東海運とは

東海運株式会社(英語名:AZUMA SHIPPING CO., LTD.)は、大正6年(1917年)に創業した東証スタンダード上場の総合物流企業です。読み方は「あづまかいうん」で、「東海運輸」や「東海旅客鉄道(JR東海)」「東海汽船」「東幸海運」とは別の企業ですので注意が必要です。

創業100年以上の長い歴史の中で培った港湾物流のノウハウを核とし、現在では倉庫・通関・陸運・国際複合輸送・不動産・環境物流まで幅広く展開するグループ企業です。グループ会社13社・関連会社4社を擁し、連結売上高は400億円超の規模を誇ります。

公式サイトはhttps://www.azumaship.co.jp/ です。転職情報を調べる際は「東海運」という社名の類似企業と混同しないよう、証券コード9380の東海運株式会社であることを確認してから応募してください。かつて太平洋セメントの子会社でしたが、現在は独立した事業体として運営されています。


企業概要

項目内容
正式社名東海運株式会社
英語社名AZUMA SHIPPING CO., LTD.
読みあづまかいうん
設立1917年(大正6年)12月
本社所在地東京都中央区
資本金22億9,498万円
従業員数(単体)578名(2025年3月現在)
従業員数(連結)762名(2025年3月現在)
上場市場東証スタンダード市場(証券コード:9380)
決算期3月期
営業収益(2026年3月期)約401億4,800万円
営業利益(2026年3月期)約8億6,800万円
グループ企業グループ会社13社・関連会社4社
公式サイトhttps://www.azumaship.co.jp/

主な事業内容

物流事業(主力セグメント)

東海運の売上の大部分を占める主力事業です。港湾運送(港湾荷役・コンテナ貨物の積降作業)、倉庫業(港湾倉庫・内陸倉庫の管理・保管)、通関業務(輸出入の通関手続き)、国内陸運(トラック輸送・配送)、3PLサービス(サードパーティー・ロジスティクス)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)支援などを展開しています。

海運事業

国内海上輸送サービスの提供および船舶管理を行うセグメントです。グループ会社のイースタンマリンシステムが船員の配乗・船舶管理を担っています。

不動産事業

港湾倉庫・工場などの不動産賃貸事業です。物流拠点としての倉庫・工場を顧客企業に賃貸し、安定的なストック収益を生み出しています。

その他事業

植物工場の運営や、静脈物流(廃棄物・リサイクル関連の物流)への取り組みが含まれます。ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応として注力しており、サーキュラーエコノミーへの貢献を目指しています。

国際複合輸送

中国・ロシア・モンゴルを対象とした国際複合輸送サービスは同社独自の強みです。海上・鉄道・陸路を組み合わせた複合輸送ルートを持ち、大陸方面への輸出入に強い専門性を発揮しています。


東海運の強み

1. 港湾から内陸まで一貫した物流サービス体制

コンテナターミナル運営・港湾荷役から始まり、倉庫管理・通関手続き・国内陸上輸送まで、自社グループ内で物流の全工程をワンストップで提供できる体制は、同規模の物流会社の中で差別化された強みです。顧客企業は複数の物流会社を使い分ける手間なく、東海運グループ一社に物流を委託できます。

2. 1917年創業・100年超の業歴による信頼と実績

大正時代から続く100年以上の歴史は、荷主企業との長期的な信頼関係に直結しています。老舗ならではの顧客基盤と、大手荷主企業との安定した取引が事業の安定性を担保しています。

3. 京浜港を中心とした主要6港への事業基盤

東京港・横浜港を中心として、主要6港に事業拠点を持つ地理的な強みがあります。日本の貿易物流の中核を担う港湾エリアに根差した事業基盤は、簡単に代替できない競争優位です。

4. 中国・ロシア・モンゴル向け国際複合輸送の独自ルート

日本国内の物流会社の中でも、中国・ロシア・モンゴルへの国際複合輸送に特化した専門ルートを持つ企業は多くありません。大陸方面への輸出入ニーズに応える独自のルートは、特定顧客にとって代替困難なサービスとなっています。

5. 静脈物流・植物工場など新領域への先行投資

廃棄物・リサイクル関連の「静脈物流」や、食の安全に応える「植物工場運営」など、成長が期待できる新領域への先行投資を積み重ねています。ESG経営への取り組みとしても注目される分野であり、中長期的な事業ポートフォリオの多様化を図っています。

6. カムバック採用制度による人材への投資姿勢

一度退職した元社員の再入社を歓迎する「カムバック採用」を設けていることは、「人材への敬意」を示す文化の表れです。長期的に人材を大切にする企業文化が採用姿勢にも反映されており、転職後の定着率の高さにも繋がっています。


