メタジェンセラピューティクス株式会社は、腸内細菌叢移植(FMT)という独自性の高い治療モダリティを軸に、医療サービス事業と創薬事業の両輪で事業を展開するバイオベンチャーである。山形県鶴岡市の「鶴岡サイエンスパーク」を本拠地としながら、東京・大手町にも事務所を構え、全国各地でのフルリモート勤務者も抱えるなど、地方発でありながら全国規模で人材を集めている点が特徴だ。

同社は2020年1月、腸内細菌叢研究で知られる株式会社メタジェンの100%子会社として創業し、2020年12月に資本構成上、2022年6月にガバナンス上、それぞれ独立した経緯を持つ。創業者には慶應義塾大学・順天堂大学などで腸内細菌叢研究を主導してきた研究者が名を連ね、アカデミアの研究成果を社会実装につなげる「ギャップファンディング型」のバイオベンチャーという位置づけである。

転職市場においては、製薬会社の臨床開発・薬事・CMC部門出身者、アカデミアからの転身を考える研究者、スタートアップでの事業開発・コーポレート機能の立ち上げに関心がある人材など、複数のキャリアパスから注目される企業である。一方で、非上場かつ臨床開発段階のパイプラインが中心であるため、大手製薬企業のような安定した事業基盤とは異なるリスク・リターン構造を理解しておく必要がある。

本記事では、同社公式サイト(metagentx.com)で開示されている会社概要・沿革・資金調達状況・パイプライン情報・採用ページの内容を一次情報として、転職検討者向けに整理する。売上高、従業員数、平均年収・平均年齢・勤続年数など、同社が公式に数値を開示していない項目については、「非公開」と明記し、安易な推計値の提示は避ける。

企業概要

項目内容
会社名メタジェンセラピューティクス株式会社(英語名:Metagen Therapeutics, Inc., 略称:MGTx)
設立2020年1月
代表者代表取締役社長CEO 中原拓(共同創業者)
本社所在地山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2(鶴岡サイエンスパーク内)
主要拠点東京事務所(東京都千代田区大手町)、つるおか献便ルーム、FMT治験薬製造センター(神奈川県川崎市・キングスカイフロント内)
資本金90百万円
従業員数非公開(公式サイトに具体的な人数の開示は確認できない)
上場区分非上場(証券コードなし。シード〜シリーズBまでの資金調達ラウンドを重ねているベンチャー企業)
売上高非公開(創薬・医療サービス事業はいずれも開発・臨床研究段階が中心であり、公式に売上高の開示は確認できない)
平均年収非公開(後述「年収事情」参照。推計値を示すが公式開示ではない)
平均年齢・勤続年数非公開
事業内容マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業(腸内細菌叢移植〔FMT〕を中心とする医療サービス事業・創薬事業)

同社の資金調達状況はPR TIMESで随時発表されており、直近では2026年9月4日に「北海道大学Green Frontier Fund1号投資事業有限責任組合」(北海道大学系)と「東海研究開発1号投資事業有限責任組合」(名古屋大学・岐阜大学系)という2つの大学ファンドからシリーズBエクステンションラウンドの一部として1.9億円を調達したことが発表された。さらに2026年9月25日には、シリーズBエクステンションの第二クローズとしてGLIN Impact Capital株式会社を引受先とする3億円の資金調達が完了し、シリーズBエクステンション全体で4.9億円となった。公式サイトの会社概要ページによれば、投資家からの出資は累計54.6億円、AMED・NEDOなどの公的資金は累計11.8億円で、合計66.4億円(2026年2月時点)に達している。この累計額は、2026年9月4日発表の大学ファンドからの調達により68.4億円、同年9月25日発表のGLIN Impact Capitalからの調達により71.4億円まで積み上がった。なお、AMEDの「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」ではステージゲート3以降の交付予定分として56.3億円が別途示されているが、これは2026年9月時点では未交付であり、上記の累計調達額には含まれていない。公式沿革によれば、2023年6月のシリーズAラウンド(17億円)、2025年9月のシリーズBラウンド・ファースト・セカンドクローズ(約23億円)などを経て、複数回にわたり資金調達を重ねてきた経緯であり、非上場のバイオベンチャーであるため、株式市場からの資金調達ではなく、VC・CVC・大学ファンド・公的機関からの出資・助成金によって研究開発費を確保するビジネスモデルである点は、転職検討者として理解しておくべき特徴だ。

