「メディアレーダー」「トラミー」という名前をデジタルマーケティング業界で聞いたことがある人は多いだろう。その運営元が、株式会社アイズ(東証グロース・証券コード5242)だ。2007年の創業以来、広告業界とマーケティング領域にフォーカスしたSaaSプラットフォームを複数展開し、2022年に上場を果たした渋谷発のスタートアップである。
同社の事業モデルは「業界特化型のマッチングプラットフォーム」だ。広告主・代理店と媒体社を直接つなぐ「メディアレーダー」、一般消費者がSNSでクチコミを発信するインセンティブを提供する「トラミー」など、広告・マーケティングの流通を効率化するサービスを複数持つ。
転職市場では、平均年齢28歳という若い組織文化と、デジタルマーケティングの実案件に携われる環境が評価されている。本記事では、転職検討者が知りたい事業内容・強み・年収・選考対策を転職エージェント視点で詳しく解説する。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社アイズ(英文:EYEZ, INC.) |
| 設立 | 2007年2月14日 |
| 代表取締役 | 福島 範幸 |
| 本社 | 東京都渋谷区渋谷3-12-22 渋谷プレステージ7F |
| 従業員数 | 71名(単体・2025年実績) |
| 上場区分 | 東証グロース市場(証券コード:5242) |
| 決算期 | 12月末日 |
| 売上高 | 約9億7,000万円(2025年12月期) |
| 平均年収 | 約450万円(2025年実績) |
| 平均年齢 | 28.0歳 |
| 平均勤続年数 | 3.3年 |
| 事業内容 | マッチングプラットフォーム事業(メディアレーダー・トラミー等) |
株式会社アイズは代表の福島範幸氏が2007年に創業した広告・マーケティング特化のプラットフォーム企業だ。大日本印刷での経験を経て起業した福島氏は、広告業界の非効率な資料請求・媒体選定フローに着目し、「メディアレーダー」の原型を開発した。
現在は渋谷のプレステージビルに本社を構え、71名の体制でマッチングプラットフォーム事業を展開する。年売上は約10億円規模と小ぶりだが、月次課金型のSaaSモデルで安定した収益基盤を持ち、2026年12月期は約10億8,000万円の売上回復を見込んでいる。
主な事業内容
株式会社アイズはマッチングプラットフォーム事業を中心に複数のSaaS/プラットフォームサービスを展開している。いずれも「情報の非対称性を解消する」という共通のコンセプトに基づいて設計されている。
メディアレーダー事業
創業事業であり、同社の収益の中核を担う最主力サービスだ。「メディアレーダー」は広告媒体資料・マーケティング資料の専門ポータルサイトで、広告主や代理店が媒体情報を一括収集・比較できるプラットフォームとして業界内での認知度が高い。
媒体社は自社の広告商品・媒体資料をメディアレーダーに掲載することで見込み顧客である広告主・代理店にリーチでき、広告主側は複数の媒体情報を効率よく比較検討できる。月次課金モデルによる安定収益が特徴で、広告業界における「業界標準インフラ」的なポジションを確立しつつある。
トラミー事業
クチコミ・インフルエンサーマーケティングに特化したプラットフォーム「トラミー」は、企業が自社商品・サービスを一般消費者(会員)に体験してもらい、SNSやブログでのクチコミを促進する仕組みを提供する。UGC(ユーザー生成コンテンツ)マーケティングの需要拡大を背景に成長しており、特にコスメ・食品・日用品メーカーからの採用が多い。
インフルエンサーとブランドをつなぐ「タレマ」も展開しており、クチコミからインフルエンサーマーケティングまでUGCの幅広い領域をカバーする体制を整えている。
その他プラットフォーム事業
ファクタリング(売掛金早期現金化)サービスのマッチングプラットフォーム「ファクログ」を展開し、広告・マーケティング以外の業界へと事業領域を拡張している。また、コスメ特化のクチコミサイト「コスメビ」も運営し、美容分野でのUGCマーケティングを専門的に支援している。
株式会社アイズの強み
強み1. 広告業界のインフラとして定着したメディアレーダー
メディアレーダーは媒体資料ポータルというニッチな領域で、国内最大規模のデータベースを保有している。広告業界では「媒体情報を調べるならメディアレーダー」という認知が定着しており、この業界標準としてのポジションは容易に覆せない競合優位だ。
