ダイドーリミテッドは、明治時代から続く繊維業の伝統と、現代のアパレルブランド経営を両立させてきた稀有な企業のひとつである。繊維商社としての原点を持ちながら、「ニューヨーカー」という独自ブランドを育て上げ、素材・製造・小売を自社グループで完結させるビジネスモデルへと進化した。
2026年3月期の連結売上高は325億200万円と前期比13.61%増を達成し、収益体質の改善が進んでいる。不動産事業では小田原の商業施設「ダイナシティ」の安定した賃料収入が経営を下支えしており、アパレル業界特有の季節変動や需要変動に対するバッファーとなっている。
転職者にとって同社の魅力は、歴史ある企業でありながら経営改革が進んでいる過渡期に参加できる点にある。コンパクトな組織ゆえに意思決定が速く、入社後に任される仕事の守備範囲が広い。繊維・テキスタイルの専門知識、ブランドマーケティング、不動産管理など、複数の領域を横断してキャリアを積みたい人材にとって、ユニークな選択肢となりうる企業である。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ダイドーリミテッド |
| 設立 | 1949年(創業1879年) |
| 代表取締役 | 小西基夫 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区外神田3-1-16 |
| 資本金 | 68億9,100万円 |
| 従業員数 | 単体43名(連結グループ全体は非公開) |
| 上場区分 | スタンダード市場(証券コード3205) |
| 売上高 | 325億200万円(2026年3月期・連結) |
| 平均年収 | 646万7,000円程度(有価証券報告書ベース) |
| 平均年齢 | 非公開 |
| 平均勤続年数 | 非公開 |
| 事業内容 | 繊維製品の企画・製造・販売、不動産賃貸事業 |
ダイドーリミテッドは1879年(明治12年)に創業した繊維業の老舗企業を源流に持つ。戦後の1949年に現在の株式会社として法人化し、繊維商社・アパレルブランド運営・不動産事業という複合事業体として発展してきた。連結での単体従業員数は43名と非常にコンパクトな本体規模だが、傘下のダイドーフォワード(ニューヨーカーブランド運営)を含むグループ全体では相当数の社員が在籍している。
本社は東京・秋葉原に隣接する外神田に位置し、繊維・アパレルのビジネスが集積するエリアにある。資本金68億9,100万円という財務基盤は、同規模の上場企業の中では比較的厚みがあり、長期安定経営を支えている。2026年3月期連結経常利益は前期から大幅改善を達成しており、2027年3月期には7.4倍増の13億1,000万円を見込む成長軌道に乗っている。
株式会社ダイドーリミテッドを取り巻く業界環境と今後の展望
ダイドーリミテッドが属する繊維・アパレル業界は、インターネット通販の普及による百貨店チャネルの縮小・人口減少に伴う国内アパレル市場の縮小・中国製品との価格競争・サステナビリティへの社会的要請など、多くの構造変化と向き合っている。この環境変化の中で、「品質本位」を軸に据えるダイドーリミテッドグループが採る戦略は、安易な価格競争に乗るのではなく、高付加価値商品と顧客との長期関係に特化した差別化路線だ。
2026年3月期の連結売上高が325億円超(前期比13.61%増)と回復基調にある背景には、ニューヨーカーブランドの定番商品の根強い需要と、ダイナシティ新館オープンによる不動産収益増加がある。2027年3月期の連結経常利益7.4倍の見通しは、コスト構造改善と不動産収益の積み上がりが効いているとみられる。
転職者の視点から見ると、同社がこの過渡期においてどのようなDX施策やEC強化を打ち出していくかが、入社後の業務の変化スピードを左右する。繊維・アパレル業界全体がオムニチャネル化・EC本格活用・サステナブルファッションへのシフトを進める中、ダイドーリミテッドグループの取り組み方向性を事前に把握したうえで選考に臨むことが、入社後のキャリア設計の精度を高める。
主な事業内容
ダイドーリミテッドの事業は大きく「衣料事業」と「不動産事業」の2本柱で構成されている。明治期から続く繊維商社の伝統を継承しながら、現代では消費者向けブランド事業へと事業の重心を移してきた歴史がある。
