株式会社第四北越フィナンシャルグループは、新潟県を基盤とする地方銀行グループの持株会社として、地域経済の中核を担う存在だ。第四銀行(1873年創立)と北越銀行(1878年創立)という新潟県で100年以上の歴史を持つ二つの銀行が統合したことで生まれた同グループは、地域密着と長期的信頼を経営の根幹に置いている。
転職市場において地方銀行は「安定はあるが成長性は?」という問いを持たれることが多い。しかし、群馬銀行との統合という広域展開の動き、デジタル化への投資、証券・リースを含む多角化された金融サービスは、単純な「地方の安定職」というイメージとは乖離している部分がある。銀行業務を基盤にしながら、金融のデジタル変革・地域経済支援・事業承継支援など、変化の多い局面でキャリアを積める環境だ。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | 株式会社第四北越フィナンシャルグループ |
| 設立 | 2018年10月1日 |
| 代表取締役 | グループ代表 |
| 本社所在地 | 新潟県新潟市中央区 |
| 資本金 | 300億円 |
| 従業員数 | 連結約3,900名程度(第四北越銀行単体を中心) |
| 上場区分 | プライム市場(証券コード7327) |
| 連結経常収益 | 約2,602億円(2025年3月期) |
| 平均年収 | 476〜561万円程度(第四北越銀行、推計) |
| 主な事業 | 銀行業・証券業・リース業・クレジット・システム関連・人材紹介等 |
株式会社第四北越フィナンシャルグループは、持株会社として傘下グループ各社を統括する。中核子会社の第四北越銀行は新潟県内で最大の預金量を誇り、企業向け融資・個人向けローン・資産運用・外国為替など総合的な銀行サービスを提供する。
2025年3月期は連結経常収益が前期比33.71%増・純利益が43.46%増という好決算を達成した。金利上昇局面への移行が収益環境を押し上げた面が大きく、今後の中期的な収益性改善への期待が高まっている。また2026年3月に群馬銀行との経営統合に向けた最終合意が発表され、2027年4月に群馬銀が傘下入り予定であることが業界内でも注目されている。
主な事業内容
第四北越フィナンシャルグループは、銀行業務を軸としながら証券・リース・クレジット・システムなど多岐にわたる金融事業を展開するグループ型金融機関だ。
銀行業(第四北越銀行)
グループの根幹をなす事業。新潟県内を中心に130店舗超の営業ネットワークを持ち、預金・貸付・外国為替・資産運用・保険販売など総合的なサービスを提供する。法人向けでは中小企業融資・事業承継支援・M&A仲介・海外進出サポートを、個人向けでは住宅ローン・投資信託・相続関連サービスを柱としている。金利環境の正常化(利上げ局面)が銀行収益に追い風として働いており、安定的な利ざや収益の回復が進んでいる。
証券業(第四北越証券)
第四北越証券は、新潟県内を中心に個人・法人向けの証券サービスを提供するグループ会社だ。株式・投資信託・債券・IPO関連サービスなど幅広い金融商品を取り扱う。銀行窓口との連携による資産運用の総合提案体制を強みとしており、単独の証券会社とは異なる「地域密着×グループ連携」モデルが特徴だ。
リース・クレジット業
グループ傘下のリース会社・クレジット会社を通じて、法人向け設備リース・割賦販売・信用保証などの金融サービスを提供している。地域の中小企業の設備投資ニーズに応えるとともに、グループ全体のクロスセル機能を果たしている。
システム関連業(第四北越ITソリューションズ)
金融業務を支えるシステム開発・運用・保守を担うグループ会社。銀行勘定システムのみならず、法人向けインターネットバンキング、電子決済、セキュリティ対策など、デジタル金融インフラの維持・発展を担う。デジタルバンキングへのシフトに対応するため、システム人材の確保・育成が重要テーマとなっている。
人材紹介・その他事業
グループ内には人材紹介サービスも含まれており、新潟県内の企業の採用課題に対応している。地域経済支援という観点から、事業承継や創業支援なども展開しており、単純な「お金を貸す銀行」を超えた「地域の経営パートナー」としての役割を拡大している。
第四北越フィナンシャルグループの強み
強み1. 新潟県内での圧倒的なリーチ
新潟県内で最大の預金量と店舗網を誇り、県内の個人・法人顧客への浸透度は競合他行を大きく上回る。この地域密着型の顧客基盤は、競合他行や都市銀行が短期間で代替することが難しい「地域の信頼」として機能しており、中長期的な安定収益の源泉になっている。転職者にとっては「地元の主力金融機関で働く」という意味での職場としての信頼感が魅力になる。
