株式会社鎌倉新書は、「終活」という言葉が世に浸透するよりも前から、葬儀・墓・仏壇・介護・相続といった高齢社会の課題に向き合ってきた企業です。1984年の設立当初は出版業を中心としていましたが、インターネットの普及とともに情報メディア・マッチングプラットフォーム事業にピボットし、現在は東証プライム上場の独立系企業として業界をリードする位置にいます。

事業モデルの核心は「紹介手数料+広告収入」という資産軽量型の設計にあります。工場・在庫・店舗を持たず、人材・ブランド力・データという無形資産に集中投資する方針を創業期から貫いており、2026年1月期の売上高は83億3,500万円(前期比18%増)を記録しました。

転職検討者にとっての鎌倉新書の魅力は、ニッチながら成長性の高い市場でのファーストムーバーポジション、上場企業ならではの透明性ある経営体制、そして終活という社会的意義の大きいミッションにあります。一方、約358名規模のミドルベンチャーであることから、大企業と比べると制度・環境面でのギャップが生じる場合もあります。選考では事業の社会的意義への共感と、デジタルメディア・マーケティングのスキルが重視される傾向にあります。

企業概要

項目内容
設立1984年2月
代表取締役清水 祐孝
本社東京都中央区京橋2-14-1 兼松ビルディング3F
資本金16億7,186万円(2026年1月31日現在)
従業員数358名(契約社員・パート・アルバイト含む)
上場区分プライム市場(証券コード6184)
売上高83億3,500万円(2026年1月期)
平均年収647万円程度(各種データ集計値)
平均年齢37.0歳
事業内容終活関連ポータルサイト運営・情報メディア事業

鎌倉新書のビジネスモデルは「紹介手数料モデル」と「広告モデル」の2本柱です。利用者は葬儀・墓・介護などのサービス業者と鎌倉新書のポータルサイトを通じてマッチングされ、成約に応じた紹介料が鎌倉新書に入る仕組みです。同時に、サービス業者側からのプロモーション費用(広告出稿)も収益源となっています。

この構造により、参入障壁となる在庫リスクや施設コストを持たず、スケーラブルな成長が可能です。2025年末にはSOMPOホールディングスとの資本業務提携を発表し、保険・介護との連携強化に乗り出しました。

主な事業内容

鎌倉新書の事業は「終活」というテーマに集約されつつも、そのカバー範囲は葬儀から介護、相続、不動産まで広がっています。全事業を通じて「利用者と事業者のマッチング」という共通構造を持ちます。

いいお墓

「いいお墓」は掲載霊園数1万件以上、累計相談件数200万件超を誇る日本最大級のお墓ポータルサイトです。霊園・墓石の比較検討から資料請求・見学予約まで一気通貫でサポートし、成約件数に応じた紹介手数料が主な収益源となっています。高齢化の進展で需要は安定的に伸長しており、同社の最大収益源のひとつです。

いい葬儀

「いい葬儀」は累計相談件数120万件超、提携葬儀場7,000か所以上の葬儀相談・依頼サイトです。24時間365日の電話相談体制を持ち、急な需要にも対応しています。葬儀は「突発的・一度限り・情報格差が大きい」という市場特性から、中立的な比較プラットフォームの役割が大きく、ブランド信頼性が参入障壁になっています。

いい介護

高齢者施設・在宅介護サービスの探索・比較サイトです。核家族化と高齢者人口の増加を背景に成長中の事業領域で、SOMPOホールディングスとの連携強化により送客シナジーの創出が期待されています。

いい仏壇・いい相続

「いい仏壇」は仏壇・仏具の比較検討プラットフォーム、「いい相続」は遺言・相続手続きに関する専門家マッチングサービスです。いずれも「終活」の文脈で生じる意思決定に寄り添うサービスとして、コア事業群との相互送客を実現しています。

自治体・法人向けサービス

自治体に対して高齢者領域での住民サービス支援も提供しており、B2G(対行政)領域へも拡張中です。行政との連携は公共性の高いブランドポジションを補強する効果もあります。

鎌倉新書の強み

強み1. 終活領域でのファーストムーバー優位

鎌倉新書は「終活」という市場が確立される前から参入し、プラットフォームとしての圧倒的な口コミ数・掲載数・相談実績を積み上げてきました。いいお墓の累計相談200万件超、いい葬儀の相談120万件超という数字は後発企業が短期間で追いつくことが難しいネットワーク効果の証です。転職者にとっては、確固たる市場地位を持つプラットフォームで働ける環境という意味で魅力的です。