グループ会社のダイドーフォワードが担うブランド事業と、持株会社的な役割を担うダイドーリミテッド本体の投資・管理機能が組み合わさることで、事業の多角化と安定性の両立を実現している。以下に主要事業を詳説する。
ブランドアパレル事業(ニューヨーカー)
グループの最大の稼ぎ頭である。ダイドーフォワードが運営する「ニューヨーカー(NEWYORKER)」は、2024年に創立60周年を迎えた老舗国内ブランドで、「Timeless Wardrobe ― 人生を共にする一着を。」をブランドメッセージに掲げる。トラディショナルスタイルをベースに品質本位の商品開発を行い、百貨店・駅ビルを中心に全国展開している。婦人向けパーソナルオーダーサービス「アトラエル」も展開しており、顧客との長期関係構築に注力している。
繊維素材・OEM事業
素材商社としての原点を活かし、国内外の事業者向けに繊維素材の調達・供給を行う事業。ブランドアパレル事業を自社グループ内で完結させるうえで欠かせない川上機能を担っている。また外部のアパレル企業向けにOEM供給も手がけており、B2B収益源としての役割も担う。手編み糸・手芸用品ブランド「パピー」の企画・販売も同事業に含まれる。
不動産事業(ダイナシティ)
神奈川県小田原市に展開するショッピングモール「ダイナシティ」の賃料収入を主体とする不動産事業。2024年4月に新館「ウエスト アネックス」がオープンし、賃料収入の増加と来館客数増加の効果が全体に波及している。アパレル事業の業績変動に左右されにくい安定収益として機能しており、グループ全体のキャッシュフロー安定化に貢献している。
株式会社ダイドーリミテッドの強み
強み1. 140年超の老舗繊維商社としての産地・素材ネットワーク
1879年(明治12年)の創業以来、繊維商社として築き上げてきた産地・工場・素材メーカーとのネットワークは、簡単に模倣できない参入障壁である。国内外の繊維産地との長年にわたる取引関係は、品質の安定した素材調達と独自素材の開発を可能にしている。転職者にとっては、テキスタイルや素材分野のディープな知識とネットワークが社内に蓄積されており、繊維業界でのキャリアを本格的に深められる環境という強みがある。
強み2. 「ニューヨーカー」ブランドの60年超の顧客資産
1964年誕生のニューヨーカーは、日本のトラディショナルアパレルの代表格として高い認知度を持つ。百貨店チャネルを主力とするターゲット顧客層(30〜60代の品質にこだわる消費者)への継続的なブランド浸透は、即席には構築できないブランド資産である。長期にわたって「質」を訴求してきたブランドの一員として働けることは、マーケティングやブランドマネジメントに関わるキャリアを持つ人材にとって大きな魅力となる。
強み3. 素材から小売まで一貫したSPA型バリューチェーン
ダイドーリミテッドグループは、繊維素材の調達・OEM製造から自社ブランドの企画・小売販売まで、バリューチェーンを内製化したSPA(製造小売)型のビジネスモデルを採る。これによって外部業者依存を最小化しながら品質管理を徹底でき、利益率の確保と差別化された商品開発が可能となっている。転職者にとっては、川上から川下まで全体像を把握しながら業務に携われる学習環境が整っている点が魅力だ。
強み4. 不動産事業による安定キャッシュフロー
アパレル業界は季節変動や消費トレンドの影響を強く受けるビジネスだが、ダイドーリミテッドはダイナシティからの安定した不動産賃料収入を持つことで、この変動リスクを吸収する構造になっている。2026年3月期の業績改善の一因としても不動産収益の貢献が挙げられており、財務的な安定性が雇用の安定につながっている。長期雇用を前提に腰を据えて働きたい転職者にとって、財務基盤の堅固さは重要な判断軸のひとつとなる。
強み5. コンパクト組織ゆえの幅広い業務経験と経営への近さ
単体従業員43名というコンパクトな組織は、一見すると小さな会社のように映るが、見方を変えれば一人ひとりが広い業務範囲を担い、経営者に近い視点で仕事ができる環境でもある。大企業では細分化されがちな商品企画・マーケティング・バイイング・サプライヤー管理・販促などの業務を、少数精鋭でカバーすることで個人としての市場価値を高めるスピードが速い。キャリアの幅を広げたい30〜40代の転職者にとって、この環境は大きなメリットとなりうる。
