株式会社いつもは、「日本の未来をECでつくる」というミッションを掲げ、2020年に東証グロース市場へ上場を果たしたEC・D2C支援の専門企業です。Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングをはじめとする国内主要ECモール、さらにはアジア・欧米の越境ECまで、一気通貫でメーカーや小売企業のEC事業を支援しています。

契約案件数14,000件超(2026年5月時点)という圧倒的な実績規模を誇り、EC戦略立案から商品企画・クリエイティブ制作・デジタルマーケティング・倉庫フルフィルメントに至るまで、EC事業に必要なすべての機能を自社グループ内で完結させられることが同社の差別化ポイントです。

一方で、2025年3月期は売上高139億円(前年比+0.6%)・営業利益7,400万円(同▲76.8%)と増収ながら大幅減益となっており、成長の質と収益構造の変化を正確に把握したうえで転職を検討する必要があります。本記事では人材エージェントの視点から、同社の実態・強み・注意点・選考対策までを徹底解説します。

企業概要

項目内容
会社名株式会社いつも(itsumo Inc.)
設立2007年2月14日
代表取締役社長坂本 守
本社所在地東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 新有楽町ビル
資本金7億4,785万円
従業員数309名(連結)
上場区分東証グロース市場(証券コード:7694)
売上高139億4,000万円(2025年3月期・連結)
平均年収450万〜600万円(公開求人・口コミ情報ベース)
事業内容ECコンサルティング、EC運営代行、EC物流・フルフィルメント、アジア越境EC支援、EC人材育成、D2Cブランド育成・M&A

2020年12月の東証グロース上場以来、ECコンサルティングを核としながらM&Aによるグループ拡大とサービス領域の拡充を進めてきた企業です。「日経が選ぶプラチナ企業100選」にも選出されており、EC業界での認知度は高いです。

主な事業内容

株式会社いつもの事業を理解するうえで鍵になるのは「EC事業の上流から下流まですべて支援できる」という点です。多くの企業は広告運用や倉庫管理など特定領域に特化していますが、いつもはその全工程を自社グループ内で担えます。

ECコンサルティング・EC運営代行(OneコマースService)

Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなど国内主要ECモールへの出店・運営代行サービスが中核事業です。商品ページ作成・SEO対策・広告運用・在庫管理・カスタマー対応まで包括的に支援します。国内14,000件超の支援実績があり、業界トップクラスのノウハウが蓄積されています。

また、メーカーとコラボレーションして自社ブランドを共同開発する「協業ブランドパートナーサービス」も展開しており、クライアントのD2Cブランド立ち上げから育成まで深く関与します。

EC物流・フルフィルメント

自社倉庫(協力倉庫含む)を活用した受注処理・梱包・配送代行サービスです。物流コストの最適化とリードタイム短縮を支援し、EC運営代行と組み合わせることで、クライアントはEC事業運営をほぼいつも1社に任せることが可能です。

アジア越境EC支援

中国・東南アジア・欧米を対象とした越境EC支援事業です。日本企業として初めてAmazonグローバルセリング(AGS)の「Advertising Optimization Providers」として認定されており、越境ECのコンサルティングから現地プラットフォームへの出店・広告運用まで一気通貫で支援します。中国(天猫・JD.com)・マレーシア・ベトナム・シンガポールなどのASEAN市場を重点エリアとしています。

EC人材育成・M&A事業

ECスクール「いつもEC大学」による人材育成事業と、有望なD2Cブランドや中小EC企業を対象としたM&A・投資事業も展開しています。ECの「人」と「資本」の両面から業界エコシステムを構築しようとする意図が読み取れます。

株式会社いつもの強み

強み1. 国内EC支援のノウハウと実績規模が圧倒的

14,000件超という支援実績数は国内EC支援企業の中でも突出しています。Amazonや楽天のアルゴリズム変化・広告仕様の変更といった業界トレンドをいち早くキャッチし、14,000件分のA/Bテストデータを保有していることは、個別クライアントへの提案精度を高めます。「量産型のプレイブックがある」ことが転職者の成長機会にもつながっており、入社後に体系的なEC支援スキルを習得できる環境があります。

強み2. EC事業の全工程を一気通貫で提供できる

コンサルティング・クリエイティブ・広告運用・物流・越境ECまでをすべて自社グループ内で完結させられる企業は国内でほとんど存在しません。クライアントからすれば複数の委託先を管理する手間がなくなり、いつも側にとってはクライアントのビジネスにより深く入り込める関係性が生まれます。転職者にとっても「EC事業の全体像を理解できる」という希少な経験価値があります。