強み2. 資産軽量型ビジネスモデルによる高い収益性

在庫・工場・店舗を持たない情報メディア・マッチングモデルは、売上拡大に対して限界費用がほぼかからないスケーラブルな設計です。売上成長と利益率改善を同時に実現しやすく、財務的な安定性が高いことが採用・待遇の安定にもつながっています。

強み3. 超高齢社会という構造的成長市場

日本の高齢者人口は今後も増加が見込まれており、葬儀・墓・介護・相続の需要は中長期的に底堅く推移する見通しです。景気サイクルに依存しにくいディフェンシブな需要特性を持ちながら、市場全体の拡大という追い風も受けられる稀有な市場ポジションです。

強み4. SOMPOホールディングスとの資本業務提携

2025年末に発表されたSOMPOホールディングスとの提携は、保険・介護大手の顧客基盤と鎌倉新書のプラットフォームを組み合わせる戦略的なアライアンスです。送客シナジー・データ連携・共同サービス開発の可能性が広がり、ミドルベンチャーとしてのリーチを大企業グループのリソースで補完できる構図になっています。

強み5. ミッション共感型の組織文化

「高齢社会の課題を解決する」というミッションに共感した人材が集まる傾向があり、利益至上主義とは異なる中長期志向の組織文化が形成されています。「有形資産より無形資産(人材・ブランド・データ)を蓄積する」という創業来の経営哲学は、社員の自律的な働き方とも親和性が高いです。

強み6. データ×デジタルマーケティングのノウハウ蓄積

累計数百万件に及ぶ相談データは、ユーザー行動・意思決定プロセスの理解において業界随一のアセットです。このデータを活用したSEO・コンテンツマーケティング・UI改善の経験は、マーケター・エンジニア・プロダクトマネージャーにとって高い市場価値のある実務スキルとして蓄積できます。

鎌倉新書の年収事情

鎌倉新書の年収水準は、同規模のミドルベンチャーと比較して中程度から高めに位置します。安定した上場企業ながら、大手メガベンチャーほどの高水準ではないと理解して選考に臨むと良いでしょう。

職種別の想定年収レンジ

職種想定年収レンジ
エンジニア(バックエンド・フロント)550〜850万円
プロダクトマネージャー600〜900万円
デジタルマーケター500〜750万円
営業・カスタマーサポート400〜600万円
コーポレート(経理・人事・法務)450〜700万円
コンテンツ・ライター400〜600万円
事業企画550〜800万円

給与制度の特徴

月給制を基本とし、業績連動の賞与(年2回が標準的)が加算される形式です。月給33万5,370円以上という求人が掲載された実績があり、経験・スキルに応じた個別交渉の余地があります。上場企業としての透明性ある評価制度への取り組みが継続されています。

年収を見る際の注意点

  • 458名程度の中小規模企業のため、賞与の変動幅が大手より大きい場合がある
  • 各種データベースで647万円〜618万円程度とばらつきがあるため、「〜650万円程度」と広めにみるのが適切
  • 契約社員・パートタイムを含む全従業員平均のため、正社員のみの水準は若干高めと推計される
  • 成果評価型の傾向があるため、実績次第で早期の年収アップが狙いやすい面もある

鎌倉新書の働き方・福利厚生

鎌倉新書は、東証プライム上場企業としての制度的な基盤を持ちながら、ミドルベンチャーとしての柔軟性も備えています。

勤務時間・休日 標準的な週5日勤務、土日祝休みのカレンダー制が基本です。年間休日数は120日前後。職種によりフレックスタイム制を採用しており、コアタイムを設けた形でのフレキシブルな勤務が可能です。

リモートワーク COVID-19以降にリモートワーク体制を整備し、職種・チームによってハイブリッド勤務が認められています。本社は東京都中央区に位置し、アクセス利便性も良好です。

主な福利厚生

  • 各種社会保険完備(健康・厚生年金・雇用・労災)
  • 交通費支給(上限あり)
  • 健康診断・定期健康診断
  • 従業員持株会制度(上場企業ならではの資産形成手段)
  • 慶弔見舞金制度
  • 育児休業・育児短時間勤務制度
  • 介護休業制度
  • 資格取得支援・研修費用補助
  • 書籍購入補助(IT・メディア系企業として知識インプット奨励)
  • 社内懇親会費補助

注意点 約358名規模のため、大手企業に比べると福利厚生の種類・規模は限定的です。特にキャリア育成制度や社内公募制度は整備途上の部分もあるため、入社前に具体的な内容を確認しておくことを推奨します。

鎌倉新書の社風・カルチャー

一言で表すなら「社会課題起点のITメディア企業」

鎌倉新書の組織文化は、「終活」という重要だが扱いにくいテーマに真摯に向き合うことからくる使命感型の文化です。営利目的以上に「超高齢社会の課題解決インフラ」としての自意識が強く、入社者の多くが事業ミッションへの共感を動機に語ります。

