MRT株式会社は、医師・コメディカル人材の紹介事業を基盤としながら、デジタルヘルスケアへと事業を拡張し続けている企業です。「医療をもっと良くしたい」という理念のもと、医師の働き方改革や地域医療格差の解消に技術で挑む姿勢が、業界内での独自の評価につながっています。
転職を検討する際に重要なのは、同社が「人材紹介会社」と「ヘルスケクテック企業」の両面を持つ点です。どちらの側面を軸にキャリアを描くかによって、入社後の成長経路は大きく異なります。以下では企業の実態を多角的に分解していきます。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | MRT株式会社(MRT Inc.) |
| 設立 | 2000年1月26日 |
| 代表取締役社長 | 小川 智也(医師) |
| 本社所在地 | 東京都渋谷区神南1-18-2 フレーム神南坂3階 |
| 資本金 | 5億4,056万円(2024年12月末時点) |
| 従業員数 | 連結307名(単体238名、2024年12月末時点) |
| 上場区分 | 東証グロース市場(証券コード:6034) |
| 売上高 | 約54億円(2024年12月期連結) |
| 平均年収 | 約450万円程度(2024年時点推計) |
| 平均年齢 | 32.7歳 |
| 事業内容 | 医師・コメディカル人材紹介、デジタルヘルスケア事業 |
同社は医師である代表取締役・小川智也氏が経営を率いており、医療現場の知見が直接経営戦略に反映される体制が特徴です。創業から20年以上にわたり医療人材市場で実績を積んだことで、医療機関側からの信頼を厚く得ています。
グロース市場上場企業として、売上規模は大手人材紹介会社と比べると小規模ですが、医療特化の専門性と多角的なヘルスケアサービスにより差別化を図っています。
主な事業内容
MRT株式会社の事業は大きく「人材紹介事業」と「デジタルヘルスケア事業」に分類されます。医療という高度に専門化された市場に向けた複数のサービスラインを持ち、医師・患者・医療機関をつなぐプラットフォームとしての役割を担っています。
医師やコメディカルの人材紹介が収益の中核ですが、近年はデジタル・ヘルスケア関連の事業拡大にも注力しており、中長期的な収益多様化を目指しています。
医師人材紹介事業
医師の非常勤・常勤転職支援を行う「外勤(非常勤)」「キャリア(常勤転職)」の2サービスが主力です。全国の医療機関と登録医師をマッチングし、業界トップクラスの紹介実績を持ちます。医師の働き方改革(2024年4月施行)の流れを受け、勤務形態の柔軟化ニーズが高まっており、同社へのニーズは引き続き高い状況です。
コメディカル人材紹介事業
看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師など医師以外の医療従事者(コメディカル)向けの人材紹介サービスを展開しています。医療機関のスタッフ不足は全国的な課題であり、専門性の高いコーディネーターが求職者と医療機関の橋渡しを担います。
デジタルヘルスケア事業
オンライン診療アプリ「ポケットドクター」、医師向けコミュニティアプリ「Door.」、産業医支援サービス「Dr.CHECK」を中心に、テクノロジーを活用したヘルスケアサービスを提供しています。診療報酬ファクタリングや医療機器クラウド管理など、医療機関の経営支援領域にも進出しています。
医療機関採用支援(Re:ray)
医療機関向けの採用代行サービス「Re:ray」では、採用計画の立案から求人掲載・面接調整・内定後フォローまでをワンストップで支援します。医療機関が本来業務に集中できるよう、採用業務を外部委託する需要に応えています。
産業医・健康経営支援(Dr.CHECK)
企業の健康経営を支援する産業医紹介・健康リスク判定サービスです。産業医の配置義務がある企業へのマッチングから、健康相談・面談のデジタル化まで一貫してサポートします。コロナ禍以降の健康経営意識の高まりにより、引き合いが増加している領域です。
MRT株式会社の強み
強み1. 医師ネットワークの厚み
MRTが20年以上かけて構築した医師ネットワークは、競合他社が短期間で模倣できる資産ではありません。非常勤・常勤ともに「業界トップクラスの紹介実績」を公言できる水準の登録医師数と求人数を保有しており、医療機関側にとっても「まずMRTに相談する」という信頼関係が成立しています。転職者にとっては、希少な求人情報へのアクセスが期待できるという意味でも強みです。
強み2. 医師免許保有者が経営トップという信頼性