同業他社との比較

東海運を転職先として検討する際、物流業界内における位置づけを把握しておくことが重要です。

比較軸東海運大手物流(日本通運等)中堅物流企業
従業員規模連結762名(中堅)数万名規模数百〜数千名
平均年収617〜645万円600〜750万円400〜550万円
特化領域港湾×国際複合輸送総合物流全般陸運・倉庫等
国際輸送中国・ロシア・モンゴル独自ルート全世界限定的
安定性100年超の業歴・上場企業大手の安定感様々
昇進スピード年功序列・遅め評価制度整備済み様々
ESG取り組み静脈物流・植物工場で注力大規模なSDGs対応中間

東海運は大手物流企業に比べると規模は小さいものの、港湾物流の専門性と国際複合輸送の独自ルートにより、業界内では独自のポジションを確立しています。年収水準は業界平均を大幅に上回り、安定した雇用環境が期待できる点で、長期キャリアを描きやすい企業といえます。


東海運の年収事情

平均年収

東海運の平均年収は有価証券報告書ベースで617〜645万円と、物流業界全体の平均(450〜500万円)を大きく上回る水準です。年功序列型の賃金体系のため、勤続年数が上がるほど収入が安定的に増加します。

職種・役職別の年収目安

職種・役職年収目安
入社1〜3年目(大卒)約320〜380万円(初任給:月20万円)
港湾オペレーション(中堅)約450〜550万円
営業・物流企画(30代)約550〜660万円
通関士・フォワーダー(専門職)約500〜620万円
係長・主任クラス約600〜700万円
課長職以上約700〜900万円
部長・管理職上位約900〜1,050万円

口コミサイトによると年収レンジは360〜1,050万円で、30代推定年収は約659万円、50代最大で約778万円となっています。年功序列型のため、長期勤務で着実に年収が上昇する体系です。


東海運の働き方・福利厚生

項目内容
標準勤務時間9:00〜17:15
残業部署により差あり(本社・総務系は少なめとの口コミあり)
住宅補助単身者:約2万円/月、既婚者:約5万円/月(35歳まで)
社宅・寮会社異動時は月数千円の自己負担で利用可
退職金制度勤続3年以上から支給
産休・育休産休取得実績あり(女性の継続就業を支援)
福利厚生サービスリロクラブ加入(保養所・各種割引等)
カムバック採用元社員の再入社制度あり
資格取得支援通関士・フォワーダー等の資格取得を支援
健康診断定期健康診断の実施
社会保険健康保険・厚生年金・雇用保険・労働災害保険

港湾オペレーション部門は荷役作業の性質上、シフト勤務や早朝・深夜対応が発生する場合があります。一方、本社管理部門や営業職は標準的なオフィス勤務スタイルです。


東海運の社風・カルチャー

1917年創業の老舗企業らしく、年功序列が基本の評価・昇進体系が根付いています。「長く勤めるほど報われる」安定志向の社員が多く、平均勤続年数が長いのが特徴です。社員同士の人間関係については「ベテランが多く落ち着いた雰囲気」との口コミが見受けられます。

本社・総務系部門は残業が少なめという評価がある一方、港湾・物流現場は業務量が多く体力・精神的タフネスが求められます。物流業界全体のDX推進の流れを受けて、業務効率化への取り組みも進んでいます。

組織としては保守的な文化が強い面があり、大きな変革や革新的なアイデアを推進する環境を求める方には不向きかもしれません。一方で「安定した大企業的な働き方」を好む方にとっては居心地の良い職場です。


東海運の転職難易度

難易度:B級(やや難しい)

東証スタンダード上場の安定企業であり、物流業界内での知名度・待遇ともに高い水準にあるため、求人が出ると応募者が集まりやすい傾向があります。ただし、大手物流企業(日本郵船・商船三井等)ほどの超難関ではなく、物流・港湾・海運の実務経験があれば十分に勝負できます。

特に港湾オペレーション・通関・国際輸送の実務経験者は評価されやすく、中途採用では通年で人材を募集しています(人事部メール窓口での受付あり)。年功序列文化のため、即戦力として短期的な成果を求めるより、長期的に組織に貢献できる人材を重視する傾向があります。


東海運に向いている人

  • 物流・港湾・海運業界でのキャリアを長期的に築きたい方
  • 安定した大手企業での就業を重視する方
  • 年功序列型の評価体系で着実にキャリアアップしたい方
  • 通関士・フォワーダーなどの専門資格を持つ方
  • 国際物流・貿易実務に強い関心がある方
  • 中国・ロシア・モンゴル向けの国際複合輸送に興味がある方
  • 港湾の現場から物流全体を俯瞰するキャリアを描ける方

東海運に向いていない人

  • 短期間で役職昇進・年収アップを実現したい方(年功序列体系のため)
  • 新規事業開発やイノベーションを自分で推進したい方
  • スタートアップのようなスピード感・裁量を求める方
  • 変化の少ない環境や保守的な社風が合わない方
  • 物流・港湾業務への関心がなく、業界未経験からの転職を考える方