「商品・工場などの有形資産は持たず、人材・ブランド・データという無形資産に投資する」という経営哲学は、社員一人ひとりの専門性を重視する文化につながっています。上下関係より専門性が評価される場面が多く、提案・発言の機会は職位に関わらず開かれている傾向があります。

評価される人物像

  • 終活・高齢社会という事業テーマへの本質的な共感がある人
  • データや数字で課題を定義し、施策に落とし込める思考力
  • ニッチ市場でのブランド構築に粘り強く取り組める姿勢
  • 変化への適応力(出版→デジタルメディア→プラットフォームと変容してきた企業)
  • チームでの協働と、個人としての専門性深化を両立できる人

表面的なイメージと実態の差

「葬儀・墓の会社」というイメージから敬遠する候補者もいますが、実態はデジタルマーケティング・プロダクト開発・データ分析を武器にする現代的なITメディア企業です。扱うテーマは重くとも、社内の仕事内容はSEO・UX・広告運用・エンジニアリングが中心であり、Web系・IT系のキャリアパスとして十分機能します。

鎌倉新書の転職難易度

難易度:B級(標準〜やや高め)

鎌倉新書の中途採用は競争倍率として特別に厳しいわけではありませんが、事業テーマへの共感と実務スキルの両立が問われるため、安易に通過できる選考でもありません。

デジタルマーケティング・エンジニアリング・プロダクトマネジメントの実務経験者は比較的評価されやすく、ポテンシャル採用よりも即戦力志向が強い傾向があります。一方で、転職希望者の中に「終活ビジネスに携わりたい」という明確な志望動機を持つ人が多く、候補者の質が高い点が競争を難しくしています。

理由1. 事業ミッションへの共感が選考の重要軸

「なぜ終活・高齢社会の課題に取り組みたいのか」は選考を通じて深く掘り下げられます。「上場企業で安定しているから」という動機は弱く、具体的なエピソードや思想的な背景を持って語れる候補者が評価されます。

理由2. デジタルメディア・マーケティングの実務力が重視される

コンテンツSEO・広告運用・CRM・データ分析など、デジタルメディア経営に関わる実務スキルは採用において高く評価されます。同業他社や周辺業種(介護・不動産・保険のメディア事業等)からの転職が評価されやすいです。

理由3. ミドルベンチャーとして即戦力志向が強い

約358名という規模は、OJTで育成するよりも「入社初日から一定の成果を出せる人材」を求める傾向につながります。大手企業からの転職では「早期の成果発揮」へのコミットメントを明確に示すことが重要です。

鎌倉新書の主な募集職種

鎌倉新書ではビジネス・エンジニア・マーケティング・コーポレートの各領域で中途採用を実施しています。主な職種は以下の通りです。

鎌倉新書に向いている人

タイプ1. 社会課題解決に仕事の意味を見出す人

終活・高齢社会という社会的に重要なテーマに携わることに価値を感じ、事業の使命感を日々のモチベーション源にできる人は、鎌倉新書の組織文化に深くフィットします。

タイプ2. デジタルメディアの実務を生かしたい人

SEO・コンテンツマーケティング・広告運用・UX改善など、デジタルメディア運営に関わる実務スキルを最大限に活かせる環境です。大手メディアよりも意思決定のスピードが速く、施策の全体設計から実行まで関与できる点に魅力を感じる人に向いています。

タイプ3. ミドルベンチャーで裁量を持って働きたい人

約358名規模の組織では、個人の役割範囲が広く、上位職への距離も短いです。大企業では経験できないような事業全体への関与・提案機会を求めるキャリア志向の人にとって成長機会が豊富です。

タイプ4. 長期視点でニッチ市場を深掘りしたいエキスパート

高齢社会・終活領域の専門家として中長期にわたって価値を磨きたい人は、この市場のリーダー企業でキャリアを積むことで、業界内での稀有なポジションを築けます。

鎌倉新書に向いていない人

批判ではなくミスマッチ防止のために明記します。

  • タイプ:事業テーマに無関心な人 終活・高齢社会というテーマへの共感なしに選考を突破するのは難しく、入社後のモチベーション維持も困難になりがちです
  • タイプ:大企業規模の福利厚生・育成体制を期待する人 約350名規模の企業のため、研修プログラムや制度面で大手水準を求めるとギャップが生まれます
  • タイプ:短期のキャピタルゲインを求めるスタートアップ志向の人 既に上場済みで成熟フェーズにあるため、未上場スタートアップのような急激な株式価値の上昇は期待しにくい構造です
  • タイプ:テレワーク完全フルリモートのみを希望する人 チームによっては出社必須の業務もあるため、完全リモート前提では検討が難しい可能性があります
  • タイプ:短サイクルでの高速昇給を求める人 ミドルベンチャーながら安定志向の給与体系のため、外資系のような急激な給与上昇カーブは描きにくいです