強み2. 統合による規模拡大と効率化
2018年の第四・北越統合、さらに2027年予定の群馬銀行統合という二段階の経営統合で、グループ全体の総資産・人材プールは大幅に拡大する見通しだ。規模が大きくなることで、個人ではできなかったような大型融資・複雑な金融スキームへの関与機会が増え、キャリアの幅が広がる可能性がある。
強み3. 金利上昇局面での収益環境改善
2025年3月期に経常収益が約33%増という高成長を達成したのは、金融緩和解除・政策金利引き上げによる利ざや改善が主因だ。ゼロ金利環境の長期化で苦しんできた地方銀行にとって、金利環境の正常化は業績回復のカタリストとなっており、第四北越FGもその恩恵を受けている。入社後の賞与・処遇改善にも間接的にプラスの影響が期待できる局面だ。
強み4. 多角化されたグループ金融サービス
銀行単体ではなく、証券・リース・クレジット・システム・人材紹介を含む15社グループとして機能することで、顧客に一気通貫の金融ソリューションを提供できる。金融のコンサルティング機能を強化したい人材にとって、グループ各社をまたいだクロスセル・紹介業務を通じて総合金融の実務を積める環境が整っている。
強み5. 事業承継・M&A支援への特化
地方経済が直面する最重要課題の一つが「経営者の高齢化と後継者不足」による廃業リスクだ。第四北越銀行はこの課題に対して事業承継・M&A支援を強化しており、銀行員が単なる融資担当を超えてM&Aアドバイザー的な役割を担う機会が増えている。コーポレートファイナンスに関わるキャリアを地方銀行で築ける珍しい環境だ。
強み6. 地域経済への影響力
新潟県最大の銀行グループという立場は、県内産業の資金循環に直接影響を与える存在であることを意味する。官民連携・地域活性化プロジェクトへの参画機会も多く、「地域の経済を動かす仕事」に就きたいという志向を持つ人材にとって、大きな意義を感じられる職場だ。
第四北越フィナンシャルグループの年収事情
地方銀行としては標準的な水準で、都市銀行ほど高くはないが、地域の平均年収を上回る安定した給与体系が特徴だ。
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 窓口・渉外担当(総合職) | 350〜520万円 |
| 銀行法人営業 | 450〜650万円 |
| 銀行個人営業 | 400〜600万円 |
| 融資・審査担当 | 450〜620万円 |
| 本部職(企画・経営管理) | 550〜800万円 |
| 証券個人営業 | 400〜650万円 |
| システムエンジニア(グループIT) | 400〜650万円 |
| 管理職・支店長クラス | 700〜1,100万円 |
給与制度の特徴
年功序列の要素が残りながらも、成果・評価による賞与の差別化が進んでいる。初任給は地域水準で設定されており、新卒での入社から着実にキャリアステップを踏む制度が整っている。支店長・本部部長以上になると年収水準が大きく上がる傾向があり、管理職への昇進タイミングが年収の転換点になりやすい。
年収を見る際の注意点
- 持株会社(第四北越FG)と事業子会社(第四北越銀行)で雇用条件が異なる
- 本部職と現場(営業・窓口)では年収水準に差がある
- 金利環境の改善が2025年度以降の業績・賞与に好影響を及ぼす可能性がある
- 群馬銀行との統合後の人事制度統合が、処遇面に影響する可能性がある
- 転職時の職位認定(参考号俸)は金融機関での経験年数・職歴が大きく影響する
第四北越フィナンシャルグループの働き方・福利厚生
勤務時間・休日
銀行業務の性質上、窓口業務の開始時刻は9時前後に設定されており、営業担当を除いて定時退社が基本に近い文化がある。残業については、OpenWorkの調査では月平均13.2時間程度という数字が出ており、金融業界としては比較的抑制されている。有給休暇消化率は86.0%と高水準で、休暇取得に関しては積極的な組織文化があるといえる。
リモートワーク
銀行業務の特性上、窓口・渉外・店頭業務はリモートワークの適用が限定的だ。本部・システム部門では部分的なリモート導入が進んでいるが、全社的にフルリモートを前提とした環境ではない。ハイブリッド勤務を希望する場合は、具体的に適用可能な職種・部門を選考時に確認することを推奨する。
福利厚生
- 各種社会保険完備
- 企業年金(確定給付型・確定拠出型)
- 持株会制度
- 財形貯蓄制度
- 住宅手当・家族手当
- 育児休業・育児短時間勤務制度
- 介護休業制度
- 各種慶弔休暇・特別休暇
- 保養施設の利用
- 健康診断・人間ドック補助
- 自己啓発支援(資格取得補助・通信教育)
- 銀行員ならではの金融商品・住宅ローンの優遇金利
注意点