強み6. 1879年から続く「品質本位・お客様第一」の経営哲学
ダイドーリミテッドの経営理念の根幹は、創業以来変わらない「品質本位」「お客様第一」である。この哲学は単なるスローガンではなく、ニューヨーカーブランドが60年にわたって百貨店チャネルで支持され続けてきた実績として体現されている。品質への強いこだわりを持ちながら仕事をしたいと考える転職者にとって、企業文化として「質」が息づいているこの環境は、働く価値観とのフィットを生みやすい。
株式会社ダイドーリミテッドの年収事情
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 営業・バイヤー(若手) | 400〜500万円程度 |
| 商品企画・マーチャンダイザー | 450〜600万円程度 |
| マーケティング担当 | 480〜620万円程度 |
| 経営企画・管理部門 | 500〜700万円程度 |
| ブランドマネージャークラス | 600〜800万円程度 |
| 部長・マネージャークラス | 700〜900万円程度 |
※上記は有価証券報告書の開示データ・業界相場・類似企業比較を基にした推計値。実際の年収は職種・経験・等級により大きく異なる。
給与制度の特徴
有価証券報告書に開示されている平均年収は646万7,000円程度(単体ベース)であり、繊維・アパレル業界の上場企業平均と比較すると中水準からやや上の位置に属する。老舗企業の経営哲学を反映した年功序列的な給与体系の側面がある一方、近年の経営改革の中で能力・成果を反映する仕組みへの移行が進んでいるとみられる。
賞与は業績連動型の要素を含み、2026年3月期以降の収益改善が進めば賞与水準の改善も期待できる。単体従業員数が43名と少ないため、幹部クラスに到達できる可能性が相対的に高い点も、長期的な年収上昇の観点では評価ポイントとなる。
年収を見る際の注意点
- 有価証券報告書の平均年収は単体(ダイドーリミテッド本体)の数値であり、グループ会社(ダイドーフォワード等)での勤務の場合は別の給与体系が適用される可能性がある
- 単体43名という少人数ゆえに、平均値の統計的なブレが大きい場合がある。個人の処遇は個別交渉が重要
- 転職エージェント経由で応募する場合は、詳細な給与レンジを事前に確認することを推奨する
- 不動産事業の収益増加が続けば、グループ全体の給与水準の改善につながる可能性がある
- 上場企業であるため有価証券報告書の開示データから基本情報は確認できるが、詳細な職種別レンジは非公開であり、選考プロセスでの確認が必須
株式会社ダイドーリミテッドの働き方・福利厚生
勤務時間・休日 本社勤務は基本的に週5日勤務(土日祝休み)の体系。アパレル業界の慣習上、展示会・シーズン商品の納品時期など繁忙期は残業が発生するケースがある。年間休日は125日前後が一般的な上場企業水準。
リモートワーク コンパクトな組織のため、リモートワークの導入状況は職種によって異なる。管理部門を中心にフレキシブルな働き方が進んでいるとみられるが、バイヤー・商品企画職など展示会・産地出張が多い職種は出社ベースの業務が中心。
主な福利厚生
- 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 退職金制度(就業規則に基づく)
- 社員向け自社製品購入割引(ニューヨーカー等グループブランド)
- 慶弔見舞金制度
- 定期健康診断・産業医面談
- 育児・介護休業制度
- 有給休暇取得推進
- 通勤交通費全額支給(上限規定あり)
- 研修・資格取得支援(業界団体・テキスタイル関連・アパレル検定等)
- 社員食堂または食事補助(本社施設による)
- 社員持株会制度(上場企業として整備)
- 出張手当・宿泊費支給(産地出張・展示会等)
注意点 本社従業員数が43名と少人数のため、産育休復帰後の職場環境や柔軟な働き方については、個々の状況に応じた対応となりやすい。入社前の面接や内定後の確認段階で、具体的な運用状況を確認しておくことを強く推奨する。また、アパレル業界の特性上、春夏・秋冬シーズンの商品切り替えに合わせた業務の繁閑が生じやすい。展示会シーズン(2〜3月・8〜9月)は特に業務集中度が上がる傾向があり、スケジュール管理が求められる。