強み3. 越境EC・グローバル対応力が高い

Amazon AGSのAdvertising Optimization Providersへの国内初認定は、グローバル展開力の証明です。日本製品のブランド力を活かして海外EC市場に挑戦したい企業へのニーズは根強く、特に中国・ASEANへの越境ECは同社の成長ドライバーとなっています。語学力(英語・中国語)や海外マーケット知識を持つ人材にとっては、自分の強みを活かせる数少ない環境の一つです。

強み4. 東証グロース上場企業としての組織基盤

上場企業として財務情報の透明性・コンプライアンス体制・IRガバナンスが整備されており、「スタートアップ特有の情報不透明感」が少ない点は安心材料です。また、上場後も積極的にM&Aや新規事業立ち上げを進めており、「安定×成長」を両立しようとする経営姿勢が読み取れます。

強み5. D2CブランドM&A・投資事業による事業ポートフォリオの広がり

ECコンサルティングだけでなく、有望なD2Cブランドを自ら取得・育成するM&A事業を持つことで、「支援者」から「プレイヤー」への転換も進めています。事業戦略・M&A・ブランドマネジメントなど、より上流のキャリアを志向する人材にとっては、単なる運用代行企業にとどまらないキャリアパスを描ける可能性があります。

株式会社いつもの年収事情

年収レンジの目安

職種・グレード想定年収レンジ
ECコンサルタント(初級・入社1〜2年)350万〜450万円
ECコンサルタント(中級・実務3〜5年)450万〜580万円
ECコンサルタント(上級・マネージャー候補)560万〜700万円
デジタルマーケター(広告運用)400万〜550万円
クリエイティブ・Webデザイナー350万〜500万円
コーポレート(人事・経理等)350万〜500万円
越境EC専門職(語学力・海外経験保有)450万〜650万円

※上記は公開求人・口コミ情報をもとにした目安です。実際の年収は職種・グレード・評価によって異なります。

給与制度の特徴

初任給は月給256,000円〜からスタートです(職種・経験により異なる)。昇給は年1〜2回、賞与は年2回(6月・12月)が基本です。成果に応じたインセンティブ制度も一部職種で適用されますが、基本的にはグレード制の固定給+成果評価で構成されています。

年収を見る際の注意点

  • 口コミでは「残業代込みで見ると実質的な時間当たり単価は低い」という声が複数あります
  • OpenWorkの評価では待遇面の満足度が高くない傾向があり、「業務負荷に対して給与が追いついていない」という意見も散見されます
  • 2025年3月期は大幅減益(営業利益▲76.8%)となっており、賞与や業績連動部分への影響を確認することが重要です
  • 年収レンジの上限は上級コンサルタントやマネージャー職の数字であり、入社直後は下限に近い水準から始まるケースが多いです

株式会社いつもの働き方・福利厚生

勤務形態・休日

  • 勤務体系: 週3日出社・週2日リモートが基本(職種・チームにより異なる)
  • 所定労働時間: フレックスタイム制導入(コアタイム設定あり)
  • 年間休日: 120日前後(土日祝日・年末年始)
  • 有給休暇: 初年度10日〜(消化率は職種による差あり)

ユニークな制度・福利厚生

  • 「働くパパママ応援制度」: 時短勤務・在宅勤務の柔軟な組み合わせが可能。女性の育休・産休取得実績あり
  • 資格取得支援制度: EC関連資格・Amazonやメタのマーケティング認定資格などの受験料・テキスト費を会社が全額サポート
  • 社員のスキルアップ支援: 社内勉強会・EC大学を活用した学習機会を提供
  • 各種社会保険完備(健康・厚生年金・雇用・労災)
  • 健康診断補助

働き方を見る際の注意点

クライアントワーク中心のため、担当案件の繁閑によって残業が発生しやすい職種があります。口コミには「優秀な社員に業務が集中する」「業務量に対して昇給がついてこない」という指摘が複数あります。リモート制度は整備されているものの、クライアントとの打ち合わせやチームの状況によって出社が必要になる場面もあります。「EC業界でとにかくスキルを磨きたい」という成長志向の人には学びが多い環境ですが、ワークライフバランス最優先で選ぶ環境ではありません。

株式会社いつもの社風・カルチャー

一言で表すなら「熱量とスピードを求めるEC専門家集団」

「EC日本一」を目指すという明確な方向性を持ち、変化の速いEC業界のトレンドに常にキャッチアップしながら、クライアントの成果にコミットする文化があります。スタートアップ気質とプロフェッショナルサービスの両方が混在する組織です。