転職者の観点では、「業界に根ざしたサービスの運営」に携われる点が評価される。広告業界経験者であれば顧客感覚をそのまま活かせる環境であり、キャリアの棚卸しと直結しやすい。
強み2. 月次課金型のSaaSモデルによる収益の安定性
広告代理店やメーカーが月次契約で利用するSaaSビジネスは、景気変動に強い安定収益モデルだ。単発案件依存の受託企業と比較して、売上予測が立てやすく、中長期の事業計画が実行しやすい。
従業員にとっては、会社の財務安定性がそのまま雇用の安定につながるという安心感がある。スタートアップながらSaaSの収益基盤を持つ点は、リスクを取りつつも一定の安定を求める転職者に訴求する。
強み3. 若い組織文化とスピーディな意思決定
平均年齢28歳という若さは、単なる数字以上の意味を持つ。フラットな組織文化で、年次よりも成果が評価されやすく、若手でも大きな案件・プロジェクトを任されやすい環境だ。
大企業に多い「稟議・根回し」の文化が少なく、施策の立案から実行までのスピードが速い。デジタルマーケティングの変化スピードに合わせた意思決定ができる組織であることは、この業界で働く人材にとって大きな魅力となる。
強み4. 複数プラットフォームの横断経験
メディアレーダー・トラミー・ファクログなど複数のプラットフォームサービスを同じ組織内に持つため、担当者は異なるビジネスモデル・顧客群の経験を同時に積める環境だ。
BtoB(メディアレーダー)とBtoBtoC(トラミー)の両方の知見を持てることは、転職後のキャリア幅を広げる上で大きなアドバンテージとなる。「1つのサービスしか知らない」というリスクを分散できる点で、人材としての市場価値向上につながりやすい。
強み5. 渋谷という立地と少数精鋭の働き方
渋谷プレステージという好立地の本社は、IT・マーケティング業界のコア人材が集まるエリアに位置する。デジタルマーケティング業界での人脈形成や情報収集においてプラスに働く。
71名という規模は、「大きすぎず小さすぎない」少数精鋭のバランスが取れており、自分の仕事が事業に与える影響を実感しやすい。名前のない歯車になる感覚ではなく、「自分がこのサービスを動かしている」という手応えを得やすい職場環境だ。
株式会社アイズの年収事情
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 営業(インサイドセールス) | 350〜500万円 |
| 営業(フィールドセールス) | 400〜580万円 |
| カスタマーサクセス | 380〜520万円 |
| プロダクトマネージャー | 450〜650万円 |
| エンジニア(バックエンド) | 450〜650万円 |
| エンジニア(フロントエンド) | 420〜600万円 |
| マーケター | 400〜560万円 |
| コーポレート(経理・人事) | 380〜520万円 |
給与制度の特徴
同社は年次ではなく実績・成果による評価を重視した給与体系を採用している。特に営業職は固定給+インセンティブの構成が一般的で、MQL(マーケティング適格リード)獲得件数や受注金額に応じたインセンティブが設定されているケースが多い。
評価サイクルは年1〜2回で、上期・下期の目標達成率に連動した昇給・賞与が決定される仕組みだ。株式上場企業としてストックオプション制度も一部設けており、中長期在籍者には報酬以上の資産形成機会も存在する。
年収を見る際の注意点
- 平均年収は約450万円と業界水準並みだが、若手比率が高いためベテランは相場以上になることも
- インセンティブ比率は職種・ポジションによって大きく異なる
- 賞与は業績連動のため、単年の会社業績に左右される
- 大企業のような家賃補助・持株会・退職金制度は期待しにくい
- 年収だけで判断せず、スキル習得速度・成長機会の総合評価が重要
株式会社アイズの働き方・福利厚生
勤務体系・時間 渋谷本社でのオフィスワークを基本としつつ、職種によってリモートワークを組み合わせる形が一般的だ。コアタイムを設けたフレックス制を採用しており、個人の業務スタイルに応じた働き方がある程度可能。残業は職種・時期によって異なるが、月20〜30時間程度の水準とされている。
休日・休暇 土日祝日休み(年間休日120日以上)、年次有給休暇(10〜20日)、特別休暇(慶弔・育児・介護)制度を整備。比較的取得しやすい環境とされている。
リモートワーク ハイブリッド勤務を基本としているが、顧客対応や社内連携の観点から、週数回の出社が求められるケースが多い。フルリモートは職種・状況に依存する。
福利厚生