株式会社ダイドーリミテッドのグループ体制と子会社
ダイドーリミテッドはホールディングス的な役割を担う本体と、傘下のグループ会社で構成される。転職においては本体への応募と子会社への応募では業務内容が大きく異なるため、応募先のエンティティを正確に把握することが重要だ。
主なグループ会社の概要は以下の通りである。まず株式会社ダイドーフォワードはニューヨーカーブランドの製造・販売を担うグループの事業主体であり、ブランドマーケティング・商品企画・店舗運営に関わるポジションが集中している。次にダイドーリミテッド本体は、グループ戦略・財務・IR・不動産管理などの機能を担い、ビジネスの管理・企画機能を集約している。転職者がどちらのエンティティに応募するかによって、日々の業務内容・キャリアの方向性・職場の雰囲気が大きく変わるため、選考前の確認が不可欠だ。
株式会社ダイドーリミテッドの社風・カルチャー
一言で表すなら「伝統と質へのこだわりが染み込んだ少数精鋭集団」
140年超の歴史から醸成された「品質本位」「お客様第一」の精神は、社員一人ひとりの仕事観にまで浸透している。大企業のように仕組みや規程で動くというよりも、個人の判断力と責任感で業務を進めることが求められるカルチャーだ。自律的に動ける人材には大きな裁量が与えられる一方、手取り足取りの研修体制を期待すると乖離を感じる場合もある。
評価される人物像
同社で評価される人物は、一言で言えば「品質へのこだわりと顧客視点を持った自律的な行動者」だ。大企業では当たり前のように整備されているマニュアルや部門分業が薄い分、自分でゴールを設定し、必要な情報を集め、周囲を巻き込んで実行できる人材が重宝される。繊維・アパレルへの深い愛着と知識を持ちながら、数字(売上・在庫・利益率)も意識できる複眼的思考の持ち主は高く評価される傾向がある。
表面的なイメージと実態の差
「老舗企業」というイメージから、体制的に保守的でスローな職場を想像する転職者も多い。しかし実態は、小さな組織の中で多くの案件が少人数でこなされる「少数精鋭の実行型」に近い。意思決定はトップに近いほど速いが、組織の慣習・取引先関係など変えにくい側面も残る。変化を楽しみながらも、伝統を尊重するバランス感覚を持てる人が活躍する。
株式会社ダイドーリミテッドの転職難易度
難易度:4級(やや高い)
毎年の採用枠が非常に限られており、各ポジションに求められるスペックも高い。ただし大手アパレルに比べて知名度が低い分、倍率という意味では極端な競争率ではないとみられる。問題は「適合する人材の絶対数が少ない」点にある。
理由1:採用枠が希少
単体従業員43名という規模を考えると、毎年の新規採用は1〜数名に留まることが多いと推察される。どれほど高いスキルを持っていても、タイミングが合わなければ書類選考に到達することさえ難しい。
理由2:繊維・アパレルの専門性が重視される
コンパクト組織ゆえに即戦力性が強く求められる。繊維商社・アパレルメーカー・百貨店バイヤーなどの業界経験を持つ人材が優遇される傾向があり、全くの業界未経験から管理部門以外のポジションへの転職は難易度が高い。
理由3:求人が表に出にくい
規模の小さい企業は、公開求人サイトよりもリファラル(社員紹介)・人材紹介エージェント経由での採用が多い傾向がある。「公開求人がない=募集していない」ではなく、エージェントへの相談や企業への直接問い合わせが重要な入口になる。
株式会社ダイドーリミテッドの主な募集職種
ダイドーリミテッドが採用する職種は、少数精鋭のコア人材に限定される傾向が強い。以下の職種が主な対象となる。
- 商品企画・マーチャンダイザー:ニューヨーカーブランドの商品構成・企画立案
- 繊維バイヤー・テキスタイルソーシング:国内外産地からの素材調達
- 日用品・アパレル・インテリア法人営業:法人向けOEM・素材供給営業
- 営業企画:グループ販売戦略・展開計画の立案
- 経営企画:グループ全体の中期計画・事業管理
- 財務会計:連結決算・資金管理・IR対応
- 総務:コンプライアンス・法務・庶務等の管理部門
- 不動産管理担当:ダイナシティを含む自社物件の賃貸・施設管理
株式会社ダイドーリミテッドに向いている人
タイプ1:繊維・アパレルに本気でキャリアを積みたい人
