「もう4回目なんですが、さすがに不利ですよね」。転職相談で、この質問を受けない週はありません。
正直に答えると、不利です。特に30歳で4回のように、年齢に対して回数が多い場合は、スキルがあっても書類の段階で落とされることが珍しくありません。ここをぼかして「回数は関係ない」と言う記事もありますが、現場の感覚とは違います。この記事では、その現実を前提に、それでも通る人が何をしているかを書きます。
採用側の本音は「本人に問題があるかもしれない」
書類選考は減点法です。採用担当者は一人の経歴を数分で見て、面接に呼ぶかどうかを決めます。そこで転職回数が多いと、「スキルはありそうだが、この人自身に何か問題があるのではないか」という疑いが先に立ちます。
疑いを面接で確かめるには時間がかかります。同じようなスキルで回数の少ない候補者がいれば、そちらを通す方が早い。これが書類で落ちる理由のほとんどです。能力を否定されているのではなく、確かめる手間を省かれているのです。
書類で止まりやすい目安
採用側が警戒するのは、回数そのものより「年齢に対する回数」と「在籍期間」です。目安として、20代で3回以上、30歳前後で4回以上、平均の在籍期間が2年を切っていると、書類で止まる確率が目に見えて上がります。
一方で、35歳を過ぎて4〜5社経験していても、各社で3年以上働き、役割が広がっていれば、それほど問題にされません。回数は年齢と期間とセットで見られています。
それでも通る人が、職務経歴書に書いていること
同じ回数でも書類が通る人はいます。共通しているのは、回数の多さを隠さず、読む側の疑いに先回りして答えていることです。
一つ目は、各社に「転職した理由」と「そこで得たもの」を一行ずつ添えていることです。「裁量の大きい環境で提案営業を経験するため」「結果として単価の高い法人営業を身につけた」のように、理由と成果をつなげます。空欄は想像で埋められます。たいてい悪い方に。
二つ目は、一本の線が見えることです。担当者からリーダー、リーダーからマネージャーへと責任が増えています。あるいは同じ専門を深めています。線が通っていれば、回数は成長の記録として読まれます。
三つ目は、再現性です。どの会社でも新規開拓で成果を出してきたなら、それは1社で10年いた人にはない証明になります。数字で示せるなら、必ず書いてください。
書類で落ちる前提で、応募の経路を変える
回数が多い人ほど、転職サイトからの直接応募は不利です。書類だけで判断されるからです。おすすめは、人を介した経路に切り替えることです。
転職エージェント経由なら、推薦文で「回数が多い理由」を補足してもらえます。担当者が企業に直接説明できるかどうかで、書類の通過率は変わります。知人の紹介(リファラル)も同じで、人物の保証が先に届きます。
企業の選び方も大事です。成長中の企業や、人材の流動が高い業界は、回数に寛容な傾向があります。逆に、年功的で定着率を重視する大手は、書類の段階で厳しく見ます。すべての会社に同じ戦い方をする必要はありません。
面接で聞かれたときの答え方
書類が通って面接で「回数が多いですね」と言われたら、それは「次は長く働けますか」という質問の言い換えです。弁解せず、まず認めてください。「回数が多い自覚はあります」と言える人の方が、信頼されます。
そのうえで、今回の選択基準を具体的に話します。「これまでは年収を優先して動いてきましたが、今回は裁量と事業の成長性を軸に選んでいます。御社を志望したのはその両方があるからです」。過去との違いを自分の言葉で言えるかどうかが分かれ目です。
次の1社で、「線」を作り直す
回数を恐れて、合わない会社で我慢し続けろとは言いません。ただ、次の転職は「説明できる1回」にしてください。次の会社で3年働き、役割を広げられれば、その後の書類の読まれ方は変わります。
なぜ辞めるのか、次で何を得るのか、それがキャリアの線のどこにつながるのか。この3つを言葉にできる転職なら、回数は少しずつ気にされなくなります。不利は消えませんが、乗り越える手順はあります。