- 各種社会保険完備(健康・厚生年金・雇用・労災)
- 交通費支給
- 書籍・資格取得支援
- 社内勉強会・スキルアップ支援
- 健康診断(年1回)
- 産前産後・育児休業制度
- フレックスタイム制
- 副業相談可(一部条件あり)
- ストックオプション制度(対象者あり)
- 社内イベント・チームビルディング活動
注意点 大企業のような充実した保養施設・社食・持株会などは期待しにくい。福利厚生の多様性より、業務を通じたスキル形成に価値を感じる人材向けの環境だ。
株式会社アイズの社風・カルチャー
一言で表すなら「スピード重視の実験組織」
社内では「まず試してみる」という文化が浸透している。マーケティング施策・プロダクト改善・営業手法いずれも、小さく試して素早くデータで判断するサイクルが基本だ。平均年齢28歳という若い組織だからこそ実現できる機動性が、文化の根幹にある。
代表の福島氏はエンジニア出身ではなく事業家タイプのリーダーであり、顧客課題の解決を最優先に考える事業推進型の文化が組織に浸透している。数字に基づいた意思決定と、チャレンジへの寛容さがバランスよく共存している点が特徴だ。
評価される人物像
- 目標に対して自律的に動き、PDCAを高速で回せる人材
- デジタルマーケティング・広告業界に純粋な関心を持つ人
- 数字(KPI)で自分の成果を語れる人
- チームワークを大切にしながら個人としての成果も出せる人
表面的なイメージと実態の差
「平均年齢28歳=ゆるい職場」というイメージを持つと実態とズレる可能性がある。若い分だけ成長を求められる圧力は強く、目標に対して真摯に向き合う文化がある。「楽に働きたい」という動機では早期離職につながりやすい。
一方で「裁量が大きくてやりがいを感じる」「成果を出せばきちんと評価される」という声も多く、実力主義を好む若手人材には魅力的な環境だ。
株式会社アイズの転職難易度
難易度:2級(普通〜やや低め)
スタートアップとして成長段階にある企業であり、ポテンシャルと業界適性を重視した採用姿勢が特徴だ。即戦力のスペックよりも「この会社で成長できる人材かどうか」を重視する傾向があり、総じて門戸は広い。一方、カルチャーフィットの評価は厳しく、意欲・志向が合わないと判断されれば経歴が良くても落選するケースがある。
理由1. ポテンシャル採用の割合が高い
年齢構成が若いため、経験よりもポテンシャルと成長意欲を見た採用が多い。広告・マーケティング業界での実務経験があれば、職種転換での応募も歓迎されやすい。
理由2. 採用規模が限られる
71名規模の小さな組織であるため、年間採用数は多くない。タイミングによっては狙ったポジションが空いていないこともあり、エージェント経由での情報収集と早めのアクションが有効だ。
理由3. カルチャーフィット重視
面接では「なぜアイズなのか」「このサービスを使ったことがあるか」「デジタルマーケティングへの興味」が深く掘り下げられる。スペック重視よりも、会社・サービスへの共感が選考を左右するという傾向がある。
株式会社アイズに向いている人
タイプ1. デジタルマーケティングを軸にキャリアを積みたい人
メディアレーダー・トラミーいずれも、実際のデジタルマーケティング実務に深く関わるプラットフォームだ。広告・マーケティングを自分のキャリアの中心に据えたい人にとって、最前線の実案件が集まる環境は大きな学習機会となる。
タイプ2. BtoBのSaaSビジネスを経験したい若手
SaaS企業での営業・カスタマーサクセス経験は現在の転職市場で高く評価される。アイズは上場SaaS企業として体系的な営業プロセスを持っており、若手がSaaS営業を学ぶ環境として適している。
タイプ3. 広告業界・媒体社からのキャリアチェンジ
媒体社・代理店での経験を持ちながら、テクノロジーやプラットフォームビジネスに軸足を移したい人には、業界知識をそのまま活かせる環境だ。顧客の気持ちがわかる営業・CSとして即戦力になれる可能性が高い。
タイプ4. 若い組織文化でスピード感を求める人
大企業の縦割り・稟議文化に息苦しさを感じ、よりスピーディに施策を動かしたい人に向いている。自分のアイデアが素早く実行される環境を望む人は、アイズの文化にフィットしやすい。
タイプ5. 渋谷・東京都心での勤務を希望する人
渋谷という立地は、デジタルマーケティング・スタートアップ業界の情報が集まる場所だ。勤務地の利便性と業界ネットワーク構築を両立したい人には好条件が揃っている。
株式会社アイズに向いていない人
批判ではなく、ミスマッチを防ぐための正直な整理として読んでほしい。