ファッション・繊維業界でのキャリアを長期的に深めたいと考える人にとって、素材から小売まで一貫したグループ構造の中で働ける環境は希少だ。商社・メーカー・ブランド運営の3面を一社で学べる機会は多くない。
タイプ2:「大企業の歯車」から「少数精鋭の核」にシフトしたい人
大企業で限られた役割しか担えないことに物足りなさを感じ、自分の仕事が直接成果に直結する環境を求めている30〜40代の転職者に向いている。小さな組織だからこそ一人ひとりの影響力が大きい。
タイプ3:「品質」を事業の軸に置く価値観を持つ人
安さや話題性よりも「本物の品質」「長く愛用できる価値」をビジネスの核心と信じる人は、ダイドーリミテッドの企業哲学と共鳴しやすい。ブランド運営や素材開発の現場での仕事は、そのような価値観をダイレクトに体現できる機会を提供してくれる。
タイプ4:不動産×アパレルの複合経営に関わりたい人
繊維・アパレル事業と不動産賃貸事業の両方が組み合わさったユニークな経営モデルに興味がある人は、経営企画・財務部門などで複合的な視点を持ちながら働けるポジションが魅力的に映るだろう。
タイプ5:老舗企業の変革フェーズに参画したい人
140年超の歴史を持つ企業が、収益構造の転換と経営改革の局面にある今、その変革の担い手として参画したいという意欲を持つ人は、スモールチームの中で大きなインパクトを出せる可能性がある。
株式会社ダイドーリミテッドに向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のために、以下のようなタイプはミスマッチが起きやすい傾向がある。
- タイプ:大企業的な整備された環境を求める人:手厚い研修制度・細分化された役割分担・大組織ならではのリソースを求める人には、43名のコンパクト体制は窮屈に感じる場合がある
- タイプ:短期でのキャリアアップ・年収大幅アップを狙う人:少人数組織では昇格ポストの数が限られており、年収の急激な上昇を短期間で求める場合は期待値と乖離が生じやすい
- タイプ:繊維・アパレル業界に関心のない人:業界特有のサイクル・商慣習・職人的品質観に馴染めない人は、業務の根底にある価値観との乖離を感じやすい
- タイプ:知名度やブランド力を重視して就職先を選ぶ人:「ニューヨーカー」ブランドは業界内では著名だが、一般的な知名度は限定的。会社名で箔をつけたい人には向かない
- タイプ:テレワーク中心の働き方を強く希望する人:バイヤー・商品企画など産地や展示会との往来が多い業務では、出社・出張が業務の基本となることが多い
株式会社ダイドーリミテッドの選考対策
1. 繊維・テキスタイルへの専門知識と熱量を示す
選考において最も重視されるのは、繊維・アパレル業界への深い理解と情熱だ。素材の種類・産地・製法についての基本知識はもちろん、なぜこの業界でキャリアを積みたいのかという動機の明確さが問われる。「ニューヨーカー」ブランドの商品を実際に手に取り、品質感・デザイン哲学を理解したうえで面接に臨むことが最低限必要だ。
2. 「品質本位」の企業理念との共鳴を具体的に語る
ダイドーリミテッドの経営理念「品質本位・お客様第一」は、創業140年超の企業哲学の結晶だ。これを単に「素晴らしいと思います」と表面的に述べるだけでは不十分で、自身の過去の経験の中で「品質へのこだわり」を体現した具体的なエピソードを準備したうえで臨むべきだ。品質トラブルへの対処・高品質サプライヤーとの取引構築・顧客クレームへの向き合い方などの体験談が刺さりやすい。
3. 少数精鋭環境での自律的な業務遂行力を証明する
43名というコンパクト体制の企業が求める最大の資質は「自走力」だ。指示待ちにならず自分でゴールを設定し、必要なリソースを集め、行動できる人材であることを示すために、過去の業務における「自分主導で課題を設定・解決したエピソード」を複数用意しておこう。
4. グループ会社との関係を把握したうえで志望を絞る
「ダイドーリミテッド(持株会社的本体)」と「ダイドーフォワード(ニューヨーカー運営子会社)」では、担う業務内容や職場の規模感が異なる。どちらを志望するかによって選考の軸が変わるため、応募ポジションがどのエンティティに属するかを事前に確認し、それぞれに適したアピールポイントを整理しておくことが重要だ。