地銀特有のこととして、定期的な転勤(主に新潟県内)が発生する可能性がある。特に総合職では支店・部署をまたいだ異動がキャリア形成の一部と位置づけられているため、転勤に対する柔軟性が求められる場合がある。地域限定職(エリア職)制度の有無・条件については採用時に確認することを勧める。
第四北越フィナンシャルグループの社風・カルチャー
一言で表すなら「地域への責任感を軸にした真面目な現場集団」
100年以上の歴史を持つ銀行同士が統合したグループであることから、コンプライアンス・顧客本位・地域貢献を基軸とした保守的・誠実な文化が根底にある。「利益よりも地域・お客様への貢献」という価値観が職員の行動規範に根づいており、派手さより堅実さ・誠実さが評価される職場だ。
統合から8年近くが経過した現在も、第四銀行・北越銀行それぞれの文化的な名残が組織内に存在する面がある一方で、一体化したグループカルチャーの醸成も着実に進んでいる。
評価される人物像
- 地域経済・お客様に対して長期的な視点でコミットできる人
- コンプライアンス意識が高く、誠実さを行動で示せる人
- 法人・個人を問わずコミュニケーション能力に長けた人
- 数字(融資額・資産残高・投信販売額)を意識しながら顧客の最善を考えられる人
- 変化を受け入れつつ、地道に業務を積み上げられる人
表面的なイメージと実態の差
「地方銀行=保守的・変化が少ない」というイメージと実態の差が生まれているのが現在の第四北越FGの状況だ。群馬銀行との統合、金利環境の変化、デジタルバンキングへの投資など、変化のスピードは増している。一方で、大組織であることから変化への対応スピードが必ずしも早くないという現実もある。「安定の中でデジタル・地域金融の変革に関わりたい」という志向と合致する人材には好環境だ。
第四北越フィナンシャルグループの転職難易度
難易度:3級(標準)
地方銀行としての選考難易度は「普通」に近い。金融業界全体の平均倍率(8.0倍)と比較すると採用倍率は5.7倍程度と低めで、競争は激しくない部類に入る。ただし、金融機関らしく人物評価・コンプライアンス意識・入社意欲の強さを重視した選考が行われるため、準備の質が合否を分ける。
理由1. 地域特性と志望動機の一致が重要
「なぜ地方銀行なのか」「なぜ第四北越FGなのか」という問いに対し、新潟・地域経済・地域金融との接点を持った志望動機を語れるかどうかが選考の核心になる。東京の大企業や都市銀行を望む人が妥協で地方銀行を選ぶ印象を与えると、評価が大きく下がる傾向がある。
理由2. 入社意欲の一貫したアピールが必要
内定者レポートによると、最終面接で入社意欲を全面的に示せなかった候補者は合格が難しいとされている。「他の選択肢はどこがありますか」という質問に対しての答え方や、最終面接までの一貫した熱意の表現が合否に影響する。
理由3. 金融機関としての基礎能力確認
SPI等の適性検査に加え、金融に関する基礎的な知識・数字への親しみ・コンプライアンスへの意識を確認する選考が行われる。数学的な素養と金融リテラシーの基礎が問われる場面がある。
第四北越フィナンシャルグループの主な募集職種
銀行業務を中心に、金融サービス全般にわたるポジションが存在する。
- 銀行法人営業
- 銀行個人営業
- 融資・審査担当
- 渉外・個人金融担当
- 証券個人営業
- 社内SE・情報システム担当(グループITソリューションズ)
- IR担当
- 経営企画・経営管理
- リスク管理担当
- コンプライアンス担当
- 採用・人事担当
第四北越フィナンシャルグループに向いている人
タイプ1. 新潟・地域経済に本気でコミットしたい人
地域経済を動かす仕事に就きたい、新潟で長期的に活躍したいという志向を持つ人にとって、第四北越FGは最も大きな影響力を持てる職場だ。地域企業への融資・事業支援を通じて産業の存続・発展に関わるやりがいは、都市銀行では得にくい体験だ。
タイプ2. 法人営業でコンサルティング色の強い仕事をしたい人
中小企業の経営課題に向き合い、融資・M&A・事業承継支援などを通じて「経営パートナー」として関与したい人に向いている。単なる「お金を貸す銀行員」を超えた役割を早期から担える機会が地方銀行にはある。
タイプ3. 金融のデジタル変革に銀行内側から関わりたい人
システム開発・デジタルバンキング・フィンテック連携など、金融のデジタル化にシステム側から関わりたい人は、第四北越ITソリューションズへの転職という選択肢がある。銀行グループの安定した基盤の上でIT人材として活躍できる。
タイプ4. 安定基盤を持ちながら地域でキャリアを深めたい人
大企業の安定感を持ちつつ、地元新潟での生活・キャリア構築を優先したい人に向いている。仕事と生活のバランスを重視し、有給取得率86%・月残業13時間程度という数字が示す働き方を評価する人には好環境だ。
