アジア航測とは
アジア航測株式会社は、航空写真測量を起点に発展してきた空間情報技術の専門企業です。創業75年以上の歴史の中で、日本の国土地図整備・防災対策・インフラ管理を技術面から支え続けてきた実績があります。
かつては「航空測量御三家」の一角として、パスコ・国際航業と並び称されてきましたが、他2社が非公開化・グループ傘下入りを選んだ中、アジア航測は東証スタンダード市場への上場を維持しています。JR西日本が筆頭株主として名を連ねるなど、インフラ企業との強固な連携関係も特徴の一つです。
転職市場においては、「専門技術を持ちながら安定した環境で長く働きたい」という層に根強い人気があり、平均勤続年数13年超という高定着率がその働きやすさを裏付けています。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | アジア航測株式会社(Asia Air Survey Co., Ltd.) |
| 設立 | 1954年(創業1949年) |
| 本社所在地 | 東京都新宿区西新宿六丁目14番1号 新宿グリーンタワービル |
| 代表者 | 畠山仁(代表取締役社長) |
| 資本金 | 16億7,377万8,000円 |
| 従業員数 | 単体1,379名、連結1,872名 |
| 証券コード | 9233(東証スタンダード市場) |
| 業種 | 空運業(測量・地理情報・建設コンサルタント) |
| 決算期 | 9月30日 |
| 主要株主 | JR西日本(筆頭株主) |
| 平均年収 | 730万円(有価証券報告書ベース) |
| 平均年齢 | 44.0歳 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
主な事業内容
空間情報技術分野
アジア航測の中核事業です。航空機・ドローン・衛星などあらゆるプラットフォームから地上の情報を計測・解析する技術を持ちます。
主要サービス:
- 航空写真測量: 航空機から撮影した写真を用いて地形図・地物図を作成。日本の国土地図整備を長年にわたり支える基幹技術
- 航空レーザ計測(ALS): 航空機搭載のレーザセンサーで地表の三次元データを高精度取得。森林資源調査・防災解析に活用
- 車載型レーザ計測(MMS): 車両に搭載したセンサーで道路・街路の三次元データを高速収集
- ドローン測量: 小型無人機を活用した中小規模地域の効率的な計測
- リモートセンシング・衛星画像解析: 衛星データから農地変化・災害被害状況などを把握
- 赤色立体地図: 同社独自の地形可視化技術。微地形を直感的に把握できるとして国土交通省・都道府県で広く採用
建設コンサルタント分野
空間情報技術で得たデータを活かし、環境・防災・国土整備の計画・設計・評価を行います。
- 環境保全・環境DXコンサルティング: 自然環境調査、環境影響評価(EIA)、生態系保全計画の策定
- 防災コンサルティング: 土砂災害危険箇所調査、浸水想定区域の分析、防災計画立案
- 国土基盤整備: 道路・河川・ダムなどインフラの計画・設計・維持管理支援
情報システム分野
GIS(地理情報システム)を核に、行政・企業向けの業務システムを開発・提供します。
- 行政支援GISシステム(固定資産管理・上下水道管理・道路台帳システム等)
- 電力・通信・鉄道インフラ向け設備管理システム
- 3Dモデリング・デジタルツイン関連サービス
アジア航測の強み
強み1:業界唯一の上場企業として高い透明性
パスコ(セコム傘下で非上場化)・国際航業(非上場化)という「御三家」のうち、東証上場を維持しているのはアジア航測のみです。IR情報の開示義務があるため財務健全性・経営方針の透明性が高く、求職者が事前情報を収集しやすい点は転職検討において大きなメリットです。
強み2:「赤色立体地図」に代表される独自技術力