事業所は本社機能を持つ鶴岡と、ビジネス機能を担う東京(大手町)の二拠点体制に加え、献便ドナー向け施設「つるおか献便ルーム」、FMT製剤の製造を担う「FMT治験薬製造センター」(川崎・キングスカイフロント)を持つなど、研究・臨床・製造・事業開発までを垂直統合的に自社で担っている点が、同業他社と比較した際の構造的な特徴といえる。

メタジェンセラピューティクス株式会社のアクセス・拠点体制

転職検討者にとって気になるのが、勤務地と拠点ごとの機能分担である。公式サイトの会社概要・採用ページによれば、同社の拠点は大きく3カ所に分かれている。

本社(山形県鶴岡市・鶴岡サイエンスパーク内)

研究開発・基礎研究・臨床研究の中核を担う本社機能が置かれている拠点であり、創業の母体である株式会社メタジェンや、慶應義塾大学先端生命科学研究所などアカデミア機関が集積する「鶴岡サイエンスパーク」内に位置する。研究職・臨床開発職を中心に、鶴岡での勤務・居住を前提とした募集が多いとみられる。

東京事務所(東京都千代田区大手町)

事業開発・コーポレート機能を中心に担うビジネス拠点である。投資家対応(IR)や行政・アカデミアとの連携窓口、採用広報といった対外的な業務は東京拠点が担う比重が大きいと考えられ、事業統括部門・コーポレート部門の募集ではこちらが主な勤務地になりやすい。

FMT治験薬製造センター(神奈川県川崎市・キングスカイフロント内)

GMP準拠の製剤製造を担う拠点であり、CMC・製造・品質管理の専門職にとっての勤務地となる。キングスカイフロントは羽田空港に近い研究開発拠点が集積するエリアであり、製薬・医療機器メーカーの研究所と隣接する環境で働ける点も特徴だ。

いずれの拠点も、前述のとおり裁量労働制・フレックスタイム・リモートワークを組み合わせた柔軟な働き方が採用されているため、職種によっては鶴岡・東京・川崎のいずれにも居住せず、フルリモートで業務にあたる社員もいる。選考の過程で、募集職種がどの拠点を前提としているかを早めに確認しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすい。マイクロバイオーム・バイオベンチャー領域で同様に地方発で事業を展開する企業としては、株式会社アルガルバイオの記事も、拠点戦略や働き方を比較する参考になるだろう。

主な事業内容

メタジェンセラピューティクスの事業は、大きく「医療サービス事業(医療技術としてのFMT)」と「創薬事業(医薬品としてのFMT)」の二本柱で構成されている。いずれも腸内細菌叢移植(FMT)という共通の技術基盤を用いながら、保険診療・先進医療の枠組みで早期に患者に治療を届ける医療サービス事業と、治験を経て医薬品として承認を目指す創薬事業とを並走させている点が特徴だ。

公式サイトのパイプライン情報によれば、同社は炎症性疾患(潰瘍性大腸炎)を中心に、がん領域(消化器がんにおける免疫チェックポイント阻害剤併用)、CNS領域(パーキンソン病)へと適応拡大を進めている。いずれのプログラムも、順天堂大学や国立がん研究センターといったアカデミア・医療機関との共同研究として進められている点が特徴的である。

FMT医療サービス事業(内視鏡投与・先進医療)

潰瘍性大腸炎を対象とした抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法(A-FMT)は、順天堂大学が2014年から重ねてきた臨床研究の成果を基盤に、2023年1月に先進医療Bとして承認された。2024年10月に全症例登録が完了し、2025年10月には寛解導入率45.9%を達成したことが報告されている。先進医療Bは保険診療と併用可能な枠組みであり、治験を経た医薬品承認前の段階でも一定の患者に治療を届けられる点が特徴だ。

がん領域では、国立がん研究センター中央病院と共同で、免疫チェックポイント阻害剤とA-FMT併用療法に関する特定臨床研究を2024年8月から実施している。CNS領域では、順天堂大学とパーキンソン病患者に対するA-FMT治療に関する特定臨床研究を2024年10月から開始しており、いずれも「探索的臨床研究」のフェーズにある。

FMT創薬事業(経口カプセル・医薬品開発)

