安心感につながる。

三十三フィナンシャルグループへの転職で評価されやすい経験

  • 銀行・信金・信組での法人営業・個人営業経験
  • 証券会社・保険会社でのリテール営業経験
  • 事業法人での財務・経理・CFO補佐などの実務経験
  • FP・証券外務員・銀行業務検定などの金融資格保有
  • 中小企業への融資審査・審査補助の実務経験
  • 融資先企業の事業計画書作成補助・財務分析経験
  • コンプライアンス・内部監査・法務関連の職務経験
  • ITシステム・DX推進の経験(銀行の基幹系・勘定系周辺)
  • リース・信用保証などノンバンク系の営業・審査経験
  • 地元企業(中小・中堅)との取引関係構築経験
  • M&A・事業承継に携わった実務経験(仲介・アドバイザリー等)
  • 接客・サービス業での顧客折衝力(金融未経験からの転職で評価される補強要素)
  • 簿記2級以上の保有(特に審査・財務分析職)

特に評価されやすいのは、地域企業(中小・中堅)への法人営業経験と金融資格の組み合わせだ。 三十三銀行が地域の中小企業の伴走支援を重視する以上、「事業者の課題を聞き取り、金融ソリューションを提案した経験」は選考で最も響く実績といえる。

まとめ

株式会社三十三フィナンシャルグループは、三重県・東海圏を地盤とする東証プライム上場の安定した地方銀行グループだ。総資産4.5兆円超の財務基盤、地域密着の法人・個人金融サービス、そして「金利のある世界」という業界への追い風を受け、経営は改善局面にある。

転職検討にあたって最も重要なのは、2027年4月のあいちフィナンシャルグループとの経営統合という大型変化を前提に意思決定することだ。統合後の組織体制・等級制度・採用ポリシーは現時点では未確定であり、入行後に予期せぬ変化が生じる可能性は否定できない。「変化の中でも自分のスキルと価値観を軸に動ける」というレジリエンスのある方や、「大規模統合を機に更に成長したいグループの一員になりたい」という積極的なキャリア観を持つ方に向いている局面といえる。

地銀への転職を本気で考えているなら、三十三FGの採用担当や転職エージェントを通じて最新の採用方針・統合後の組織設計の情報を収集したうえで判断することを強く推奨する。

参考リンク