評価される人物像

  • Amazon・楽天などECプラットフォームの最新アルゴリズムや広告仕様を自分でキャッチアップできる人
  • クライアントの売上に対して数字で成果を語れる人
  • 自律的に学び続け、チームナレッジを共有できる人
  • 変化を前向きに捉え、新しい担当案件・サービスラインにも柔軟に対応できる人

表面的なイメージと実態の差

「上場ECコンサル企業」というイメージから高収入・洗練された環境を期待すると、実態とのギャップを感じる可能性があります。現場レベルでは、クライアント案件の細かい対応(商品画像の修正・商品ページのテキスト修正・在庫調整など)も多く、「コンサルタントらしい上流仕事だけ」ではありません。EC運用の泥臭い作業と提案・改善の上流思考を両立できる人が活躍しています。

また2025年3月期の業績悪化が示すように、業界全体の競争激化と収益モデルの変容という構造的な課題を抱えており、今後の方向性については中期経営計画・IR資料で定期的に確認する習慣を持つことが重要です。

株式会社いつもの転職難易度

難易度:中程度(経験・職種によって差あり)

中途採用の現状

ECコンサルタント職は継続的に採用が行われており、初級・中級・上級と経験レベルに応じた求人が並行して出ています。完全未経験からの採用はほぼなく、ECモール運用・デジタルマーケティング・Webコマースなどの実務経験が求められます。

選考で見られるポイント

  • ECモール(特にAmazon・楽天)の実務経験の深さと実績
  • クライアント・顧客に対する成果をKPIで説明できる能力
  • 自律的な学習・情報収集習慣(プラットフォームのアルゴリズム変化への対応力)
  • コミュニケーション力(クライアントとの日常的なやり取りが多いため)
  • 語学力(越境EC部門ではビジネス英語・中国語が加点要素)

難易度を下げる要素

  • Amazon出品者向け広告(Amazon Ads)の運用実績がある
  • 楽天市場の店舗運営・SEO改善の経験がある
  • D2Cブランドのグロース経験がある
  • 越境EC(中国・ASEAN)の実務経験がある
  • データ分析・Webアナリティクスツールの活用経験がある

株式会社いつもに向いている人

1. EC・D2Cの一気通貫スキルを短期間で身につけたい人

同社では戦略立案から実行・物流・海外展開まで幅広く関われるため、「ECのジェネラリスト」として市場価値を高めたい人に最適です。特定モールの運用スキルだけでなく、EC事業を構成する各機能を俯瞰的に理解できる環境は希少です。

2. 数字でクライアントの売上に貢献することに喜びを感じる人

ECは売上・転換率・広告ROASなどKPIが明確に可視化されます。「施策を打って結果が出たときの達成感」を仕事のモチベーションにできる人は、この環境で長続きします。逆に数字のプレッシャーが苦手な人には向きません。

3. 日本のモノづくり・中小メーカーのEC参入を支援したいという志がある人

「日本の未来をECでつくる」というミッションに共鳴し、地方の中小メーカーや日本の優れた製品を世界に届けることに意義を感じる人は、仕事への意欲が持続しやすいです。EC支援の先にある「日本のブランド力向上」という大きなストーリーに乗れる人は活躍できます。

4. 越境ECやアジア市場に関心がある人

英語・中国語などの語学力と、海外ECプラットフォームへの知識・関心を持つ人にとっては、Amazon AGS認定を持つ同社は国内でも数少ない越境EC専門的なキャリア形成ができる環境です。

5. 上場企業の安定感とベンチャー的な成長速度の両方を求める人

完全なスタートアップの「カオス」は避けつつ、成熟した大企業の「ルーティン」にも満足できないという人には、東証グロース上場かつ成長投資を続ける同社はバランスのよい選択肢になり得ます。

株式会社いつもに向いていない人

向いていない人を正直に書くのは、ミスマッチを防ぐためです。

  • EC業界への強い関心・知識がない人: 入社後に自発的にプラットフォームの仕様変化を追う必要があります。EC業界に漠然とした関心だけでは業務についていくのが難しいです
  • 上流のコンサル業務だけをやりたい人: 現場レベルの細かい作業も多く、純粋なコンサルタント業務への期待が高すぎるとギャップを感じます
  • 高い固定給を最初から期待している人: 大手総合コンサルや外資系企業と比較すると、入社直後の給与水準は高くありません
  • 収益面での安定を重視する人: 2025年3月期の大幅減益が示す通り、業績の変動リスクがあります。安定一辺倒の環境を求める人には不向きです
  • 残業ゼロ・業務時間が完全に管理された環境を求める人: クライアントワーク中心のため、案件状況によって残業が発生します