5. 長期的な視野でのキャリアプランを語る
採用枠が限られる同社が採用する人材は、長期にわたって活躍してくれることが期待される。「3年後・5年後・10年後にどうなりたいか」を繊維・アパレル業界の文脈で明確に語れると評価が上がる。短期の転職繰り返し志向ではなく、同社への長期コミットメントを示すことが有利に働く。
6. 不動産事業・グループ経営の理解をプラスアルファにする
競合候補との差別化要素として、ダイドーリミテッドの複合経営(アパレル×不動産)の構造を理解していることをアピールするのも効果的だ。「なぜアパレル単体ではなく不動産を組み合わせた経営モデルが機能するのか」「ダイナシティの役割は何か」などへの理解を示せると、経営視点を持った人材として評価される。
株式会社ダイドーリミテッドへの転職で評価されやすい経験
- 繊維商社・テキスタイルメーカーでの素材調達・バイイング経験
- アパレルブランドでの商品企画・マーチャンダイジング経験
- 百貨店チャネルへの納品・取引経験(VMD・バイヤー経験含む)
- OEM・ODM製造に関わるサプライヤー管理・品質管理経験
- トラディショナルブランドのマーケティング・プロモーション経験
- 国内外テキスタイル産地(西陣・丹後・尾州など)との取引実績
- アパレル小売における店舗MD・エリアマネジメント経験
- 不動産賃貸・施設管理・テナント誘致関連の業務経験(管理部門向け)
- 上場企業での経理・財務・IR対応経験
- 繊維系商社における法人向け素材・製品営業経験
- 品質管理・縫製仕様書作成など製造管理に関わる実務経験
- 中国・東南アジア工場との折衝・品質検査の実務経験
特に評価されやすいのは、繊維・テキスタイルの商品知識と顧客折衝経験を併せ持ち、少数精鋭環境で自律的に成果を出してきたキャリアパターンである。
まとめ
ダイドーリミテッドは、1879年創業という長い歴史を持ちながら、現在も事業改革・収益改善を進めている動的な局面にある企業だ。主力の「ニューヨーカー」ブランドを中心としたアパレル事業と、「ダイナシティ」を核とした不動産事業が組み合わさった複合経営モデルは、業界の変化に対する耐久性を持っている。
転職者にとっては、少数精鋭の環境でキャリアの幅を広げたい人、繊維・アパレルの本質的な知識と経験を深めたい人、品質へのこだわりを仕事の軸にしたい人に向いている企業だ。採用枠の少なさから難易度は高めだが、タイミングとスキルが合致すれば、大企業では味わえないやりがいのある職場環境を手にできる可能性がある。
2026年3月期以降の業績改善トレンドが継続されれば、職場環境や処遇の面でのポジティブな変化も期待できる。長期的なキャリア形成の観点から、応募前に転職エージェントを活用して最新の採用状況・社内環境を確認したうえで意思決定することを強くお勧めしたい。
老舗の「品質」と変革への「意志」が共存するダイドーリミテッドは、繊維・アパレル業界でのキャリアを本格的に追求しようとする転職者にとって、検討する価値のある選択肢のひとつである。
繊維・アパレル業界は国内消費の変化・EC化・インバウンド需要の変動など、構造的な変化の波にさらされ続けている。その中でダイドーリミテッドは、ニューヨーカーブランドの「品質本位」という価値軸を変えずに経営改革を進めてきた。この一貫した姿勢こそが、同社を単なる「規模の小さいアパレル企業」ではなく「ブランドと哲学を持った企業」として際立たせている点であり、転職者にとっての入社意義にもつながっている。
また、同社グループの成長戦略において、ダイドーフォワードが担うニューヨーカーのブランド強化・EC拡大・パーソナルオーダー拡充といった施策は、中長期的な事業成長の礎となっている。これらのプロジェクトに携わることで、転職者はアパレルブランドのデジタル化・チャネル多様化という業界横断的なトレンドに対応したスキルを習得できる機会にも恵まれる。
転職を検討する際には、公式採用ページおよび転職エージェントを通じた最新の採用状況の確認に加えて、グループ会社(ダイドーフォワード等)への応募の可能性も視野に入れることで、選択肢の幅が広がるだろう。じっくりと腰を据えてキャリアを積む意欲と、繊維・ファッション業界への本物の情熱を持つ転職者に、ダイドーリミテッドグループは応えてくれる職場環境を持っている。