同社が独自開発した「赤色立体地図」は、地形の陰影をリアルタイムに可視化することで、これまで専門家にしかわからなかった微地形情報を誰もが直感的に理解できるようにした革新的技術です。国土交通省・都道府県の防災部門・ハザードマップ作成など、公的な場面で広く採用されており、技術ブランドとして強固なポジションを確立しています。
強み3:官公庁向け安定受注基盤
売上の過半数を官公庁・地方自治体向けが占める安定した受注構造を持ちます。公共インフラ整備・国土調査・防災対策は、景気に左右されにくい分野であり、民間企業と比べて収益の安定性が高いことが特徴です。
強み4:複数の計測プラットフォームを保有
航空機・ドローン・MMS(車載型)・衛星という複数の計測手段を一社で提供できる体制は国内でも希少です。案件規模・現場条件・精度要件に応じて最適な手段を選択できるため、顧客から一社完結での受注が可能です。これは大きな競合優位性となっています。
強み5:高い人材定着率と「人のアジア」文化
平均勤続年数13年超という数字が示す通り、いったん入社した社員が長く働き続ける環境が整っています。「人のアジア」とも呼ばれる社員重視の組織文化が根付いており、専門家として長期キャリアを積みたい技術者に適した環境です。
強み6:JR西日本との戦略的連携
JR西日本が筆頭株主として名を連ねており、鉄道インフラの計測・管理分野での協業基盤があります。インフラメンテナンス市場の拡大を背景に、今後さらなる連携強化が期待される関係性です。
アジア航測の年収事情
平均年収
アジア航測の平均年収は730万円(有価証券報告書・2025年9月期ベース)。平均年齢44.0歳・平均勤続13.0年のシニア層が厚い組織構造であることを踏まえても、建設コンサルタント・測量業界の中では明確に上位水準です。
転職口コミサイトでは約780万円という参考値も見られ、実態としては報告書数値と大きくかい離しない水準とみられます。
年代別年収レンジ(推計)
| 年代 | 推計年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 約350万〜400万円 |
| 25〜29歳 | 約500万〜550万円 |
| 30〜34歳 | 約600万〜650万円 |
| 35〜39歳 | 約680万〜750万円 |
| 40〜44歳 | 約750万〜850万円 |
| 45〜49歳 | 約850万〜950万円 |
| 50〜59歳 | 約950万〜1,000万円 |
職種別年収目安
| 職種 | 年収目安 |
|---|---|
| 測量技術者(若手) | 400万〜550万円 |
| GISエンジニア | 500万〜700万円 |
| 航空レーザ計測技術者 | 550万〜750万円 |
| 環境コンサルタント | 600万〜800万円 |
| 防災コンサルタント | 600万〜800万円 |
| ITシステムエンジニア | 500万〜700万円 |
| プロジェクトマネージャー | 800万〜1,000万円超 |
賞与は年2回支給。技術力・資格・プロジェクト規模に応じた評価制度が整備されており、実績次第でシニア層では高水準の報酬に到達できます。
アジア航測の働き方・福利厚生
勤務体系・休日
- 完全週休2日制(土曜・日曜)
- 祝日休み
- 年次有給休暇(入社時10日付与、最大20日)
- 夏季休暇・年末年始休暇・リフレッシュ休暇
- 慶弔休暇・産前産後休暇
在宅勤務・フレックス
- テレワーク(在宅勤務)導入済み。職種・プロジェクト状況に応じて取得可能
- 平均残業時間は月40.3時間(管理職・プロジェクト繁忙期は増加する場合あり)
福利厚生
- 独身寮(借上物件)完備
- 転勤者向け借上社宅制度
- 各種社会保険完備(健康・厚生年金・雇用・労災)
- 退職金制度
- 財形貯蓄制度
- 資格取得支援・技術研修制度
- 社員持株会
育児・ライフイベント支援
- 育児休業制度(子ども2歳まで、分割取得可能)
- 産前産後休業制度
- 短時間勤務制度(育児・介護)
- 介護休業制度
勤務地・転勤