創薬事業の主軸は、潰瘍性大腸炎を対象とした経口カプセル型FMT医薬品「MGT-006」である。2024年6月にAMEDの「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」に採択され、開発費用最大100億円の2/3の助成が決定したと公式サイトに記載されている。公式パイプライン情報では、第I/II相の国際共同治験(グローバルP1/2)を2026年に開始予定としている。

医薬品としてのFMTを実現するため、同社は日本で唯一となる経口投与製剤のためのGMP準拠製造設備を自社で保有し、便由来製剤の製造から薬事対応までを一貫して手がけている。将来的な量産化を見据え、英CC Bio社との共同プロジェクトとして「人工便」の研究開発にも着手しており、NEDOの国際共同研究開発支援にも採択されている。

腸内細菌バンク・献便サプライチェーン事業

FMT治療の安定供給を支えるのが、日本初の腸内細菌叢バンク「J-kinso bank」と、献便ドナーを募る「つるおか献便ルーム」である。2024年4月にJ-kinso bankが始動し、2024年12月には鶴岡市立荘内病院と提携してドナースクリーニング体制を構築するなど、ドナーの募集・検査・献便・製造・供給までを一貫して仕組み化している点が特徴だ。

この事業は、治療用途にとどまらず、健常人の腸内細菌ビッグデータを活用した基礎科学研究や、産学官民連携によるオープンイノベーション活動にも接続されている。タカラバイオとの品質管理体制構築(2025年4月)、FRONTEO社との共同研究(2025年6月)など、他企業との協業も積極的に進めている。

メタジェンセラピューティクスの強み

強み1. FMT領域における国内トップクラスの臨床実績

順天堂大学との共同研究を基盤に、潰瘍性大腸炎向けFMT治療が先進医療Bの承認を取得し、全症例登録を完了している点は、同領域における臨床開発力の高さを示す実績である。転職者にとっては、臨床開発・薬事・メディカルアフェアーズなどの専門性を、国内でも数少ないFMT臨床開発の最前線で磨けるという意味合いを持つ。

強み2. 医療サービス事業と創薬事業を両輪で持つビジネスモデル

先進医療という形で早期に患者に治療を届けながら、医薬品としての治験開発も並走させる「二階建て」の事業構造を持つ点は、他の創薬ベンチャーとは異なる特徴だ。転職者からすると、臨床現場に近い事業開発から、治験・CMCといった医薬品開発まで、異なるフェーズの業務に携わる機会が社内に存在することを意味する。

強み3. 研究・臨床・製造を垂直統合する自社インフラ

本社機能を持つ鶴岡、ビジネス拠点の東京、献便施設「つるおか献便ルーム」、GMP準拠のFMT治験薬製造センター(川崎)まで、原料調達から製剤製造までのバリューチェーンを自社で構築している。製造・品質管理・臨床開発といった専門職にとって、研究から実装までの一連のプロセスに関与できる環境は希少性が高い。

強み4. 複数の公的助成金・大型資金調達によるランウェイの確保

AMED「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」(MGT-006開発費最大100億円の2/3助成)やNEDOの国際共同研究開発支援など、公的資金を複数獲得していることに加え、シリーズA・シリーズBと段階的に民間資金調達を重ねている。2026年に入ってからもシリーズBエクステンションの複数回クローズを重ね、大学ファンドやGLIN Impact Capitalといった新規の出資者を加えながら累計調達額を積み上げている点は、既存株主だけでなく新たな投資家からも継続的に評価されていることを示す材料といえる。非上場ベンチャーにとって資金調達力は事業継続性の生命線であり、転職検討者が安心材料として確認すべきポイントの一つだ。

PR TIMESの発表によれば、2026年9月25日のクローズで出資したGLIN Impact Capitalはインパクト投資・ESG投資を専門とするファンドであり、大学ファンドからの出資と合わせて、リターンだけでなく社会的インパクトを重視する投資家層からも評価されている点がうかがえる。採用広報・IR・パートナーシップ関連の業務に関わる人材にとっては、こうした投資家層の広がりも押さえておきたい情報の一つだ。

強み5. アカデミアとの強固な連携体制

順天堂大学、国立がん研究センター中央病院、慶應義塾大学・東京科学大学(旧東京工業大学)などとの共同研究・共同研究講座を複数持つ。基礎研究から臨床応用までを結ぶパイプラインが社外のアカデミアとも太く結ばれているため、研究者出身の人材にとっては学術的なキャリアを継続しやすい環境といえる。

