清水銀行は静岡県清水区に本店を置く地方銀行で、地域の中小企業・個人に対する金融サービスを通じて地域経済を支えてきた。銀行業界への転職を考える上で外せないポイントは「安定性」と「地域密着性」の両立だが、清水銀行はその象徴的な存在といえる。
中途採用市場では、銀行員経験者・金融営業経験者・FP有資格者などが対象になりやすい。地域に根付いた長期キャリアを志向するなら、同行の文化・評価体系・収入水準をしっかり把握した上で判断することが重要だ。
以下、転職エージェントが押さえるべき情報を網羅的に整理する。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | 株式会社清水銀行 |
| 設立 | 1928年7月1日(昭和3年) |
| 代表者 | 取締役頭取 岩山靖宏 |
| 本社所在地 | 静岡県静岡市清水区富士見町2番1号 |
| 資本金 | 108億1,626万円(2026年3月末) |
| 従業員数 | 846名(2026年3月末) |
| 上場区分 | プライム市場(証券コード8364) |
| 預金残高 | 1兆6,348億円(2026年3月末) |
| 貸出金残高 | 1兆364億円(2026年3月末) |
| 業務純益(参考) | 約299億円(2024年3月期) |
| 平均年収 | 約601万円(2024年3月期有価証券報告書) |
| 平均年齢 | 非公開(推計40代前後) |
| 勤続年数 | 非公開(長期勤続傾向) |
| 事業内容 | 普通銀行業(預金・貸出・為替・有価証券投資・コンサルティング等) |
清水銀行は、静岡県中部・清水エリアに深く根ざした独立系の地方銀行だ。静岡銀行(スルガ銀行と並ぶ県内最大手)とは規模・路線ともに異なり、「清水のまちとともに生きる銀行」というアイデンティティを持つ。1928年の設立以来、度重なる経営環境の変化を乗り越え、プライム市場上場を維持している。
近年は地域の人口減少・低金利環境という構造的な課題に直面しているが、法人向けビジネスマッチング支援・事業承継コンサルティング・SDGs関連ファイナンスなど、手数料収益を軸とした非金利ビジネスの拡大に取り組んでいる。
主な事業内容
清水銀行は普通銀行法に基づく金融業を核に、幅広いサービスを提供している。
預金・貸出業務
銀行の根幹をなす預金受け入れと融資業務。個人顧客には住宅ローン・カーローン・フリーローンなどを、法人顧客には運転資金融資・設備資金融資・不動産ローン・シンジケートローンなどを提供する。地域の中小企業の資金繰りを支える存在として、融資実行スピードと担当者の目利き力が強みになっている。
為替・国際業務
国内外の送金・外国為替取引・貿易金融を担う。静岡県は輸出依存度の高い製造業(自動車部品・食品・機械等)が集積しており、中小企業の輸出入サポートへのニーズは堅調だ。
コンサルティング・ソリューション業務
地域企業の経営課題解決を支援するフィービジネス。事業承継・M&Aアドバイザリー・ビジネスマッチング・補助金活用支援などが中心で、第28次中期経営計画でも「ソリューション営業の高度化」として力点を置いている。担当者の提案力・課題発見力が直接収益に結びつく領域だ。
証券・保険窓販
投資信託・変額保険・個人年金などの金融商品を銀行窓口で販売する業務。超低金利環境下で預金利息に代わる収益柱として位置づけられており、FP資格保有者の活躍の場も広がっている。
デジタル・ITバンキング
スマホアプリ・インターネットバンキングの拡充、RPA活用による業務効率化など、デジタル対応も推進中。地銀全体でデジタルシフトが加速する中、清水銀行も人員配置の見直しと合わせてIT投資を増やしている。
清水銀行の強み
強み1. 清水エリアへの深い根付き
清水港・富士山周辺の地域経済と100年近くにわたって共存してきた信頼関係は、メガバンクや新興ネット銀行が容易に代替できない資産だ。地元中小企業のオーナーとの長期的なリレーションシップが、低金利環境下でも融資残高を維持している基盤となっている。転職者にとっては、着任後すぐに先輩行員の人脈が活用できる環境が整っている点がメリットになる。
強み2. プライム市場上場による財務信用力
地方銀行の中でもプライム市場に残る銀行は少数派だ。ディスクロージャーの厳格さ・機関投資家の監視・コーポレートガバナンス水準の高さは、従業員にとっても経営の透明性・安定性を担保する要素になる。転職後の安心感や福利厚生の充実度にも影響する。