東京本社(新宿)のほか、全国各地に支社・営業所を展開しています。プロジェクト型業務のため一定程度の転勤・出張は発生しますが、転勤者向けの社宅制度が整備されており、生活面のサポートも充実しています。
アジア航測の社風・カルチャー
アジア航測を語るうえで外せないのが「技術のアジア」と「人のアジア」という2つのキーワードです。創業以来培ってきた専門技術力を誇りとしながら、社員一人ひとりを大切にする人間重視の文化が根付いています。
技術者としての成長を重んじる文化: 空間情報技術・建設コンサルタント・ITシステムという複数の専門領域をカバーする企業として、技術者が多様なプロジェクトに関わりながらスキルを深めていける環境が整っています。社内横断的なプロジェクトチームも組まれており、異分野の技術者との協働から学びを得やすい組織構造です。
穏やかで安定した職場環境: 転職口コミでは「穏やかな社風」「安定した職場環境」という声が多く見られます。官公庁向け受注が中心のため、民間競争の激しいビジネス環境とは異なり、落ち着いて技術に集中できる環境です。
中途採用者が多数活躍: 社員の半数以上が中途入社というデータがあり、外部からのキャリア採用に積極的な文化があります。入社後のなじみやすさという点では、大手企業にありがちな「新卒至上主義」的な雰囲気は薄いと言えます。
ダイバーシティへの取り組み: 育児休業の取得推進・女性技術者の活躍支援など、多様な人材が働きやすい環境整備を進めています。
アジア航測の転職難易度
難易度:B級(中上級)
アジア航測への転職は、「技術系の専門知識・資格・実務経験」が求められるため、完全未経験からの転身は難しい反面、測量・GIS・建設コンサルタント・環境アセスメント・ITシステムなどの経験者には積極採用の傾向があります。
難易度を構成する要因:
- 測量士・GIS技術者・環境コンサルタント等の専門資格保有者が優遇される
- 技術職はポテンシャル採用より実務経験重視
- ただし、社員の半数以上が中途採用という開かれた採用文化
- 面接は「穏やか」との口コミが多く、過度なプレッシャーはかかりにくい
- 航空測量・レーザ計測など先端技術分野は業界全体で人材不足
狙い目の職種:
- 測量・GIS・リモートセンシング経験者
- 建設コンサルタント(環境・防災)経験者
- インフラ向けシステムエンジニア
- ドローン・UAS関連の技術者(成長分野のため比較的オープン)
アジア航測に向いている人
- 航空・宇宙・地理情報などスケールの大きなフィールドで技術を活かしたい人
- 官公庁・自治体との大型プロジェクトに関わり、社会インフラを支える仕事をしたい人
- 測量士・技術士・GIS資格など専門資格を持ち、それを武器にキャリアを築きたい人
- 長期的に安定した環境で専門性を深めたい人(平均勤続13年以上が示す定着率の高さ)
- 民間企業の短期的な数字プレッシャーよりも、技術的な正確さや社会貢献度を重視したい人
- テレワーク活用や柔軟な働き方を実現しながら、高水準の年収を得たい人
アジア航測に向いていない人
- 短期間で大きな昇進・昇給を狙いたいスピード志向の人(安定企業ゆえキャリアパスは中長期型)
- 営業・マーケティングなど非技術職でのキャリアを希望する人(技術専門集団のため非技術ポジションは限られる)
- 完全未経験から測量・GIS分野に挑戦したい人(実務経験・資格が優遇される採用傾向)
- ベンチャー・スタートアップのようなスピード感や裁量の大きさを求める人
- 転勤・出張を一切避けたい人(プロジェクト型業務の性質上、一定程度は発生する)
- 最新ビジネストレンドや消費者向けサービス開発に関わりたい人
アジア航測の選考対策
戦略1:「技術×社会貢献」の文脈で志望動機を組み立てる
アジア航測の採用担当者が重視するのは「なぜ測量・空間情報技術の分野を選んだか」という根本的な動機です。単なる「安定性」「年収」ではなく、「日本の国土を守る」「防災・減災に貢献したい」「データが社会を変える現場に関わりたい」といった、技術と社会貢献を結びつけた志望動機を準備してください。