第四北越フィナンシャルグループに向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のため、あらかじめ確認しておきたいポイントを整理する。
- タイプ: 短期間での大幅な年収増を優先する人。地方銀行の給与体系は安定しているが急激な上昇は起きにくい
- タイプ: 東京・都市部でのキャリアを前提にしている人。新潟中心のエリアでの業務が基本になる
- タイプ: フルリモートや場所を選ばない働き方を第一優先にする人。窓口・渉外業務は現地業務が基本
- タイプ: スタートアップ的なスピード・裁量・カルチャーを求める人。大組織の意思決定プロセスと合わない可能性がある
- タイプ: コンプライアンスや規制対応への意識が低い人。金融機関としての規律・コンプライアンス文化は選考段階から厳しく評価される
第四北越フィナンシャルグループの選考対策
1. 「なぜ地方銀行・なぜ第四北越か」を徹底的に言語化する
最重要の準備事項。「地域経済への貢献」「地元新潟での長期キャリア」「中小企業への貢献」など、自分自身の経験・志向と第四北越FGの強みをつなぐ志望動機を複数のエピソードで語れるよう準備する。都市銀行や他の金融機関との比較でなぜ同社なのかを明確にする。
2. 入社意欲を最初から最後まで一貫して示す
選考の全段階で「ここで働きたい」という意欲を一貫して示すことが合否に直結する。最終面接での「第一志望か」という問いへの明確な答え方も事前に準備しておく。
3. 地域経済の課題と金融の役割を理解する
新潟県の産業構造、人口動態、企業の後継者問題、農業・観光・製造業の現状など、地域経済の現状と課題を事前にリサーチしておく。「地域の課題にどう金融でアプローチできるか」を自分なりに語れると、選考担当者に差別化された印象を与えられる。
4. 金融・銀行業務の基礎知識を固める
金融商品(預金・融資・債券・投資信託・外国為替)、銀行の収益モデル(利ざや・手数料)、信用リスク・コンプライアンスの基本を理解した上で選考に臨む。金融未経験者の場合も「なぜ銀行業務に興味を持ったか」を具体的なきっかけとともに語れるよう準備する。
5. 数字・コミュニケーション能力をアピールする
銀行の法人・個人営業では「数字で成果を見せる力」と「お客様との信頼を築くコミュニケーション力」の両方が求められる。過去の職務経験で定量的に示せる成果(売上・件数・改善率など)をまとめておくこと。
6. 群馬銀行との統合に関する考え方を整理する
選考の段階で「統合後のキャリアについてどう考えているか」を問われる可能性がある。統合により業務範囲・キャリアパスが拡大するという前向きな捉え方を準備しておくと好印象につながる。不安を示すより、「変化の中でも貢献できる人材」というメッセージを打ち出すことが重要だ。
第四北越フィナンシャルグループへの転職で評価されやすい経験
- 銀行・信用金庫・保険会社での法人・個人営業経験
- 中小企業向けの融資・審査・与信管理の実務経験
- 事業承継・M&Aアドバイザリーの補助経験
- 金融商品(投資信託・保険・外貨)の販売経験
- 財務諸表の読解・分析能力(簿記2級以上が目安)
- FP(ファイナンシャルプランナー)・証券外務員・宅建など金融関連資格
- 法人顧客への中長期的なリレーションシップ構築の実績
- ITシステム開発・保守の経験(グループIT会社への応募の場合)
- リスク管理・コンプライアンス業務の経験
- 英語での国際業務・貿易金融・外国為替取引の経験
- プロジェクトマネジメントの経験(本部・企画職応募の場合)
- 新潟県や北陸・甲信越地域への深い理解・人脈
特に評価されやすいのは、地銀・信金での中小企業融資・法人営業の実務経験を持ち、地域金融への強い意欲と定量的な成果実績を組み合わせて提示できる人材だ。
まとめ
株式会社第四北越フィナンシャルグループは、新潟県最大の地銀グループとして地域経済の中核を担い、銀行・証券・リース・システムを束ねる15社規模の総合金融グループだ。2025年3月期は金利上昇を背景に大幅増益を達成し、2027年予定の群馬銀行との統合も控えており、規模・収益性の両面で前向きな転換期にある。
年収水準は地方銀行として標準的(第四北越銀行平均476〜561万円程度)だが、有給消化率86%・月残業13時間程度というワークライフバランスの良さと、地域最大の金融機関という安定感が魅力だ。
転職を検討する場合は、新潟・地域経済への具体的な関与志向と入社意欲を明確に示すことが選考を通過する最大のポイントになる。地域金融の変革期に、確固たる基盤を持つ企業で腰を据えてキャリアを積みたい人材には、非常に意義深い選択肢だ。