代表の小川智也氏が現役の医師免許保有者であることは、医療業界内でのブランド価値に直結しています。医療機関・登録医師ともに「現場を知っている経営者がいる会社」への安心感は高く、同社の営業担当が医療機関を訪問する際も話を聞いてもらいやすい環境があります。この強みは社員にとっても「医療への本気度が高い会社で働いている」というモチベーションの源泉になっています。
強み3. デジタルヘルスケアへの先行投資
「ポケットドクター」に代表されるオンライン診療アプリへの投資は、医療×テクノロジーの融合を早期から実践してきた証です。人材紹介だけに依存しない収益構造への転換を進めており、ヘルスケクテック企業としての評価が高まっています。エンジニア・プロダクトマネージャーとしてのキャリアを医療業界で積みたい人にとって、希少な環境が整っています。
強み4. 若い組織と裁量の大きさ
平均年齢32.7歳という若い組織は、ベンチャー志向の転職者にとって魅力です。グロース市場上場企業ならではのスピード感があり、新規事業の立ち上げや既存サービスの改善提案が通りやすい文化があるとされています。大企業では数年かかるような意思決定が、比較的短いサイクルで実現できる可能性があります。
強み5. 医療2024年問題という追い風
2024年4月に施行された医師の働き方改革(時間外労働の上限規制)は、医療機関が医師の採用・配置を見直す大きな契機となっています。特に非常勤医師の活用や医師のシフト管理最適化ニーズが高まっており、MRTが中核事業とする非常勤医師紹介の需要拡大が期待されます。この市場環境の変化は、中長期的な業績回復の追い風となる可能性があります。
強み6. 医療機関経営支援という周辺事業の広がり
診療報酬ファクタリング、開業支援、医療機器クラウド管理など、医師人材紹介から派生した周辺サービスを複数持っています。医療機関のあらゆる経営課題にワンストップで対応できる体制を構築しており、既存顧客との関係深化(クロスセル)によってLTV向上が期待できるビジネスモデルです。
MRT株式会社の年収事情
職種別の想定年収レンジ
| 職種 | 想定年収レンジ |
|---|---|
| 営業(医師コーディネーター) | 350〜550万円 |
| 営業(コメディカルコーディネーター) | 330〜500万円 |
| マーケティング | 380〜580万円 |
| プロダクトマネージャー | 500〜750万円 |
| エンジニア(Webアプリ) | 450〜700万円 |
| 管理部門(人事・経理) | 350〜520万円 |
| マネージャー・チームリーダー | 550〜800万円 |
※上記は公開情報・口コミデータ等をもとにした推計レンジです。実際の年収は経験・スキル・評価等により異なります。
給与制度の特徴
同社はグロース市場上場の成長企業であり、基本給+インセンティブ型の報酬体系を採用しているとされています。特に医師コーディネーター職では成約報酬が反映されるため、高いパフォーマンスを上げた場合の上振れ余地があります。一方でベースラインは業界平均と比べると高くない水準であるため、固定給を重視する方は慎重に確認が必要です。
年収を見る際の注意点
- 平均年収450万円程度はあくまで単体・推計値。連結だと構成が変わる可能性がある
- 医師コーディネーター職はインセンティブ次第で年収幅が大きい
- グロース市場上場企業のため、ストックオプション等の株式報酬の有無も確認すること
- 入社時の給与水準より、2〜3年後の昇給・評価制度の透明性を選考で確認することが重要
MRT株式会社の働き方・福利厚生
MRT株式会社はフレキシブルな働き方を推進しており、若い組織ならではのフラットなコミュニケーション文化があるとされています。
勤務時間・休日
- 所定労働時間:8時間(休憩1時間)
- 週休2日制(土・日)、祝日休み
- 年間休日:120日程度
リモートワーク・働き方
- ハイブリッド勤務(出社とリモートの組み合わせ)
- 営業職は顧客訪問があるため一定の出社あり
- 医師コーディネーターは電話・オンライン対応中心でリモート比率高め
主な福利厚生
- 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 交通費全額支給
- 健康診断(年1回)
- 慶弔見舞金制度
- 育児休業・介護休業制度
- 産前産後休業制度
- 有給休暇(入社半年後から付与)
- 研修・学習支援制度
- 資格取得支援
- インフルエンザ予防接種補助
- 社員懇親会・チームイベント支援
注意点
グロース市場上場のベンチャー企業であるため、大企業と比較すると制度面・施設面の充実度は限定的です。育休・時短制度は整備されていますが、実際の取得率や職場文化については選考過程で確認することを推奨します。
MRT株式会社の社風・カルチャー