タイプ: 以下のような特性を持つ人はミスマッチが生じやすい
- 充実した福利厚生・安定した大企業的な環境を求める人(小規模SaaSの制約がある)
- 技術開発・エンジニアリングを主軸にキャリアを築きたい人(事業中心の組織であり、ハイレベルなエンジニア文化とは異なる)
- デジタルマーケティング・広告業界への興味がない人(サービスの理解なしに活躍するのが難しい)
- 安定した年収上昇を求め、成果連動を嫌う人(インセンティブ型の評価が合わない可能性)
- 長期的な企業ブランドを重視するスタートアップ慎重派(まだ成長途上の規模感)
株式会社アイズの選考対策
1. メディアレーダー・トラミーを実際に使ってみる
書類・面接前に主力サービスを体験しておくことは基本中の基本だ。「なぜこのサービスが業界で使われているのか」「自分だったらどう改善するか」という観点を持てると、面接での会話に深みが出る。
2. デジタルマーケティングへの学習姿勢を示す
業界知識の浅さは事前学習でカバーできる。デジタル広告の基礎(ディスプレイ・SNS・インフルエンサー等)、UGCマーケティングのトレンドを事前に整理し、面接で積極的な関心を示すことが重要だ。
3. 数字で語る自己PR
「〇〇をした」ではなく「〇〇の結果、△△%改善した」という数字ベースの実績をまとめておく。KPIドリブンな文化を持つ企業だけに、定量的な成果表現は面接評価に直結する。
4. 「なぜアイズか」を具体的に言語化する
「成長環境があるから」「若い会社だから」という漠然とした志望理由は通用しない。メディアレーダーの市場ポジション・トラミーのUGCマーケティング事業に具体的に言及し、「自分のキャリアとどう結びつくか」を語れる準備をする。
5. チームプレイヤーとしての側面を伝える
少数精鋭の組織では、個人の業績だけでなくチームへの貢献が重視される。前職での「チームを巻き込んで成果を出したエピソード」を具体的に準備しておきたい。
6. 長期的なビジョンを示す
スタートアップは採用コストが大きいため、「すぐ辞めそう」な候補者は選考落ちしやすい。「アイズで3〜5年かけて何を実現したいか」という中長期のキャリアビジョンを語れると評価が上がる。
株式会社アイズへの転職で評価されやすい経験
- デジタル広告の営業・プランニング経験(代理店・媒体社問わず)
- SaaS企業での営業・カスタマーサクセス経験
- BtoBマーケティングの実務経験(リード獲得・コンテンツマーケ・SEO等)
- クチコミ・インフルエンサーマーケティングの企画・運用経験
- 媒体資料・広告資料の作成・提案経験
- Webサービスのグロースハック経験(KPI設計・改善サイクル)
- 少人数スタートアップでのプロジェクト推進経験
- 広告業界向けのシステム・ツール提案・導入経験
- データ分析(GA4・TableauなどのBIツール)の実務経験
- EC・コスメ・食品メーカーでのマーケティング経験
- SNS(Instagram・TikTok・X等)の運用・分析経験
「特に評価されやすいのは、広告代理店または媒体社でのBtoB営業経験者と、SaaS企業のカスタマーサクセス経験者だ。」 業界知識と顧客折衝の両方を持つ人材は、即戦力として採用される可能性が高く、年収交渉でも有利に動きやすい。
まとめ
株式会社アイズは、広告業界とデジタルマーケティングに特化したマッチングプラットフォームを複数展開する、東証グロース上場の成長企業だ。メディアレーダーという業界標準プラットフォームを持ち、SaaS型の安定収益基盤を確立しながら、次の成長ドライバーとしてトラミー・ファクログなど事業の多角化を進めている。
転職者にとっての最大の魅力は「広告・マーケティングを軸にしたSaaSビジネスの実務が積める」点だ。デジタルマーケティングの知識・スキルは現在の転職市場で引き続き需要が高く、アイズでの経験は次のキャリアステップの土台として機能しやすい。
平均年齢28歳という若い組織文化と少数精鋭の環境は、成長スピードと裁量の大きさを同時に求める人材にとって理想的な舞台だ。大企業の手厚い安定を求める人には合わないが、「自分でサービスを動かしている手応えを感じながらキャリアを伸ばしたい」という人には、現在の日本の転職市場でも数少ない実践的な環境だといえる。
転職を検討している方は、まずメディアレーダーとトラミーを実際に使い、「このプラットフォームが自分のキャリアとどう接点があるか」を考えるところから始めてみてほしい。その問いに自分なりの答えが出た瞬間、志望動機は自然と生まれてくる。