鎌倉新書の選考対策

選考対策1. 事業ミッションへの共感を具体的に語る

「なぜ終活・高齢社会課題に取り組みたいのか」は面接の核心的なテーマです。単なる抽象論ではなく、身近な体験(親族の葬儀・介護経験など)や社会課題への問題意識を具体的に語れるよう準備しましょう。鎌倉新書のサービスを実際に使ってみて、ユーザー目線での気づきを語れると高評価につながります。

選考対策2. 自社サービス群を深く研究する

「いいお墓」「いい葬儀」「いい介護」「いい仏壇」「いい相続」の各サービスのUI・機能・差別化ポイントを事前に調べておくことが必須です。競合サービスと比較して「鎌倉新書のどこが優れているか」「自分ならどう改善するか」という視点を持って面接に臨むと、事業理解の深さをアピールできます。

選考対策3. デジタルマーケティングの実績を数字で示す

SEO流入改善・広告のCPA改善・コンテンツ施策の成果など、デジタルメディア運営に関わる実績は可能な限り数値化して提示しましょう。「〇〇%改善」「月間PV〇万件を達成」という具体的な数字は、即戦力性を証明する強力な材料です。

選考対策4. SOMPOとの提携戦略を理解しておく

2025年末発表のSOMPOホールディングスとの資本業務提携は、面接でのトピックになる可能性があります。「この提携で鎌倉新書はどう変わるか」「自分の役割がどう拡大するか」という観点での考察を持っておくと、時事感覚と戦略理解をアピールできます。

選考対策5. ミドルベンチャーでの自律性へのコミットを示す

「細かい指示がなくても自走できるか」という観点での問いかけには、過去の自律的な行動事例をSTARメソッド(状況・課題・行動・結果)で答えられるよう準備しましょう。

選考対策6. 職種適性と技術スキルの証明

エンジニア職では技術試験・コーディングテストが課される場合があります。マーケター職ではポートフォリオや分析事例の提出が求められることもあります。応募職種に応じた実務能力の証明材料を事前に整理しておくことが重要です。

鎌倉新書への転職で評価されやすい経験

  • デジタルメディア(ポータルサイト・比較サイト・SEOメディア)での運営・改善経験
  • コンテンツSEO・有料広告運用(Google/Meta広告)の実務経験と数値改善実績
  • BtoC向けマッチングプラットフォームのプロダクト開発経験
  • データ分析・BI活用による事業改善の提案・実行経験
  • 介護・医療・保険・不動産など隣接する高齢社会関連業界での業務経験
  • 相続・税務・法律などの専門知識(いい相続事業での活用可能性)
  • バックエンドAPIの設計・開発経験(マッチングプラットフォーム構築)
  • カスタマーサポート・CX改善のマネジメント経験
  • ベンチャー・スタートアップでの企画・推進経験(少人数での事業推進経験)
  • 営業・法人開拓経験(提携葬儀社・霊園・介護施設の開拓営業)
  • SNSマーケティング・PR・ブランディング施策の実施経験
  • プロジェクトマネジメントツールを活用したアジャイル開発の経験

特に評価されやすいのは、SEOや比較メディアの実務経験を持ちながら、終活・高齢者・医療・介護といった領域への問題意識を具体的に語れる人材です。「スキルとミッション共感の両立」が鎌倉新書の採用でもっとも重視される軸と言えます。

まとめ

株式会社鎌倉新書は、超高齢社会という避けられない社会変化を事業機会として捉え、「終活」に特化した情報メディア・マッチングプラットフォームのリーダー企業として東証プライムに上場しています。売上高83億円超・累計相談件数数百万件という実績は、後発が追いつくことが難しいネットワーク効果の証明です。

転職先として評価すべき点は、安定した財務基盤を持ちながらも成長余地のある市場でのファーストムーバーポジション、SOMPOとの提携による新たな成長フェーズへの参画機会、そして平均年収647万円程度という水準です。一方、約350名規模のため大手企業水準の福利厚生・育成体制を期待する場合はギャップが生じる点は理解して選考に臨む必要があります。

「終活」というテーマへの共感と、デジタルマーケティング・エンジニアリング・プロダクト開発の実務スキルを持つ人材にとって、鎌倉新書は社会的意義の大きいフィールドで存在感を発揮できる数少ない企業のひとつです。転職活動の選択肢として真剣に検討する価値があるでしょう。

参考リンク