強み6. J-Startup選定やデザイン関連の受賞歴

J-Startupプログラムへの選定(2023年4月)に加え、Red dot award 2025、グッドデザイン賞2025、ACC賞2025(ブロンズ)など、事業・ブランディング両面での対外的な評価を受けている。採用広報やブランドの対外的な見え方に関心がある事業企画・マーケティング人材にとっても、取り組みやすい素材が多い企業といえる。

メタジェンセラピューティクスの年収事情

メタジェンセラピューティクス株式会社は非上場企業であり、有価証券報告書の開示義務がないため、平均年収・給与テーブルなどの具体的な数値は公式に開示されていない。以下の職種別レンジは、国内バイオベンチャー・製薬企業の中途採用市場における一般的な相場観から推計したものであり、同社が公表した数値ではない点に留意してほしい。

職種別の想定年収レンジ(推計)

職種想定年収レンジ(推計)
臨床開発(CRA・治験責任者クラス)600万円〜1,000万円程度と推計
研究職(マイクロバイオーム・基礎研究)500万円〜900万円程度と推計
CMC・製造・品質管理550万円〜900万円程度と推計
薬事・レギュラトリーアフェアーズ600万円〜950万円程度と推計
事業開発・事業企画550万円〜1,000万円程度と推計
コーポレート(財務・人事・法務)500万円〜850万円程度と推計
エグゼクティブ・部門責任者クラス1,000万円〜1,500万円程度と推計

給与制度の特徴

同社は募集職種を「研究開発部門」「事業統括部門」「コーポレート部門」の3部門に大別しており、職種に応じて裁量労働制・フレックスタイム制を採用していることが公式採用ページで明記されている。裁量労働制が適用される職種では、年俸制や一定のみなし労働時間を前提とした給与設計が取られている可能性が高いが、具体的な制度詳細(固定残業時間、ストックオプションの有無・条件など)は公式には開示されておらず、選考過程での確認が必要である。

年収を見る際の注意点

  • 同社は非上場かつ臨床開発段階のパイプラインが中心であるため、大手製薬会社と単純比較できる給与水準の開示はない
  • 上記の職種別レンジはあくまで市場相場からの推計であり、同社の実際のオファー水準とは異なる可能性がある
  • スタートアップであるため、ストックオプション等のインセンティブが年収の一部を構成する可能性があるが、詳細は非公開
  • 経験・専門性(臨床開発経験、GMP製造経験、アカデミアでの研究歴など)によってオファー水準の個人差が大きいと想定される
  • 最終的な年収条件は、選考プロセスの中でオファー面談等を通じて必ず本人が直接確認する必要がある
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メタジェンセラピューティクスの働き方・福利厚生

同社の働き方に関する情報は、公式採用ページ(careers)に比較的詳しく開示されている。

勤務時間・休日については、職種に応じて裁量労働制・フレックスタイム制が採用されており、「社員一人ひとりが自律的に働き、自分に合う時間帯で最大限のパフォーマンスを発揮できる」設計を掲げている。育児・介護・通院等との両立や、自己研鑽・余暇時間の確保が可能な制度設計であると説明されている。

リモートワークについては、「リモートとオフィスのハイブリッド」を採用しており、東京・鶴岡以外の全国各地でフルリモートワークを実践している社員もいると明記されている。拠点が鶴岡(山形)と東京(大手町)の二拠点に分かれていることもあり、職種によっては居住地を問わない採用が行われている可能性がある。

福利厚生・働く環境として公式サイトから確認できる項目は以下の通りである。

  1. 裁量労働制
  2. フレックスタイム制
  3. フルリモートワーク(職種・社員による)
  4. 東京・鶴岡の二拠点体制(出社地の柔軟性)
  5. 育児・介護・通院等との両立支援を前提とした制度設計
  6. 自己研鑽・余暇時間確保を前提とした働き方設計
  7. アカデミア(順天堂大学・国立がん研究センターなど)との共同研究への参加機会
  8. J-Startup選定企業としての支援・ネットワークへのアクセス
  9. 研究開発・事業統括・コーポレートの3部門にわたるキャリアパス
  10. スタートアップ特有の裁量の大きさ(「幅広い裁量をもって取り組むことができる」と明記)

一方で、具体的な休日数、住宅手当・家族手当等の諸手当、退職金制度、研修制度などの詳細な福利厚生メニューは公式サイトに開示されておらず、選考過程で個別に確認する必要がある。また、裁量労働制・フレックスタイム制が適用される職種の範囲や、みなし労働時間の設定についても、募集要項や選考プロセスの中で具体的に確認することが望ましい。