一言で表すなら「医療に本気な若手集団」
MRT株式会社のカルチャーを一言で表すならば「医療に本気な若手集団」です。医師である代表のもとで、医療をより良くするという目標に向け様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。ベンチャーらしい機動力と、医療業界の専門性への敬意が共存する文化です。
平均年齢が32.7歳と若く、各部門のリーダーも30代が中心とされています。階層が少なく、自分のアイデアを上申しやすい環境がある一方、制度やプロセスが整備途上という側面もあります。
評価される人物像
- 医療・ヘルスケア業界に強い関心と当事者意識を持つ人
- 数字へのコミットメントと、顧客(医師・医療機関)への誠実さを両立できる人
- 変化を楽しみ、自ら課題設定できるプロアクティブな行動様式を持つ人
- 不確実性の高い環境でも前向きに動き続けられる人
表面的なイメージと実態の差
「医療系の堅い会社」と思われがちですが、実態はスタートアップ・ベンチャーに近い組織文化です。業務プロセスが未整備な部分も多く、自分で仕組みを作ることが求められる場面があります。一方で、整備されていない分だけ「自分がこの会社を作る」という感覚で仕事ができるため、主体性のある人には高い満足度につながりやすいでしょう。
MRT株式会社の転職難易度
難易度:3級(5段階中)
医療業界の知識・経験がある方は比較的入りやすい水準ですが、未経験者がコーディネーター職に就くには競争があります。エンジニア・プロダクト職は市場全体の需要が高いため、採用ハードルは相応にあります。
MRT株式会社は積極採用フェーズを継続しており、医療業界志望の転職者にとっては挑戦しやすい企業の一つです。ただし、「医療に関わる仕事への本気度」が見られる傾向があり、志望理由の深さが合否に影響します。
理由1. 医療業界への関心・熱量が重視される
選考では「なぜ医療業界か」「なぜMRTか」への深い答えを求められる傾向があります。医療政策・業界トレンドへの理解が浅いと厳しい評価となります。一方で、医療従事者の家族がいる・医療体験が転機になったなど、個人的な接点から説得力ある志望動機を語れる方は評価されやすいです。
理由2. コーディネーター職は未経験者採用あり
医師や看護師に接する営業職(コーディネーター)については、医療業界未経験でも採用される実績があります。人材紹介業・サービス業での営業経験があれば親和性が高く、ポテンシャル採用の枠が一定数存在します。
理由3. エンジニア・プロダクト職は市場標準のスキルが必要
デジタルヘルスケア事業の拡大に伴いエンジニアの採用を強化していますが、求められるスキルは市場標準です。「医療×テック」という希少なキャリアに価値を置く方にとっては魅力的な転職先である一方、待遇は大手テック企業と比べると控えめな傾向があります。
MRT株式会社に向いている人
タイプ1:医療業界でビジネスキャリアを積みたい人
医師・看護師ではないが医療に関わる仕事がしたいという方に最適なポジションが多くあります。医療機関を相手にした営業・コンサルタント職として専門性を高めながらキャリアを構築できます。
タイプ2:ベンチャーらしい裁量と成長環境を求める人
大企業の安定よりも、スピード感と挑戦機会を優先したい方にとって、グロース上場・若い組織のMRTは魅力的な環境です。20代・30代前半でマネジメント経験を積みたい方にも向いています。
タイプ3:デジタルヘルスケアの第一線で働きたいエンジニア
医療×テクノロジーというニッチかつ成長領域でプロダクト開発に携わりたいエンジニアには、「ポケットドクター」等のプロダクト開発経験を積める貴重なフィールドです。
タイプ4:人材紹介業でMRRやエンゲージメントを高めたい経験者
既に人材紹介業で経験を積んでいる方が「より専門性の高い領域」を求めて転職するケースがあります。医師・コメディカルという高度専門職の紹介は、キャリアの希少性を高める転職先として有効です。
タイプ5:社会課題解決型の仕事に意義を感じる人
地域医療格差・医師不足・医療機関の人手不足という社会課題に直接関わる仕事に従事できます。「仕事の意義」を重視するミッション志向の方は、日々の業務に高いモチベーションを保ちやすい環境です。
MRT株式会社に向いていない人
批判ではなくミスマッチ防止のため、以下に当てはまる方は入社後にギャップを感じる可能性があります。
- タイプ:安定志向・大企業文化が合う人 — 制度・福利厚生の手厚さや組織の安定感を最優先にする場合、グロース上場ベンチャーとのギャップが生じやすい
- タイプ:医療に特段の関心がない人 — 医療への熱意が評価基準として重視されるため、「たまたま応募した」という姿勢では選考通過・入社後の活躍ともに難しい