株式会社いつもの選考対策

1. EC・モール運用の実績を数字で整理する

「どのモールで・何の施策を・どれくらいの期間で・どのくらいKPIが改善したか」を具体的な数字とともに語れるよう準備してください。「転換率を何%改善した」「広告ROASを何倍にした」「月商を何万円→何万円に伸ばした」など、数値で成果を語れる準備が必須です。

2. 「なぜEC・なぜいつもなのか」を深掘りする

EC業界への関心の深さと、なぜいつもである必要があるのかを明確に語れるようにしてください。「成長業界」「上場企業」という表面的な理由では不十分です。同社のミッション「日本の未来をECでつくる」への共鳴、自分のこれまでの経験とのつながりを言語化してください。

3. 担当したいサービスラインを明確にする

ECコンサルティング・越境EC・EC物流・D2CブランドM&Aなど、複数のサービスラインがあります。「自分はどの領域でどう貢献したいか」を具体的に語れると、選考担当者への印象が大きく変わります。自社サイト(itsumo365.co.jp)や求人票をしっかり読み込んでください。

4. 最新のEC・プラットフォームトレンドを押さえておく

Amazon広告の最新仕様・楽天のRPP広告変更・越境ECの物流制度など、直近6〜12ヶ月のEC業界トレンドについて話せることが面接での差別化になります。「ECマーケター by 株式会社いつも」というブログも面接前に読んでおくと有効です。

5. クライアントとのコミュニケーション事例を準備する

日常的なクライアントワークが多いため、「困難なクライアント対応をどう乗り越えたか」「信頼関係をどう構築したか」という事例を準備してください。論理的に課題を整理し、相手に合わせて説明できるコミュニケーション力をアピールすることが重要です。

株式会社いつもへの転職で評価されやすい経験

  • Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングの出店・運営代行経験
  • Amazon Ads(スポンサープロダクト・DSP)の運用経験
  • 楽天市場のSEO・RPP広告運用経験
  • D2Cブランドの立ち上げ・グロース経験
  • 越境EC(Amazon Global・天猫・Shopee等)の実務経験
  • ECモールの商品ページ最適化(A+コンテンツ・EBC等)経験
  • ECサイトの在庫管理・フルフィルメント最適化経験
  • デジタル広告(リスティング・SNS広告)の運用経験
  • Web解析ツール(GA4・Looker Studio等)の活用経験
  • 英語・中国語を使った海外クライアント・現地スタッフとの業務経験
  • メーカー営業・BtoB法人営業でのクライアント対応経験

特に評価されやすいのは「Amazonや楽天での実店舗運営代行・広告運用を担当し、クライアントの月商・転換率・ROASなど複数のKPIを同時に改善した経験」です。単一機能の実務経験より、EC事業全体を見渡しながら複数の施策を組み合わせて結果を出した経験が最も評価されます。

まとめ

株式会社いつもは「日本の未来をECでつくる」というミッションのもと、東証グロース上場・14,000件超の支援実績を誇るEC・D2C支援のリーディングカンパニーです。ECコンサルティングから物流・越境ECまでを一気通貫で担える体制と、Amazon AGS認定という希少なグローバル対応力は業界内での競争優位となっています。

一方で、2025年3月期の大幅減益(営業利益▲76.8%)が示すように、業界競争の激化と収益モデルの変化という課題にも直面しており、成長の質を慎重に見極める必要があります。給与水準は業界標準的ではあるものの、業務量との対比で「コスパが低い」と感じる社員が一定数いることも事実です。

転職を検討するなら「EC業界で一気通貫のスキルを短期間で積みたい」「日本のメーカーのEC参入・海外展開を支援したい」という明確な目的意識を持った人に向いています。「ECに漠然と興味がある」「上場企業で安定したい」という程度の動機では、業務の泥臭さとのギャップに悩む可能性があります。

入社前にはIR資料・公式ブログ・採用サイトを徹底的に読み込み、現場の実態を理解したうえで選考に臨んでください。


参照した主な情報源

  • 株式会社いつも 公式サイト(itsumo365.co.jp)
  • いつも IR情報・決算短信(2025年3月期)
  • IRバンク(irbank.net)平均年収・業績推移
  • Yahoo!ファイナンス 企業情報(7694)
  • OpenWork・転職会議(社員口コミ)
  • doda・マイナビ転職・Green(求人情報)
  • ECマーケター by 株式会社いつも(公式ブログ)