強み3. 人材育成への注力
第28次中期経営計画の3本柱のひとつが「人的資本の充実」だ。OJT・OFF-JT・各種資格取得支援(銀行業務検定・FP・中小企業診断士等)が整備されており、入行後の成長機会は充実している。中途採用者でも既存のプログラムに乗りやすい体制が取られている。
強み4. 静岡県内での安定した雇用基盤
静岡県は東京・名古屋の間に位置し、リニア新幹線問題の注目を集めるなど地域課題も多いが、製造業・食品産業を中心とした堅実な産業構造が雇用の安定を支えている。地元出身者が家族のそばでキャリアを積む場として、清水銀行は継続的な需要を持つ職場だ。
強み5. 地域のSDGs・サステナビリティ金融への対応
2030年に向けたESG投融資・サステナビリティ関連債・地域版SDGsへの取り組みは、採用ブランディング面でも若い世代への訴求力が増している。地域金融機関としての社会的使命感を軸にキャリアを考える人材には、入社後のモチベーション維持につながる要素だ。
強み6. 清水区特有の地域密着ネットワーク
旧清水市(現静岡市清水区)は、清水エスパルスのホームタウンでもあり、スポーツ・文化面での地域コミュニティとの結びつきが強い。銀行員として地域のイベントや商工会議所活動に関わる機会が多く、個人のネットワーク形成においても独自の強みになる。
清水銀行の年収事情
清水銀行の年収水準は、地方銀行として標準的な水準だ。年功序列色が強く、若いうちは低めの基本給からスタートするが、長期勤続によって着実に上昇する構造になっている。
職種別の想定年収レンジ
| 職種・等級 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 新卒入行1〜3年目(一般行員) | 280〜350万円程度 |
| 中堅行員(5〜10年目) | 400〜550万円程度 |
| 支店長代理・係長クラス | 550〜680万円程度 |
| 副支店長・課長クラス | 650〜800万円程度 |
| 支店長クラス | 800〜1,000万円程度 |
| 本部企画職(専門職) | 500〜750万円程度 |
※上記は公開口コミ・有価証券報告書データをもとにした推計値。個人の評価・配属により差異がある。
給与制度の特徴
清水銀行の給与制度は年功序列が基本だ。定期昇給が保証される安定性がある一方、若手行員(特に20代)のうちは民間企業と比較すると低めの水準になりやすい。賞与は業績連動要素があるが、業界慣習として年2回(夏・冬)に支給される。口コミによれば、ボーナスは若手のうちは特に多くなく、「生活は安定しているが派手さはない」と表現する行員が多い。
年収を見る際の注意点
- 有価証券報告書記載の平均年収601万円は、全行員の平均値。管理職含むため、一般行員の実態はこれより低い場合がある
- 住宅手当の有無・転勤の有無によって実質的な生活コストが変わる。口コミでは「家賃補助がない」という指摘も複数見られる
- 地方銀行という特性上、静岡県内での生活を前提とした水準設計になっている
- 残業代は適切に支払われる傾向があるが、支店・時期によってばらつきがある
清水銀行の働き方・福利厚生
勤務時間・休日
一般的な銀行営業時間(9時〜15時)に合わせた業務が基本だが、渉外担当や本部職は時間外業務が発生することもある。年間休日は120日前後で、土日祝休みが基本。有給休暇の取得推進も進んでいる。
リモートワーク
窓口業務・渉外業務の性質上、フルリモートは難しい。ただし本部機能の一部では在宅勤務・フレックスタイムの導入が進んでいるとみられる。銀行業界全体のデジタル化に伴い、今後拡大の余地がある。
福利厚生
- 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 企業型確定拠出年金(DC)または退職金制度
- 各種銀行業務検定・FP・中小企業診断士等の資格取得費用支援
- 行員向け住宅ローン優遇金利
- 持株会制度
- 保養施設の利用(銀行系福利厚生施設)
- 育児休暇取得推進(取得率は良好との口コミあり)
- 産前産後休暇・時短勤務制度
- 健康診断・メンタルヘルスサポート
- 行員研修センター・OJT体制の整備
注意点