拠点が鶴岡(山形)・東京(大手町)・川崎(キングスカイフロント)の3カ所に分かれていることから、転居を伴う採用なのか、居住地を問わないリモート前提の採用なのかは職種ごとに異なると考えられる。具体的な出社頻度・転居支援の有無についても、選考過程で早めに確認しておきたいポイントである。

メタジェンセラピューティクスの社風・カルチャー

一言で表すなら「別解をつくる銀河集団」

同社のCEOメッセージやバリューを総合すると、「これまでの創薬業界の正解を疑い、ゼロから新しい治療法をつくる」という姿勢と、「スペシャリストの銀河集団としてゴールを目指す」というチーム観が、カルチャーの核になっていると読み取れる。FMTという既存の製薬業界では主流とは言えない治療モダリティに正面から取り組んでいること自体が、同社のカルチャーを象徴している。

5つのバリュー(Patient-centric/Impact Oriented/Scientific Integrity/Talent Collective/Being Likable)には、患者中心主義と科学的誠実さを両立させながら、個人を尊重し合うチームであろうとする姿勢が明確に示されている。特に「Being Likable(いい奴であること)」をバリューの一つに据えている点は、研究開発特化型のベンチャーとしては珍しく、対人関係の誠実さを重視するカルチャーの表れといえる。

評価される人物像

CEOメッセージでは「スタートアップならではの未完成な環境を楽しめる方」「常に自分をアップデートさせながら働ける方」「失敗を恐れず学び続ける充実した時間を過ごしたい方」といった人物像が明示されている。また「困っている誰かのための仕事に本気で取り組みたい方」という表現からも、患者起点で物事を考えられる人材が高く評価される組織文化であることが読み取れる。

表面的なイメージと実態の差

「腸内細菌」「献便」という事業領域の響きから、ニッチで小規模な研究プロジェクトのような印象を持たれやすいが、実態としては先進医療Bの承認取得、AMED・NEDOの大型助成金採択、累計71億円以上(2026年9月25日時点、PR TIMES発表)の資金調達、複数のアカデミア・医療機関との共同研究体制を伴う、相応の事業規模を持つバイオベンチャーである。一方で、CEО自身が「決して楽して稼げる場所ではない」と明言している通り、スタートアップらしい負荷の高さや、パイプラインが承認前段階にあることによる事業の不確実性は、実態として理解しておく必要がある。

累計調達額が2026年2月時点から半年余りで大きく積み上がっていることからも分かる通り、同社の資金調達は一度で完結するものではなく、ラウンドをいくつかのクローズに分けて段階的に積み上げていく手法が取られている。転職検討者が同社の「現在の資金調達状況」を確認する際は、公式サイトの記載だけでなくPR TIMESの最新リリースも併せて確認すると、より実態に近い情報が得られる。

メタジェンセラピューティクスの転職難易度

難易度:B級(専門性の高い中途人材を対象とした採用が中心で、未経験からの応募難易度は相応に高いと見られる)

公式の採用ページでは「研究開発部門」「事業統括部門」「コーポレート部門」という3部門での募集が明示されており、特に研究開発部門では臨床開発・製造・品質管理・CMC研究など専門性の高い職種が中心となっている。FMTという専門性の高いモダリティを扱う企業であるため、バイオ・製薬業界での実務経験や、アカデミアでの研究経験を持つ人材が優位になりやすいと考えられる。

一方で、事業統括部門・コーポレート部門については、必ずしもバイオ・製薬業界出身者に限定されない可能性があり、事業開発・システム開発・財務・人事・法務といった職種では、スタートアップでの立ち上げ経験や、他業界での専門性を評価される余地があると考えられる。採用人数の規模(従業員数は非公開)から、各部門での募集人数自体は限定的である可能性が高い。

理由1: 専門性の高い職種が中心

研究開発部門の募集職種は、臨床開発・製造・品質管理・CMC研究など専門性が高く、バイオ・製薬業界での実務経験が重視されやすい。

理由2: 非上場ベンチャーとしての組織規模

従業員数は非公開だが、本社(鶴岡)・東京事務所・製造センター(川崎)という拠点構成から、大企業のような大量採用ではなく、各ポジションでの厳選採用が行われていると推測される。