- タイプ:高年収を最優先にする人 — 平均年収は業界平均的な水準。大手人材紹介会社や外資系と比較すると基本給は控えめ
- タイプ:完成された仕組みの中で働きたい人 — 業務プロセスが整備途上な部分があり、自分で仕組みを作ることが求められる場面が多い
- タイプ:テレワーク完全固定を希望する人 — 営業職は医療機関訪問が発生するため、完全リモートは難しい
MRT株式会社の選考対策
1. 医療業界の基礎知識を押さえる
医師の働き方改革(2024年施行)、地域医療格差、診療報酬改定など医療業界の主要テーマを事前にインプットしてください。「業界をどう見ているか」を面接で聞かれることが多く、浅い理解では苦しいです。MRTのIR資料・プレスリリース・公式ブログを事前に読み込んでおくことを強く推奨します。
2. MRT固有のサービスを深く理解する
「ポケットドクター」「Dr.CHECK」「Re:ray」など各サービスの目的・対象顧客・ビジネスモデルを把握しておきましょう。「なぜこのサービスが医療に必要か」を自分の言葉で語れる準備をしてください。単なる製品説明の暗記ではなく、自分なりの考察を加えることで差別化できます。
3. 「医療への関心のきっかけ」を言語化する
「なぜ医療業界か」「なぜMRTか」への答えは、面接で最も重要なポイントです。自身の医療体験・家族・社会的使命感など、個人的なバックグラウンドと結びつけた志望動機を準備してください。取ってつけたような理由では通りません。
4. 人材紹介・コーディネーター職の適性を示す
コーディネーター職への応募であれば、過去の「人と人をつなぐ」「相手のニーズを引き出す」「信頼関係を構築した」経験を具体的なエピソードで準備してください。数値実績(商談数・成約率・顧客満足度等)があれば積極的に活用しましょう。
5. ベンチャー環境への適性を示す
「曖昧な状況でも自走できた経験」「制度がない中で仕組みを作った経験」「スピード感を持って仕事を進めた経験」などを準備してください。大企業での経験しかない場合は、それをベンチャー環境でどう活かすかを言語化することが重要です。
6. エンジニア・プロダクト職は技術力+医療への親和性を示す
技術面接に加え、「なぜ医療業界でエンジニアとして働きたいか」という動機の強さが評価されます。ヘルスケクテック分野の事例研究や、MRTのプロダクトへの具体的なフィードバック・提案を準備すると印象が高まります。
MRT株式会社への転職で評価されやすい経験
- 医療機関・製薬会社・医療機器メーカーでの営業・コンサルタント経験
- 人材紹介・転職エージェントでのコーディネーター・RA/CA経験
- 医療IT・ヘルスケクテック企業でのビジネス開発・企画経験
- 診療報酬・医療法規への理解のある医療事務・コンプライアンス経験
- BtoB営業で医療機関を顧客として担当した経験
- SaaS・プラットフォーム型サービスのカスタマーサクセス経験
- オンライン診療・遠隔医療プロダクトの開発・企画経験
- 産業保健・EAP(従業員支援プログラム)関連の業務経験
- プロジェクトマネジメント資格(PMP等)や医療情報技師の資格
- スタートアップ・ベンチャー企業での新規事業立ち上げ経験
- 医療従事者との折衝・関係構築の実績(薬剤師・看護師・医師との接点)
- データ分析・CRMツールを活用した営業改善・効率化の経験
特に評価されやすいのは「医療×ビジネス」の両側面を持ち、医療現場への敬意と数値へのコミットメントを兼ね備えた人材です。医療業界経験は問わず、医療への本気の関心があれば評価される文化があります。
まとめ
MRT株式会社は、医師・コメディカルの人材紹介を核に、デジタルヘルスケア領域へと進化を続ける東証グロース上場企業です。20年以上かけて構築した医師ネットワークと、医師が経営トップという信頼性が同社の最大の差別化要因です。
転職先としての魅力は「医療業界でビジネスキャリアを積める」「ベンチャー企業のスピード感と裁量がある」「社会課題解決に直接関われる」という3点に集約されます。医療に本気の関心を持つ20〜30代の転職者には特にフィットしやすい環境です。
一方で、平均年収は大手企業と比較すると控えめで、組織・制度の整備も途上の段階です。安定志向・高年収優先の方には向かない面があることは正直にお伝えします。
MRTへの転職を検討する際は、「医療業界で長期キャリアを歩む覚悟があるか」を自問することが出発点です。その覚悟があれば、同社は医療×ビジネスというニッチかつ価値のある専門性を積める舞台になり得ます。エージェントとして関わる際も、医療への関心の深さと自走力をしっかり確認した上でご紹介することをお勧めします。