家賃補助・住宅手当が充実していないという口コミが複数見られる。転居を伴う転勤がある場合、住居コストが自己負担になるケースに注意が必要だ。静岡県外からの移住を検討する場合は、オファー段階で福利厚生の詳細を必ず確認したい。
清水銀行の社風・カルチャー
一言で表すなら「地道で堅実・地元に誇りを持つ」
清水銀行の文化を端的に表すなら「静岡の人が静岡のために働く、真面目で誠実な職場」だ。メガバンクのような縦割り・競争の激しさとは異なり、地域への帰属意識とチームワークを重視する傾向が強い。上下関係はやや年功序列的だが、接客や地域貢献に対する誠実さは業界内でも評価されている。
評価される人物像
- 静岡・清水エリアへの愛着と定着意向がある人
- コツコツとした勉強(資格取得・業務知識の深化)を継続できる人
- 顧客との長期的な信頼関係構築を大切にできる人
- 地域の中小企業経営者と対等に話せる提案力を磨きたい人
- 安定したキャリアを積みながら地域に貢献したいという価値観を持つ人
表面的なイメージと実態の差
「銀行員は高収入」というイメージは、清水銀行の若手行員には当てはまりにくい。20代〜30代前半は一般企業と比べてさほど高くない年収でスタートするケースが多く、「安定はしているが、若いうちは苦しい」という声は珍しくない。長期勤続・昇進を前提にすれば確かに安定した収入が見込めるが、若いうちに高収入を狙いたいタイプには不向きな環境だ。
清水銀行の転職難易度
難易度:B級(中程度)
地方銀行の中では採用間口が比較的狭く、特に中途採用は明確なニーズが生じた際に限定的に行われる傾向がある。新卒採用が中心のため、中途採用の競争倍率は高くないが、求める人物像が明確で「地域定着意向」を重視する選考基準がある。
全国転勤ありのメガバンクや証券会社と比べると難易度は下がるが、地銀特有の「地域への本気度」を見抜く面接は油断できない。
理由1. 採用規模が小さく、欠員・増員タイミングに依存
年間の中途採用枠は公開されていないが、大手地銀ほどの量は多くない。ポジションが空いたタイミングに求人が出るため、「タイミング次第」の側面が大きい。転職エージェント経由・公式採用ページの両方を継続的にチェックする姿勢が求められる。
理由2. 銀行実務・金融知識が評価される
銀行業務検定・FP2級以上・貸出業務の実務経験などを持つ人材は有利だ。他業種から金融業に転身したい場合は、金融関連資格の取得や、銀行融資に関係する業界(不動産・保険・会計等)での経験が評価されやすい。
理由3. 地域定着意向が選考の重要因子
「なぜ静岡で、なぜ清水銀行か」を明確に語れるかどうかが合否に直結する。Uターン転職・移住希望者など、静岡への生活基盤構築が具体的に見えている候補者は評価されやすい。
清水銀行の主な募集職種
清水銀行の採用は総合職・一般職が中心で、専門職採用も一部行われている。
清水銀行に向いている人
タイプ1. 静岡・清水エリアに長期的に根を張りたい人
Uターンや地元残留を希望する静岡出身者にとって、清水銀行は数少ない選択肢のひとつだ。地元の顧客・企業とのつながりを活かしながらキャリアを積みたい人に最適な環境がある。
タイプ2. 中小企業の経営者と深く関わりたいコンサル志向の人
渉外担当・法人営業担当は、中小企業経営者の「お金の相談相手」になる機会が多い。表面的な金融商品販売ではなく、経営課題のヒアリングと解決策の提案を通じてやりがいを見出せる人に向いている。
タイプ3. 長期勤続による着実な昇進を望む人
年功序列の給与体系は、裏返せば長く勤めるほど収入が増えていく仕組みでもある。5〜10年スパンで昇進・年収増加を見込む安定志向のキャリアプランを描ける人に合致する職場だ。
タイプ4. 金融業界の実務スキルを体系的に習得したい人
銀行業務検定・FP・中小企業診断士等の資格取得支援が整っており、金融のプロフェッショナルとしての土台を築く環境は整っている。
タイプ5. 地域社会への貢献に意義を感じる人
SDGs金融・地域の事業承継支援・創業融資など、「社会的意義のある仕事」として銀行業を捉えられる人には、清水銀行の事業ミッションが刺さりやすい。
清水銀行に向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のため、以下に正直に挙げる。
- タイプ:高い流動性・スピード感を求める人 フィンテック企業やコンサルのような意思決定スピードは期待しにくい。大きな組織の手続きに従う忍耐力が必要になる。