理由3: カルチャーフィットの重視

CEOメッセージやバリューの中で「Talent Collective」「Being Likable」といった、チームでの協働姿勢・人間性を重視する価値観が明示されており、スキル面だけでなくカルチャーフィットが選考上重視される可能性が高い。

理由4: 資金調達フェーズに応じた採用計画

シリーズBエクステンションのクローズを段階的に重ねているフェーズであり、調達した資金をもとに研究開発・治験・製造体制を強化していく計画とみられる。資金調達のタイミングと採用計画が連動している可能性が高く、募集職種・採用人数は時期によって変動しうる。

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メタジェンセラピューティクスに向いている人

1. バイオ・製薬業界での専門性を活かしたい人

臨床開発、CMC、薬事、品質管理などの専門性を持ち、既存の製薬業界とは異なる治療モダリティ(FMT)に挑戦したい人材には適した環境である。

2. アカデミアからの転身を考える研究者

順天堂大学や国立がん研究センターなど、アカデミアとの共同研究体制が充実しているため、研究者としてのバックグラウンドを生かしながら、社会実装に近い立場で研究を継続したい人材に向いている。

3. スタートアップでの事業立ち上げに関心がある人

「つるおか献便ルーム」の運営や、腸内細菌バンクの事業化など、前例の少ない事業を仕組み化するフェーズに携わりたい事業開発・事業企画人材に向いている。

4. 地方拠点・フルリモートでも裁量を持って働きたい人

本社が山形県鶴岡市にあり、全国各地でのフルリモートワーク実践者もいることから、居住地にとらわれず裁量を持って働きたい人材にもフィットしうる。

5. 患者起点で物事を考えられる人

CEOメッセージやバリューで繰り返し強調されている「患者さんに届けること」への妥協のなさに共感できる人材は、カルチャーフィットの面で評価されやすいと考えられる。

メタジェンセラピューティクスに向いていない人

以下はあくまで企業とのミスマッチを防止するための客観的な情報であり、同社への批判を意図したものではない。転職検討者が自身の志向と照らし合わせて判断するための材料として提示する。

  • タイプ:安定した大手企業的な環境を求める人 — 非上場かつパイプラインが開発・治験段階中心のベンチャーであり、大手製薬会社のような事業基盤の安定性を前提とした働き方とは異なる
  • タイプ:決まった業務範囲だけをこなしたい人 — CEOメッセージで「未完成な環境を楽しめる方」が求められており、業務範囲が固定化されていない可能性が高い
  • タイプ:短期間での高待遇・高安定を重視する人 — 公式に平均年収や待遇の具体的な開示がなく、事業成長フェーズに応じて条件が変化しうるスタートアップ特有のリスクを踏まえる必要がある
  • タイプ:対人関係よりも成果のみを重視したい人 — 「Being Likable」というバリューが示す通り、チーム内の人間関係や誠実なコミュニケーションを重視する文化があるため、個人主義的な働き方を好む人にはフィットしにくい可能性がある
  • タイプ:FMT・マイクロバイオーム領域に関心がない人 — 事業領域が腸内細菌叢移植という特定の治療モダリティに特化しているため、幅広い製薬事業への関与を期待する人には事業範囲が狭く感じられる可能性がある

メタジェンセラピューティクスの選考対策

1. FMT・マイクロバイオーム領域への理解を深める

公式サイトの「Capabilities」「Pipeline」ページには、FMTの医療技術としての側面と医薬品としての側面、腸内細菌バンクの仕組みなどが詳しく説明されている。選考に進む前に、同社が解決しようとしている課題(FMTの安全性確保、品質管理、安定供給、作用機序の解明など)を公式情報から理解しておくことが望ましい。

2. 自身の専門性と募集部門の接続を明確にする

研究開発部門(臨床開発・製造・品質管理・CMC研究)、事業統括部門(事業開発・システム開発)、コーポレート部門(財務・人事・法務・総務・Corporate IT)のいずれに自身の経験が合致するかを整理し、志望動機の中で具体的に結びつけることが重要である。

3. パーパス・バリューへの共感を言語化する

「マイクロバイオームサイエンスで、患者さんの願いを叶え続ける」というパーパスと、5つのバリュー(Patient-centric、Impact Oriented、Scientific Integrity、Talent Collective、Being Likable)に対し、自身の経験やエピソードを交えて共感できる点を具体的に説明できるよう準備しておくとよい。