戦略2:保有資格を全て棚卸しして整理する
測量士・測量士補・技術士(総合技術監理部門・建設部門等)・RCCM・環境計量士・GIS学術士など、業務に関連する資格は漏れなく記載してください。特に測量士・技術士は採用担当者の目に止まりやすい資格です。勉強中の資格も「取得予定」として記載することで意欲を示せます。
戦略3:航空レーザ・ドローン・GIS等の具体的経験を数字で示す
「測量業務経験あり」という漠然とした記載では不十分です。「航空レーザ計測プロジェクト5件(面積合計XX万ha)」「ドローン測量による農地計測XX件」「GISを用いた自治体地図管理システム構築XX件」など、具体的なプロジェクト規模・件数・成果物を数字で示すことが選考通過のポイントです。
戦略4:官公庁・自治体との業務経験を前面に出す
受注の過半数を官公庁・地方自治体が占める同社にとって、発注者との折衝経験・官公庁案件の進め方への理解・自治体の業務フローへの習熟度は大きな評価ポイントとなります。民間中心のキャリアの場合は、官公庁案件に関わった実績があれば必ず取り上げてください。
戦略5:「赤色立体地図」など同社独自技術への理解を示す
同社の技術力の象徴である「赤色立体地図」について、どのような技術でどう社会に活用されているかを事前に調べてから面接に臨んでください。技術への理解度と入社後の活躍イメージを面接官に示すことができます。
戦略6:長期キャリアのビジョンを語る
平均勤続13年超という数字が示す通り、同社は長く働き続ける人材を求めています。「3年後・5年後・10年後にどんな専門家になりたいか」という具体的な長期キャリアビジョンを準備しておくと、定着意向の高い候補者として評価されます。
アジア航測への転職で評価されやすい経験
以下の経験・スキルを持つ候補者は、アジア航測の選考で特に高く評価される傾向があります。
- 航空写真測量の実務経験(フライト計画・写真管理・空中三角測量等)
- 航空レーザ計測(ALS)・地上レーザ計測(TLS)の計測・解析経験
- 車載型MMS(モービルマッピングシステム)の操作・データ処理経験
- ドローン・UASを用いた測量・点検業務の経験
- GIS(ArcGIS・QGIS等)を用いたデータ分析・システム構築経験
- 衛星リモートセンシング(Landsat・Sentinel等)の画像解析経験
- 環境影響評価(EIA)・自然環境調査の実務経験
- 防災・ハザードマップ関連のコンサルティング経験
- 自治体向けGISシステム・地図管理システムの開発・導入経験
- 国土交通省・国土地理院・都道府県など官公庁との業務受託経験
- 測量士・技術士・RCCM等の専門資格保有
- 3次元点群データの処理・解析スキル(点群処理ソフトの使用経験)
- BIM/CIM関連業務の経験
- プロジェクトマネジメント(複数案件・複数担当者の管理)
まとめ
アジア航測株式会社は、75年以上の歴史と独自技術力を持つ空間情報技術の専門企業です。航空測量業界で唯一の東証スタンダード上場企業として、財務透明性と安定した経営基盤を持ち、平均年収730万円という高水準の報酬を実現しています。
転職先として特に魅力的な点は、以下の3点です。
第一に、社会インフラの根幹を支える専門技術者として、長期的に高い専門性と市場価値を維持できるキャリアパスがあること。第二に、官公庁向け受注中心の安定した事業構造と高い定着率により、腰を据えて技術を磨ける環境が整っていること。第三に、赤色立体地図・ドローン測量・GISシステムなど技術革新の最前線に常にいるため、日々の業務が自身の市場価値向上に直結することです。
測量・GIS・リモートセンシング・建設コンサルタント・環境アセスメント・インフラITシステムなどの経験を持つ技術者であれば、転職先として強く検討する価値のある企業と言えるでしょう。面接は穏やかな雰囲気で行われることが多く、準備をしっかり整えて臨めば十分に勝算があります。専門性を武器に安定高収入を実現したい技術者に、アジア航測は有力な選択肢の一つです。