- タイプ:若いうちに高年収を実現したい人 20代・30代前半の年収水準はメガバンク・外資系より低くなりがちで、短期的な高収入を目指す人には不向きだ。
- タイプ:静岡以外での勤務を想定している人 清水銀行の勤務地は静岡県内が原則であり、全国規模のキャリア展開は難しい。
- タイプ:裁量を持ったスタートアップ的な仕事がしたい人 銀行業の特性上、コンプライアンス・規程・稟議プロセスへの適応が求められる。自由な発想よりもルール遵守が優先される場面が多い。
- タイプ:地域密着への共感が薄い人 清水銀行の文化の核は「地域への奉仕」だ。この価値観にフィットしない場合、職場での孤立感を感じることがある。
清水銀行の選考対策
選考対策1. 志望動機は「なぜ静岡・なぜ清水銀行か」を具体化する
「安定しているから」という理由は最低限。「地元静岡でのUターン転職」「清水エリアの中小企業支援に携わりたい」「第28次中期経営計画の人的資本強化に共鳴した」など、清水銀行固有のストーリーを組み立てることが前提になる。
選考対策2. 金融知識・資格を事前に整える
銀行業務検定(財務・法務・税務)やFP2級以上を持っていると書類・面接で評価されやすい。取得中でも「現在〇〇を勉強中」と述べることで、学習姿勢を示すことができる。
選考対策3. 地域企業の課題と清水銀行の取り組みを把握する
静岡県の産業構造(自動車・食品・観光等)と、清水銀行が公表している中期経営計画の施策を事前に把握しておく。「静岡の〇〇という課題に対して、こういう形で貢献したい」という具体論が言えると評価が高まる。
選考対策4. 長期定着の意志を全面に出す
中途採用の面接では「長く働いてくれるか」が重要な選考軸になる。「静岡に骨を埋める」という明確な定着意向を示すエピソード(家族の状況・地元の繋がり等)を準備しておきたい。
選考対策5. 法人営業経験・コンサルティング経験を具体的に伝える
ソリューション営業の高度化を経営課題に掲げている以上、法人向けの提案営業経験は高く評価される。具体的な数字(担当社数・融資額・提案実績)を交えたエピソードが有効だ。
選考対策6. コンプライアンス意識の高さをアピールする
金融機関の選考では、倫理観・コンプライアンス意識を確認する質問が必ずといっていいほど出る。過去のトラブル対応・ルール遵守に関するエピソードを事前に準備しておくとよい。
清水銀行への転職で評価されやすい経験
- 地方銀行・信用金庫・信用組合での法人・個人営業経験
- 融資審査・与信管理の実務経験
- メガバンク・ネット銀行からの転籍(業務知識の横展開)
- 保険・証券会社での金融商品販売経験(窓販担当への親和性)
- 不動産会社での営業経験(住宅ローン・不動産担保融資への理解)
- 中小企業診断士・FP1〜2級などの金融関連資格保有
- 公認会計士・税理士補助・会計事務所での勤務経験
- 静岡県内の中小企業での管理職・経営企画経験(地域ネットワーク評価)
- システム開発・ITコンサルタント経験(デジタル化対応人材として)
- 経営企画・事業戦略の立案経験
- SDGs・ESG関連業務の実務経験
- 金融機関でのコンプライアンス・内部監査経験
特に評価されやすいのは、地方銀行・金融機関での法人営業経験と、静岡県への明確な定着意向の組み合わせだ。 金融スキルと地元への帰属意識が重なるプロフィールは、清水銀行の採用担当が求める理想像に最も近い。
まとめ
清水銀行は、静岡県清水エリアに根ざした老舗の独立系地方銀行だ。1928年創業・プライム市場上場という安定感は、地方銀行の中でも際立った強みを持つ。
平均年収601万円(2024年3月期)・従業員846名という規模感は、大規模地銀と比べると中型だが、地元密着のリレーションシップバンキングという点では確固たる地位を維持している。年功序列色の強い給与制度は若手には厳しい面もあるが、長期勤続でのキャリアアップ・年収上昇は実績として示されている。
第28次中期経営計画「SHINKA」が示すように、ソリューション営業の高度化・デジタル化・人材育成への投資は続いており、転職先としての成長余地も残っている。静岡エリアへの定着意向・金融業への適性・地域貢献への共感がある人材には、堅実なキャリアの場として十分に検討に値する。
転職を検討する際は、採用ページおよびエージェント経由で最新の募集状況を確認した上で、志望動機の具体化と金融知識の整備を並行して進めることを推奨する。