東海運の選考対策

1. 物流・港湾実務の経験を数値で具体化する

「何トンの貨物を何件処理した」「通関件数を○%削減した」など、実務経験を具体的な数値で示すことが重要です。物流実務における課題解決の事例を準備し、即戦力としての説得力を高めましょう。

2. 長期就業の意思を明確に示す

年功序列型の評価体系を持つ同社では、「長く貢献し続けたい」という意思が採用の重要な判断基準となります。「5年・10年後のキャリアビジョン」を東海運の事業と結びつけて語れるよう準備しましょう。

3. 通関士・フォワーダー資格のアピール

通関士や国際物流の資格(乙仲業務の実務経験含む)は評価ポイントです。未取得の場合も「入社後に取得する意欲がある」ことを積極的に伝えましょう。

4. 港湾・海運業界への理解を深める

東海運の事業領域(コンテナターミナル・港湾荷役・国際複合輸送等)についての基本的な知識を押さえておきましょう。業界特有の用語(ターミナルオペレーター・フォワーダー・CY・CFS等)を理解していることが面接での印象を左右します。

5. ESGへの関心・環境意識のアピール

静脈物流(リサイクル物流)や植物工場など、同社がESG経営に注力していることを踏まえ、環境問題への意識・持続可能な物流への共感を示すことが有効です。

6. 中国・ロシア・モンゴル関連の専門性があれば積極的にアピール

これらの地域への国際複合輸送は同社の差別化サービスです。中国語・ロシア語のスキルや、大陸方面への貿易実務経験がある場合は、面接で積極的にアピールしましょう。


東海運への転職で評価されやすい経験

  • 港湾荷役・コンテナターミナル運営の実務経験
  • 通関士資格の保有・通関業務の実務経験
  • 国際フォワーディング・乙仲業務の経験
  • 3PL・SCMの企画・運営経験
  • 倉庫管理・WMS(倉庫管理システム)の運用経験
  • 国内幹線輸送・ラストワンマイル配送の管理経験
  • 中国・ロシア・モンゴル向け国際輸送の実務経験
  • 中国語・ロシア語などの語学スキル
  • 貿易実務(輸出入書類作成・インコタームズの理解)
  • 物流現場のDX推進・業務改善の実績
  • 環境物流・リサイクル物流の知見
  • 荷主企業との長期的な取引関係の構築経験

まとめ

東海運は1917年創業の老舗物流企業として、港湾運送から国際複合輸送まで一貫したサービスを提供する東証スタンダード上場企業です。平均年収617〜645万円と物流業界内でも高い水準を誇り、年功序列型の安定した評価体系と充実した福利厚生が特徴です。

転職市場では物流・港湾・海運の実務経験者に特に評価されやすい環境であり、通関士やフォワーダーの専門資格を持つ方にとっては魅力的な選択肢となります。長期的な安定就業を求め、物流のプロとして着実にキャリアを積み上げたい方に向いている企業です。

一方で、年功序列型の評価体系のため、短期間での急速なキャリアアップや大きな変革を推進したい方には不向きな面もあります。自分のキャリア志向と照らし合わせたうえで応募を検討することをおすすめします。

物流・港湾業界への転職を検討している方は、東海運の採用情報を定期的にチェックするとともに、業界専門の転職エージェントに相談することで、非公開求人を含む最新情報を入手できます。

転職エージェントが見るポイント

転職エージェントの視点から、東海運への転職を特にお勧めしたいのは以下のような求職者です。

ベストマッチ層

  • 港湾運送・倉庫・通関・フォワーディング分野で5年以上の実務経験を持ち、上場企業での安定就業を望む30〜40代の専門職
  • 物流業界内でキャリアアップを図りたいが、大手系列企業ではなく独立系・中堅上場企業を希望する方
  • 通関士資格を保有しており、より規模の大きな案件・港湾案件に携わりたい方
  • 中国・大陸方面の国際物流に特化したキャリアを積みたい方

注意が必要な層

  • 短期間での大幅年収アップや昇進スピードを重視する方(年功序列体系のため)
  • フラットな組織・自由な裁量・スタートアップ的なスピード感を求める方
  • 物流業界の経験がまったくなく、異業種からの転職を検討している方

採用情報の追い方

東海運の中途採用は公式サイトの採用ページおよびリクナビNEXT・doda等の主要転職サイトに掲載されます。また「カムバック採用」を設けていることからも分かるように、採用に積極的な姿勢が伺えます。港湾・物流業界専門の転職エージェントを通じた非公開求人ルートも有効であり、エージェントへの登録を並行して進めることで選択肢が広がります。

業績・財務の安定性について

2026年3月期の営業利益は前期比26.3%増の約8億6,800万円と改善が続いており、400億円規模の売上高を背景にした財務安定性は高いといえます。物流業界全体のDX投資や3PL需要の拡大を追い風に、中長期的な成長余地が見込まれる環境です。年功序列型の評価体系と長期勤続文化を考えると、早期退職のリスクが低い点も転職者にとって安心材料です。