4. アカデミアとの連携実績を志望動機に組み込む

順天堂大学、国立がん研究センター中央病院、慶應義塾大学、東京科学大学(旧東京工業大学)など、同社が連携してきたアカデミアの実績を理解した上で、自身がどのように貢献できるかを語れるようにしておくことが望ましい。

5. 資金調達・事業フェーズへの理解を示す

シリーズBラウンドまで資金調達を重ねている事業フェーズであることを理解し、今後の事業成長やIPO・M&Aなどの可能性を含めたキャリア観を持っておくことは、面接での議論を深める材料になりうる。

6. 地方拠点・リモート体制への対応力を伝える

鶴岡(研究・製造)と東京(事業)の二拠点体制、フルリモート勤務者の存在を踏まえ、出社頻度や拠点に関する自身の希望・対応可能性を早い段階で明確に伝えておくと、選考後のミスマッチを防ぎやすい。

メタジェンセラピューティクスへの転職で評価されやすい経験

  • 製薬会社・CRO等での臨床開発(CRA、治験責任者、プロジェクトマネジメント等)の実務経験
  • GMP準拠の製造施設での品質管理・CMC(製造・品質管理)経験
  • 薬事・レギュラトリーアフェアーズとしての承認申請・行政対応の経験
  • 微生物学・バイオインフォマティクス分野でのアカデミア研究歴(博士号・査読論文等)
  • 腸内細菌叢・マイクロバイオーム関連の研究・学会発表経験
  • アカデミアと企業をつなぐ産学連携プロジェクトのマネジメント経験
  • スタートアップでの事業開発・新規事業立ち上げ経験
  • ヘルスケア・医療分野におけるシステム開発・DX推進の経験
  • VC・CVCからの資金調達対応、投資家対応(IR)の経験
  • コーポレート部門(財務・会計、人事・労務、法務・知財)でのスタートアップ経験
  • 複数ステークホルダー(医療機関、行政、投資家等)との折衝・調整経験
  • 臨床研究・治験に関する倫理審査対応や規制対応の経験
  • 地方拠点とのハイブリッド勤務・リモートマネジメントの経験
  • ブランディング・採用広報など、対外的な発信を伴う業務経験
  • 不確実性の高い環境でのゼロから一への事業構築経験

特に評価されやすいのは、臨床開発・薬事・CMCといった製薬業界での専門実務経験と、アカデミアでの腸内細菌叢・マイクロバイオーム研究の両方、またはいずれかを軸に、不確実性の高いスタートアップ環境でも患者起点で事業を前に進められる人材である。

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まとめ

メタジェンセラピューティクス株式会社は、腸内細菌叢移植(FMT)という独自性の高い治療モダリティを軸に、医療サービス事業と創薬事業を両輪で展開する、山形県鶴岡発のバイオベンチャーである。先進医療Bの承認取得、AMED・NEDOの大型助成金採択、累計71億円以上(2026年9月25日時点)の資金調達など、非上場ベンチャーとしては相応の事業規模と実績を積み上げてきた企業であり、FMT領域における国内トップクラスの臨床開発力を持つ。

非上場バイオベンチャーは資金調達状況が事業継続性を左右するため、選考を検討する際は本記事の情報だけで判断せず、応募時点でのPR TIMES・公式サイトの最新情報を自身でも確認することを推奨する。

一方で、従業員数・売上高・平均年収といった基礎的な数値情報の多くは非公開であり、転職検討者は選考プロセスの中で条件面を丁寧に確認していく必要がある。また、非上場かつパイプラインの多くが開発・治験段階にあることから、大手製薬会社とは異なる事業リスクと向き合う覚悟も求められる。

専門性の高い研究開発人材にとっては、国内でも数少ないFMT臨床開発の最前線に身を置ける希少な環境であり、事業開発・コーポレート人材にとっても、前例のない事業を仕組み化するフェーズに携われる点が魅力となりうる。腸内細菌という古くからある生命を、科学とテクノロジーの力で新しい医療に変えていくという同社のビジョンに共感できるかどうかが、転職検討における最初の、そして最も重要な判断軸になるだろう。

キャリアを検討する際は、本記事で紹介した一次情報を出発点としつつ、実際の選考プロセスの中で、待遇・働き方・事業フェーズについて自身の目で確認し、納得感を持った意思決定をしてほしい。